2026年カンボジアの会計・監査・税務ガイド

本ガイドブックには、カンボジアの会計・監査・税務に関する最新の基礎的概要を掲載しています。すでにカンボジアへ投資されている企業、および今後投資を検討している企業の皆さまの基本的な理解にお役立ていただけますことを願っております。

2026年カンボジアの会計・監査・税務ガイド

はじめに

カンボジアの会計制度は、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards、以下IFRS)と同等であるカンボジア国際財務報告基準(Cambodian International Financial Reporting Standards、以下CIFRS)および中小企業向け国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards for Small and Medium-sized Entities、以下IFRS for SMEs)と同等である中小企業向けカンボジア国際財務報告基準(Cambodian International Financial Reporting Standards for Small and Medium-sized Entities、以下CIFRS for SMEs)に基づいています。上場企業や一部の金融機関などはCIFRSの適用が求められますが、それ以外の多くの企業はCIFRS for SMEsを適用しています。しかし、実務においては企業内に知識や経験のある会計人材が不足していることから、会計基準が適切に適用されていない場合や会計記帳業務を外部の会計事務所に委託している場合も散見されます。

カンボジアの主な税金には、法人税(事業所得税)、ミニマム税、源泉徴収税、個人所得税(給与税およびフリンジベネフィット税)、付加価値税(VAT)などがあります。このうち、法人税、ミニマム税は年次申告の対象であり、法人税の前納、源泉徴収税、個人所得税、VATは月次申告の対象です。法人税の計算構造は日本の税法と似ている部分もありますが、課税所得が発生していなくても、売上高を課税対象とするミニマム税を課される場合があることに留意が必要です。また、日本ではなじみのない、サービスの対価などの支払いに対して幅広く課税される源泉徴収税があります。税法の規定が不明瞭、頻繁な制度改正、厳しい税務調査など多くの税務に関する課題に企業は直面しています。


カンボジアの会計・監査制度(概略)

項目カンボジア
非上場企業(日本企業の子会社)IFRS適用の可否*
IFRSと現地会計基準の主な差異現地会計基準(CIFRS, CIFRS for SMEs)はIFRSまたはIFRS for SMEsと同等
決算期の変更
決算期末の選定(暦年以外の採用可否)

会社法で作成が求められる財務諸表

  • 財政状態計算書
  • 包括利益計算書
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 持分変動計算書
  • 財務諸表の注記
提出する財務諸表法定監査義務のない企業は財務諸表、法定監査義務のある企業は監査済財務諸表および監査報告書の提出が必要
保存期間10年間
機能通貨適用の可否
法定監査一定の要件を満たす場合、必要

非上場企業のIFRS適用可否については、以下の基準で記載しています。
否:税務申告時または規制当局に提出(添付)する財務諸表が自国の会計基準で提出しなければならない場合。
可:税務申告時または現地当局に提出(添付)する財務諸表が自国の会計基準以外にIFRS基準であっても良い場合。


カンボジアの会計・監査制度

非上場企業のIFRS適用の可否

カンボジアで事業を行う企業は、カンボジア国際財務報告基準(CIFRS)もしくは中小企業向けカンボジア国際財務報告基準(CIFRS for SMEs)のいずれかを適用する必要があります。多くの非上場企業ではCIFRS for SMEsが選択されている一方で、上場企業や一部の金融機関(マイクロファイナンス、リースなどを除く)といった社会的影響度の高い企業ではCIFRSの適用が強制されています。

IFRSと現地会計基準の主な差異

CIFRSおよびCIFRS for SMEs は、IFRSおよびIFRS for SMEsとそれぞれ同等の基準であり、差異はありません。

決算期の変更

カンボジアでは、決算日は原則として12月31日とされています。ただし、親会社との決算期統一など正当な理由がある場合は、租税総局(General Department of Taxation、以下 GDT)および会計監査当局(Accounting and Auditing Regulator、以下ACAR)に対して変更申請を行い許可を得れば、決算期を変更できます。

決算期末の選定(暦年以外の採用可否)

日系企業では、12月決算企業が最も多く、次いで、日本の親会社の決算期に合わせて決算期変更を行った3月決算企業が多く見受けられます。

会社法で作成が求められる財務諸表

企業は以下の財務諸表を作成する必要があります。財務諸表はクメール語で作成する必要があります。

  • 財政状態計算書(貸借対照表)
  • 包括利益計算書(損益計算書)
  • 持分変動計算書
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 財務諸表の注記

提出する財務諸表

法定監査義務のない企業は財務諸表を決算日後3カ月15日以内に、法定監査義務のある企業は法定監査を決算日後6カ月以内に終えたうえで監査済財務諸表および監査報告書を決算日後6カ月15日以内に、e-filingシステムを利用してACARへオンラインで提出します。

保存期間

企業は会計記録を10年間保存する義務があります。

機能通貨適用の可否

カンボジアでは、クメールリエル(KHR)および米ドルが流通しており、多くの企業では主に米ドルで取引を行っているため、米ドルが機能通貨となることが一般的です。ただし、米ドルが機能通貨となる場合でも、財務諸表上はクメールリエルで表示する必要があります。なお、財務諸表におけるクメールリエルと米ドルの併記は認められています。

法定監査

カンボジアでは、以下の企業は独立監査人による財務諸表監査を受ける必要があります。

  • 公営企業
  • 上場会社、金融機関、保険会社など公的説明責任を負う企業
  • 適格投資プロジェクト(Qualified Investment Project、以下QIP)
  • 次の要件のうち、二つ以上を満たす企業
    • 年間売上高が40億リエル(約100万米ドル)以上
    • 会計年度末時点の総資産が30億リエル(約75万米ドル)以上
    • 会計年度の平均従業員数が100人以上

一度監査を受けた企業は、上記の要件を満たさなくなった場合でも、継続して3年間監査を受ける必要があります。

会計、監査上の留意点

カンボジアでは、経理実務担当者の会計知識や経験が不足しているために、適切な会計処理がなされていない場合も散見されます。監査の過程で、会計処理の修正が求められたり、監査がスムーズに進まなかったりすることも多く、企業としては、適切な知識を持った会計人材を確保し、会計業務にあたらせることが重要となります。


カンボジアの法人税(概要)

法人税率(%)20
キャピタルゲイン税率(%)20
源泉税率(%)(a)配当金14
利息14
ロイヤルティー14
動産および不動産からの所得14
カンボジアで提供された役務の対価14
技術、経営、およびコンサルティング報酬14
保険料14(b)
支店送金税14
欠損金(年)繰戻0
繰越5(c)

(a)これらの源泉徴収税率は非居住者への支払いのみに適用されます。居住納税者への支払いに適用される源泉徴収税の一覧については、セクションBを参照してください。
(b)これはカンボジアにおけるリスクに係る再保険には適用されません。
(c)セクションCを参照してください。


カンボジアの付加価値税(VAT)(概要)

税金の名称付加価値税(VAT)
現地名称*1
導入日1997年2月24日
貿易圏への加盟東南アジア諸国連合(ASEAN)
所管租税総局(GDT)
VAT税率標準10%
その他0%および非課税
VAT番号の形式納税者識別番号 X00X-XXXXXXXXX
VAT申告の期間月次
登録基準額1億2,500万クメールリエル(物品)/ 6,000万クメールリエル(役務)
国内で設立されていない事業者による VAT の控除不可

*1

現地名称


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