EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
トランプ大統領は、2025年4月9日、同年4月2日に発表した米国への輸入品に対して相互関税を課す大統領令(Regulating Imports with a Reciprocal Tariff to Rectify Trade Practices that Contribute to Large and Persistent Annual United States Goods Trade Deficits)1とその詳細を記したファクトシート(Fact Sheet: President Donald J. Trump Declares National Emergency to Increase our Competitive Edge, Protect our Sovereignty, and Strengthen our National and Economic Security) 2の大部分を、90日間停止することを発表しました3。
相互関税政策は、米国の貿易相手国による関税・非関税障壁の存在と互恵性の欠如により米国の大幅な貿易赤字が生み出され、米国製造業の衰退やサプライチェーンの脆弱化が促進され、その結果として米国の安全保障が脅威に晒されていることを理由とする措置であり、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づいた対応となります。
トランプ大統領は、中国の措置に対抗すべく、4月8日と4月9日に同政策に修正を加えました。
修正内容を踏まえた具体的な関税措置の内容は以下の通りです。
国名 |
税率 |
国名 |
税率 |
国名 |
税率 |
---|---|---|---|---|---|
アルジェリア |
30% |
イラク |
39% |
ナイジェリア |
14% |
アンゴラ |
32% |
イスラエル |
17% |
北マケドニア |
33% |
バングラデシュ |
37% |
日本 |
24% |
ノルウェー |
15% |
ボスニア・ヘルツェゴビナ |
35% |
ヨルダン |
20% |
パキスタン |
29% |
ボツワナ |
37% |
カザフスタン |
27% |
フィリピン |
17% |
ブルネイ |
24% |
ラオス |
48% |
セルビア |
37% |
カンボジア |
49% |
レソト |
50% |
南アフリカ |
30% |
カメルーン |
11% |
リビア |
31% |
韓国 |
25% |
チャド |
13% |
リヒテンシュタイン |
37% |
スリランカ |
44% |
中国 |
125% |
マダガスカル |
47% |
スイス |
31% |
コートジボワール |
21% |
マラウイ |
17% |
シリア |
41% |
コンゴ民主共和国 |
11% |
マレーシア |
24% |
台湾 |
32% |
赤道ギニア |
13% |
モーリシャス |
40% |
タイ |
36% |
EU |
20% |
モルドバ |
31% |
チュニジア |
28% |
フォークランド諸島 |
41% |
モザンビーク |
16% |
バヌアツ |
22% |
フィジー |
32% |
ミャンマー(ビルマ) |
44% |
ベネズエラ |
15% |
ガイアナ |
38% |
ナミビア |
21% |
ベトナム |
46% |
インド |
26% |
ナウル |
30% |
ザンビア |
17% |
インドネシア |
32% |
ニカラグア |
18% |
ジンバブエ |
18% |
*上記に記載のない国については、一律10%が課税される。
2025年4月2日に発出された大統領令によって、世界各国から米国に輸入される幅広い物品が高い税率の相互関税の課税対象となっています。また、すでに課税が開始されている通商拡大法232条による追加関税(鉄鋼・アルミ、自動車など)、通商法301条による中国製品に対する追加関税に加えて、今回の措置が導入されることによって、輸出国・セクターごとに追加関税の影響が大きく異なることが予想されます。また、今回の相互関税については、医薬品・半導体など一定の品目が対象外となりましたが、これらは今後追加関税の対象となることが示唆されており、引き続き動向を注視する必要があります。
また、4月9日の修正を踏まえ、中国は2025年4月10日に米国製品に対して84%の追加関税を課すと発表し、さらに2025年4月11日には125%へ引き上げました。
欧州連合(EU)は、2025年4月8日に広範囲の米国製品に対する25%の関税を発表し、2025年4月15日から適用を予定していました6が、4月9日にトランプ大統領がEUに対する国別関税を停止したことを受け、EUも90日間停止することを発表しました7。
今回の米国政府による一連の動きを受け、企業は次のような対策に着手することが重要となります。
巻末注
EY税理士法人
大平 洋一 パートナー
原岡 由美 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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米中の地政学的対立によって世界で保護主義が進む中、関税の上昇や輸出規制の強化が続いており、企業には新たな通商関税管理が求められています。EYでは、パラダイムシフトを迎えて急速に変化する国際貿易環境に合わせた関税・国際貿易アドバイザリーサービス、そして、国際ルールの厳格化に対し、国際的な輸出規制に対処するアドバイザリーサービスを提供します。
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