2026年香港の会計・監査・税務ガイド

本ガイドブックには、香港の会計・監査・税務に関する最新の基礎的概要を掲載しています。すでに香港へ投資されている企業、および今後投資を検討している企業の皆さまの基本的な理解にお役立ていただけますことを願っております。

2026年香港の会計・監査・税務ガイド

はじめに

香港では、日本の会社法に相当する会社条例において、企業が作成する財務諸表について会計士の監査を受けること、また、その財務諸表の作成基準となる会計基準として、香港公認会計士協会が公表している会計基準に従うことになります。香港公認会計士協会は、香港財務報告基準(Hong Kong Financial Reporting Standards:HKFRS)、香港中小企業向け会計基準(SME Financial Reporting Framework and Standards)と香港非公開企業向けの会計基準(HKFRS for Private Entities)の三つの会計基準を用意しています。HKFRSは国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards:IFRS)と同等の会計基準です。HKFRS以外の二つの会計基準はIFRSやHKFRSとはいくつかの点で差異が存在するため、日本における連結決算に際しては所要の修正が必要となるケースがあることに留意が必要です。

日本企業の子会社については、基本的にHKFRSを適用しているケースがほとんどであると考えられるため、現地の法定財務諸表を確認する際には、適用されている会計基準についても併せて確認することが必要です。

香港の税制は、世界的に見ても非常に簡素な体系で、限られた税目のみで構成されており、消費税・付加価値税・関税といった間接税や相続税・贈与税はありません。

  • 直接税:事業所得税、資産所得税、給与所得税
  • 間接税その他:印紙税、空港利用税

本ガイドブックには、香港の会計・監査・税務に関する最新の基礎的概要を掲載しています。

すでに香港へ投資されている企業、および今後投資を検討している企業の皆さまの基本的な理解にお役立ていただけますことを願っております。


香港の会計・監査制度(概略)

項目香港
非上場企業(日本企業の子会社)のIFRSの適用の可否*
IFRSと現地会計基準の主な差異IFRSと現地会計基準は同等(一部取り扱いに差異あり)
決算期末の選定

会社法で作成が求められる財務諸表

  • 財政状態計算書
  • 包括利益計算書
  • 持分変動計算書
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 注記事項
会計監査の期限税務申告期限まで
保存期間7年間
機能通貨適用の可否
法定監査原則として、全ての会社は公認会計士の監査を受けなければならない。

非上場企業のIFRS適用可否については、以下の基準で記載しています。
否:税務申告時または規制当局に提出(添付)する財務諸表が自国の会計基準で提出しなければならない場合。
可:税務申告時または現地当局に提出(添付)する財務諸表が自国の会計基準以外にIFRS基準であっても良い場合。


香港の会計・監査制度

香港の会計基準

香港の財務報告基準であるHong Kong Financial Reporting Standards(HKFRS)は国際会計基準(IFRS)と実質的に同一の内容となっています。昨今適用となった主要な基準であるIFRS第15号「顧客との契約による収益」、IFRS第16号「リース」、IFRS第17号「保険」に関しても、HKFRSでもIFRSと同じタイミングで同内容の新基準が適用されています。

なお、香港には、HKFRSの他に、中小企業向け会計基準であるSME Financial Reporting Framework and Standards、非公開企業向けの会計基準であるHKFRS for Private Entitiesが存在します。日本企業の子会社については、基本的にHKFRSを適用しているケースがほとんどであると考えられるため、現地の法定財務諸表を確認する際には、適用されている会計基準についても併せて確認することが必要です。

現地会計基準とIFRSの主な差異

前述の通り、HKFRSはIFRSと同等の会計基準であるため、個別の基準の内容についてIFRSとほとんど差異はありません。一方で、中小企業向け会計基準、非公開企業向けの会計基準を適用している場合、これらの基準はIFRSやHKFRSとはいくつかの点で差異が存在するため、日本における連結決算に際しては所要の修正が必要となるケースがあります。

決算期末の選定

香港では、会社は決算日を自由に選択することができます。日本とは異なり定款に決算日を記載する必要はありませんが、初年度決算期が自動的に第2期以降の決算日となります。経済的な結びつきの強い中国本土企業が12月決算で統一されていることもあり、12月決算を採用する企業が多いですが、日系企業の現地子会社については、親会社と整合した決算期(例えば3月決算)を採用する企業も多くみられます。

会社法で作成が求められる財務諸表

企業は以下の財務諸表を作成する必要があります。

  • 財政状態計算書
  • 包括利益計算書
  • 持分変動計算書
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 注記事項

会計監査の期限

決算書自体には法的な作成期限はありませんが、税務申告期限や年次株主総会に間に合うようなスケジュールで決算書の作成期限を決定します。監査期限については、税務申告書に監査済み財務諸表の添付が求められているため、一般的に、税務申告期限(決算日毎に異なっており、12月決算の場合は8月中旬、3月決算の場合は11月中旬が期限)までに監査を終えることが必要となります。なお、監査済み財務諸表には、監査人だけでなく被監査会社の取締役による署名が必要です。署名予定の取締役が香港外に滞在しているようなケースでは、取締役の署名を手配するスケジュールにも留意が必要となります。

機能通貨適用の可否

HKFRS第21号はIFRSにおけるIAS第21号「外国為替レート変動の影響」と相違がなく、企業が営業活動を行う主たる経済環境などを考慮して機能通貨を決定し、機能通貨によって会計帳簿に記帳することが求められます。実務上、売上や仕入れに関連する通貨を考慮して機能通貨を決定することが多くみられ、中継貿易拠点となることも多い香港の事業特性上、機能通貨が香港ドル以外となるケースも存在します。

一度決定した機能通貨は、関連する取引・事象・状態に変更がない限り、変更してはなりませんが、これらに大幅な変更があった場合には、従来から使用してきた機能通貨の妥当性を再検討する必要があります。香港子会社のアジアでの地域統括拠点化の動きや、年々高まる中国本土との経済的な結びつきを背景に、香港への進出当初に決定した機能通貨が実態に即さないものとなっているにもかかわらず変更の検討が行われず、日本親会社がIFRS決算に移行する際に、変更が必要なことが判明するといったケースもみられます。このため、香港子会社の位置づけや営業活動に変遷が見られる場合には、採用する機能通貨が経済環境に即しているかを確認することが必要です。

法定監査

香港会社条例において、会社は全て公認会計士による会計監査を受ける必要があると定められています。法定監査の対象は、①香港単体決算書、または②香港会社傘下の中国子会社などを含めた香港の連結財務諸表です。香港域外企業による香港への進出形態には、子会社(現地法人)、支店および駐在員事務所の形態が考えられますが、香港では、企業規模を問わず全ての会社に外部監査を受ける義務があることから、子会社形態の場合は現地における法定監査が必須となります。支店および駐在員事務所の場合、監査義務はありませんが、任意で会計監査を受け、税務申告書に監査報告書を添付する事例もあります。

日系企業における主な会計・監査留意点

HKFRSでは、香港法人が他社の子会社であっても、香港法人の傘下に子会社を有する場合には、原則として香港法人自身に係る連結財務諸表を作成する義務があります。ただし、香港法人が他社(日本親会社など)の完全子会社である場合などの一定の要件を満たす場合には、連結財務諸表の作成義務が免除されます。

なお、完全子会社であるなどの要件を満たさない場合でも、毎年、期末日の6カ月前までに、連結財務諸表を作成しない旨を株主に書面で通知し、期末日の3カ月前までに、株主から書面による反対がなければ連結財務諸表の作成が不要となることから、該当する場合には、当該手続きによる対処が検討され、適切に実施されているかが確認ポイントです。

香港子会社は、中国本土への投資に係る持株会社やアジア圏の地域統括会社としての機能を有するケースも多く、子会社・関連会社株式を所有する場合には、個別財務諸表において、その株式評価が論点となることが多くみられます。減損が必要となった場合には、日本における連結上ののれんの評価や日本親会社の個別財務諸表上の香港子会社株式の評価に影響が生じる可能性があることから、留意が必要な事項です。また、減損テストに際しては将来キャッシュ・フローの見積りや割引率の設定などが必要となり、これらは外部監査人も詳細に検討を行うことが多いため、減損の兆候が見込まれる場合には、早期に外部監査人との協議を行うことが望ましいと考えられます。

経理人材の育成・維持を図りつつ、人材が不足する場合には記帳や決算業務などをアウトソースすることを検討し社内での適切な財務報告体制の構築をするとともに、早い時期から監査人とのコミュニケーションを密にとり、監査のスケジュール(キックオフミーティングやクロージングミーティング、資料の受け渡し時期や監査報告書の受領時期など)を明確に定めた上で進捗管理を行い、監査が終了した後も翌年度の監査・会計上の課題を議論・共有することが重要になります。


香港の法人税(概要)

法人に対する事業所得税率(%)16.5
キャピタルゲイン税率(%)0
支店税率(%)16.5
源泉税率(%)(a)配当金0
利息0
特許、ノウハウなどからのロイヤルティー法人への支払い4.95/16.5(b)
個人への支払い4.5/15(b)
支店送金税0
欠損金(年)繰戻0
繰越無期限

(a)2段階事業所得税率制度については、セクションB参照。
(b)非居住者法人がセクションBで言及されている2段階の事業所得税率制度の対象となる場合、源泉税率は2.475%(ロイヤルティー収入の最初の200万香港ドルに対して)および4.95%(ロイヤルティー収入の残額に対して)となります。ただし、支払いを受ける者が支払者の関連者であり、かつ当該知的財産権が以前香港の納税者に所有されていた場合、源泉税率は16.5%となります(セクションBに記載の2段階の事業所得税率制度の適用を条件とします)。非居住者がセクションBで言及されている2段階の事業所得税率制度の対象となる個人の場合、源泉税率は2.25%(ロイヤルティー収入の最初の200万香港ドルに対して)および4.5%(ロイヤルティー収入の残額に対して)となります。ただし、支払を受ける者が支払者の関連者であり、かつ当該知的財産権が以前香港の納税者に所有されていた場合、源泉税率は15%となります(セクションBに記載の2段階の事業所得税率制度の適用を条件とします)



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