EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYではサステナビリティ開示・保証等に関連したグローバル動向の最新情報を公表しています。
今月号では、欧州議会におけるオムニバス簡素化パッケージについての合意内容についての解説、カリフォルニア州大気資源局(CARB)によるSB253及びSB261に基づく気候関連報告義務の対象となり得る事業体の暫定リストの公表などを取り上げています。EYによるフォーカスでは、9月21日から28日にかけて開催されたクライメート・ウィークNYC について取り上げています。
クライメート・ウィークNYCのハイライトについては、当記事後半の「EYによるフォーカス」セクションをご覧ください。
9月30日、国連持続可能な証券取引所 (SSE) イニシアティブは、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)との連携のもと、証券取引所向けの自然関連財務情報開示に関するモデルガイダンス(*1)を発表しました。本モデルガイダンスは、環境への依存、リスク及び機会に関する透明性を求める投資家の需要の高まりに対応し、発行体が自然関連の課題を開示するための実践的な枠組みを証券取引所に提供します。報告実務を標準化することで、市場の安定性と透明性の向上を支援すると同時に、地域の実情に応じた適用を可能にします。
9月25日、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)は、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG) が提案する簡素化された欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)に関する意見募集に対し、正式に回答しました。GRIは、意見募集案が提案するインパクト開示の弱体化は、既存基準との相互運用可能性向上というEFRAGの目標と整合しないと懸念を示しました。GRIは、総額ベースの評価(財務マテリアリティ評価の標準的アプローチ)がより明確で一貫性のある開示を提供すると強調しました。また、簡素化プロセスによりGRI準拠のデータポイントが減少したため、GRI基準との相互運用可能性が損なわれていると指摘し、EFRAGに対し、GRI項目別スタンダードを明示的に参照し、意思決定に有用な開示を維持することで、グローバルな比較可能性を促進するよう要請しました。
9月19日、TNFDはEFRAG 財務報告技術的専門家グループ(FR TEG)に対し、自然関連ESRS E2~E5基準(生物多様性、水、汚染、循環型経済)に関する従来の提案を拡充した技術ノート(*2)を提出しました。TNFDは、E2~E5基準を単一の自然基準に統合することを推奨し、簡素化の取り組みを歓迎する一方で、利害関係者にとって意思決定に有用な開示事項を削減することには懸念を示しました。また、ESRSの簡素化を支援しつつ、自然関連報告の健全性を維持するための4つの変更を推奨しました:
9月8日、国際会計士倫理基準審議会(IESBA)は、2026年12月から適用開始サステナビリティ保証に関する国際倫理基準(IESSA)の実施を支援する2つのガイダンス文書を発表しました。これらの文書は、サステナビリティ保証業務の主要分野に関する貴重なインサイトを提供しています:
これらの資料は、IESSAのグローバルでの導入を促進し、サステナビリティ保証実務への信頼を強化することを目的としています。
9月24日、カリフォルニア州大気資源局(CARB)は、SB 253及び261に基づく気候関連報告義務の対象となる可能性のある事業体の暫定リスト(*5)を公表しました。リストには約4,150事業体が含まれていますが、CARBは両法令の適用判断において重複や不整合があることを認めています。CARBによれば、本リストは手数料規制の策定を支援することを目的としており、カリフォルニア州務長官が公開しているデータ(2022年3月時点の有効な届出に限定)に基づいて作成されています。ユニバーサル識別子がないため、CARBはデータセット間での部分的な名称照合に依存しており、その結果として一部企業の記載が漏れている可能性があります。また、本リストは、CARBが8月21日に開催したワークショップでの免除の議論は反映しておらず、本リストへの掲載の有無が遵守義務を決定するものではありません。各事業体は、本リストへの掲載の有無にかかわらず、法令上の要求事項に応える責任を負います。暫定リストの検証のため、CARBは8問からなる任意の利害関係者へのアンケート(*6)を開始しました。
9月12日、米国第8連邦巡回区控訴裁判所は、米国証券取引委員会(SEC)の気候関連開示規則に関する法的手続を、同規則の改正・廃止・維持の決定が下されるまで一時停止するよう命じました(*7)。この命令は、SECが3月に同規則の抗弁を取り下げる決定を下したこと、及び7月に裁判所に対し、SECが同規則を発行する権限を有するかどうかなど、その他の問題について訴訟を進めるよう要請したことを受けたものです。
9月10日、米国SEC委員長のポール・アトキンス氏は、経済協力開発機構(OECD)が初めて開催したグローバル金融市場ラウンドテーブルでの基調講演において、IFRS財団に対し、外国発行体が米国会計基準との調整なしにIFRS基準を用いて財務諸表を提出することを認めた2007年の決定をSECが再検討する可能性があることを警告しました(*8)。この警告は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立に伴いIFRS財団の権限が拡大されたことへの懸念に端を発しています。アトキンス議長は、IFRS財団が国際会計基準審議会(IASB)とISSBの二重監督を担うことが、高品質な財務報告基準に対する責任を損なう可能性について疑問を呈しました。また、欧州連合(EU)の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)及び企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CS3D)におけるダブルマテリアリティアプローチを批判し、欧州で事業を展開する米国企業に不当な負担を強いると指摘しました。
10月8日、欧州議会は以下の項目を含むオムニバス簡素化パッケージについて各政党間で合意に達しました。:
本合意は、10月末まで審議の継続が見込まれる欧州議会内でのさらなる承認を経て、その後間もなく、合意の最終化を目的とした欧州委員会、欧州議会、EU理事会による三者協議(トライローグ)が開始される予定です。なお、欧州委員会は10月1日、簡素化政策の一環として優先順位の引き下げ(*9)プロセスを通じ、予定されていた複数の立法措置の延期を発表しました(*10)。これには、CSRDに基づく域外企業向けESRSの採択を、当初予定されていた2026年6月から2027年10月以降に延期することが含まれます。その他の延期対象には、セクター別ESRSや上場中小企業(SME)向けサステナビリティ報告基準に関する委任法令が含まれます。欧州委員会はEU金融規制当局宛ての書簡でこの事実を明らかにし、EU政策目標にとって「必須でない」と判断された115件の追随立法措置を特定しました。これらの措置は、行政負担の軽減と欧州の国際競争力強化を目的としています。
9月25日、EFRAGは任意の中小企業向けサステナビリティ報告基準(VSME)(*11)の実施を支援するため、2つの補完的報告書を公表しました(*12)。これらの報告書は、サステナビリティ報告の分野に関する知見を提供しています:
これらのリソースは、EU域内の中小企業におけるサステナビリティ開示の一貫性とアクセシビリティ向上を目的としています。
9月15日、欧州委員会は防衛分野におけるサステナブルファイナンス枠組み及びCS3Dの適用に関するガイダンス(*13)を発表し、EUの安全保障を支援する投資は、追加開示が必要な「禁止兵器」を除き、サステナビリティ目標と整合することを確認しました。CS3Dは輸出管理対象の下流活動に関するデューディリジェンスを免除しますが、企業は自社及び関連事業活動を評価する必要があります。防衛投資はEUタクソノミーへの適合を主張することができ、また、CSRD下では機密情報の省略が認められます。本ガイダンスは金融市場参加者を対象とし、主要なEU規制を網羅するとともに、防衛分野の社会的貢献を認識した個別対応型の除外方針を推奨しています。
9月9日、欧州監督機構はサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に基づく自主的な主要な悪影響(PAI)開示に関する第4回年次報告書(*14)を発表し、開示内容の網羅性と品質が向上したことを強調しました。特に大規模な多国籍企業グループは、中小規模の事業体よりも詳細な情報を提供しています。本報告書には、監督強化に向けた各国当局への提言や、欧州委員会が今後のSFDR見直し前に検討すべき事項も含まれています。
9月4日、スイス政府は2026年3月までに企業サステナビリティ・デューディリジェンス法案を公表する計画(*15)を発表しました。これはEUのCS3D(企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令)との整合を図るものです。この発表は、人権と環境保護の強化を求める28万人以上の市民による請願書を受けたものであり、多数の多国籍企業の本社が所在するスイスは、EU指令の最終版と自国の法案を調和することを目指しています。この動きは、欧州委員会のオムニバス簡素化パッケージに基づく規制緩和の取り組みをめぐる議論があるにもかかわらず、EUが世界のサステナビリティ規制に引き続き影響力を持っていることを強調しています。
9月2日、インドビジネス・生物多様性イニシアチブ(IBBI)、インド工業連盟(CII)、TNFDは、TNFDとインドの企業責任とサステナビリティ報告(BRSR)枠組みの整合性を示すマッピングガイダンス(*16)を発表しました。本ガイダンスによれば、インドのBRSR要件はTNFDがの推奨開示項目の大半を反映しており、中核指標はTNFDフレームワークの指標とほぼ一致しています。本ガイダンスは両フレームワーク間の相互参照を支援し、重複を削減するとともに、自然関連報告の質の向上に寄与します。
9月22日、タイ証券取引委員会は、2024年の意見募集で得られたフィードバックを踏まえ、ISSB基準に整合した段階的な気候変動報告制度に関する意見募集(*17)を開始しました。本制度では、2027年よりタイ証券取引所(SET)上場企業上位50社を対象に気候関連情報開示を義務化し、2028年には上位100社に、2029年には全てのSET上場企業に、2030年までにオルタナティブ投資市場(MAI)の上場企業及び上場ファンドに拡大することを提案しています。経過措置として、「気候ファースト」報告、スコープ3排出報告の延期、財務諸表とのタイミング調整の柔軟性、温室効果ガス(GHG)プロトコル基準と同等基準の使用などが含まれます。今回の意見募集において新たに明確になったのは、排出量開示に関する限定的保証が、国際監査・保証基準審議会 (IAASB)、ISO、又は英国のNGOであるAccountAbilityが定めたAA1000基準などの国際的に認められた基準に沿って実施される必要があるということです。意見募集は10月22日に終了しています。
9月15日、中国財務省(MoF)は「企業サステナビリティ開示基準-基本基準(試行)適用ガイドライン」の公布に関する通知 (*18)を発表しました。本通知では、サステナビリティ情報の利用者、重要性、バリューチェーン、財務諸表とのつながりなどに関する実施上の課題が明確化されています。正式な実施要件が設定されるまで、企業はこの適用ガイドラインを自主的に採用することができます。
9月16日、オーストラリア証券投資委員会 (ASIC) は、オーストラリア会計基準審議会(AASB)のS2号に基づく気候関連財務開示の義務対象となる事業体が、財務報告書とサステナビリティ報告書について別々の監査人を任命できることを明確化するFAQ(*19)を発表しました。会社法上は法的に許容されていますが、ASICは両監査人が登録された会社監査人として取り扱われる必要があると強調しています。本ガイダンスでは、二重監査契約に伴う実務上の課題として、手続の重複、相互参照開示事項の調整、報告書間の一貫性・つながりの確保における複雑性の増大などを概説しています。ASICによる明確化は、オーストラリアがASSA 5000に基づくサステナビリティ保証の義務化へ移行する中で、監査計画やエンゲージメント構造に影響を与えるものと見込まれます。
9月8日、オーストラリアエネルギー評議会はアデレード大学と共同で、エネルギーセクター向けにカスタマイズされた2つの気候開示ガイドを発表しました。これらはコンプライアンス支援と気候レジリエンス計画の強化を目的としています:
本取り組みは、オーストラリアのISSBと整合した開示制度に対するセクターの取り組みの拡大を反映しており、産業全体の気候変動対応能力構築に向けた研修モジュールが追って提供される予定です。
9月8日、上海・深圳・北京の各証券取引所 (*22)は、汚染・エネルギー・水使用に関する義務化されたサステナビリティ報告の適用を支援するガイドライン案を発表しました。これらのガイドラインは、2024年5月1日に適用開始したサステナビリティ報告義務に関する指針のもと、企業による適用を支援することを目的としています。
9月3日、ニュージーランド外部報告審議会(XRB)は、NZ CS2に基づくスコープ3排出量報告及び保証に関する経過措置の延長を提案(*23)しました。この改正により、2027年までスコープ3開示の省略及び保証業務からの除外が可能となります。本提案は、実施上の課題を示す報告企業及び保証業務実施者からのフィードバックに応えるものです。2025年1月開始の報告期間への適用を支援するため、最終決定は10月中を予定しています。
9月2日、AASBはAASB S2号に基づく温室効果ガス排出量の測定及び開示要件を明確化する教育的資料(*24)を公表しました。本ガイダンスは、オーストラリアのISSB基準と整合する気候報告枠組みの理解を支援するとともに、サステナビリティ開示の技術的能力構築に向けた広範な取り組みを補完するものです。
直近数か月の間に、主要経済国数カ国が自国のNDC(国が決定する貢献)の更新を発表(*24)し、排出の絶対量削減コミットメントへの移行を示唆しました。中国はNDC 3.0を更新し、2035年までに排出量を7~10%削減することを約束しました。これは中国初の排出の絶対量削減コミットメントになります。これにより、排出量削減を目指す他の先進国と歩調を合わせる形となります。一方で、アナリストによればパリ協定の1.5℃目標達成には依然不十分であると指摘されています。EUはCOP30に先立ち、1990年比で66.25~72.5%の削減を提案する拘束力のない意向表明を発表し、最終決定は10月下旬に予定されています。オーストラリアの提出目標は62~70%の削減を掲げておりますが、同国の気候リスク評価によれば、この目標は1.5℃目標達成に必要なしきい値を下回っています。一方、米国の気候行動の進捗状況はClimate Action Tracker(CAT)(*25)により下方修正され、2030年までの排出量削減見込みは19~30%と推定されています。これは最近の連邦政策変更の影響を反映したものです。
9月20日、国連公海条約が発効に必要な批准のしきい値(*26)を満たしました。同条約は20年近くに及ぶ交渉を経て2023年6月に国連加盟国により採択されました。発効には60カ国の批准が必要でしたが、最終的に61カ国が批准を完了しました。モロッコとシエラレオネ共和国が最後の2カ国として批准しました。本条約は2026年1月に発効し、国境を越える世界の海洋面積の3分の2を対象としています。本条約は海洋生物多様性の保全と持続可能な利用、海洋遺伝資源の利益のより公平な分配、保護区域の創設、科学協力と能力構築の強化に関する法的拘束力のある規則を定めています。
9月12日、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は、企業が気候移行計画において外部依存関係を識別し統合するためのガイドを発表(*27)しました。本ガイドは、バリューチェーンの相互作用を可視化し、依存関係を優先順位付けし、これらの考慮事項を実行戦略に組み込むための7段階の枠組みを提示しています。特に政策、インフラ、消費者行動が、移行の信頼性とレジリエンスに影響を与える重要な要素であることを認識することの重要性を強調しています。
9月12日、米国環境保護庁(EPA)は、2010年以降、発電所や燃料供給業者、工場など8,000以上の施設に排出量の開示を義務付けてきた温室効果ガス報告プログラム(GHGRP)の廃止の提案(*28)を発表しました。EPAはその理由として、規制による負担と、大気浄化法(Clean Air Act)との法的整合性の限界を挙げ、主に石油・ガス業界において、企業にとって年間3億300万ドルの節約になると推定しています。この提案は、ドナルド・トランプ大統領が発した大統領令と整合しており、連邦政府による気候関連情報の透明性を低下させる可能性があると批判する主張もあります。この提案が最終決定された場合、報告義務は、廃棄物排出の課金制度の対象施設(2034年まで発効しない)、及び特定の石油・天然ガス部門(2034年まで報告が延期される)に限定されます。この提案に関する意見募集は、11月2日まで受け付けられています。
9月23日、欧州委員会は、現在2025年12月30日に施行予定の欧州森林破壊防止規則(EUDR)(*29)の1年間の施行延期を検討していることを発表しました。欧州委員ジェシカ・ロズウォール氏は、EUDRはEUのサステナビリティ政策の要であることに変わりはないと強調しつつも、規制順守を支えるITシステムが、予測される取引量に対応できない可能性について懸念を示しました。ロズウォール氏によれば、これらの問題によりシステムの遅延や繰り返される障害が発生し、企業が登録手続やデューディリジェンス宣言書の提出、必要な通関情報の提供ができなくなる恐れがあるとのことです。欧州委員会は、延期がなければこれらのリスクが規制の目的と、対象となる商品におけるEU貿易の機能の両方を損なうと主張しています。
9月15日、インド政府は初の地熱エネルギーに関する国家政策(*30)を発表しました。これはエネルギー転換と低炭素電力源の開発に向けたコミットメントを示すものです。本政策では、インセンティブと規制を活用して地熱エネルギーの開発を促進し、地熱開発事業者と石油・ガス・鉱物企業との連携を推進するとともに、財政的インセンティブを提案しています。インフラ面では、廃止された石油・ガス井の再利用や、冷暖房用の地中熱ヒートポンプの導入を奨励しています。
9月10日、アディスアベバにて開催された第2回アフリカ気候サミット(ACS2)は、気候変動に関するアディスアベバ宣言及び行動要請の採択(*31)をもって閉幕しました。
アフリカ連合委員会が主催した本サミットは、アフリカが援助の受け手から、グローバルな気候ソリューションの推進者へと戦略的に転換する姿勢を示す場となりました。各国首脳はアフリカ気候イノベーション協定(ACIC)及びアフリカ気候基金を通じ、年間500億ドルを資金動員し、地域主導の気候イノベーションを拡大することを誓約しました。本サミットではアフリカの公正なレジリエンス枠組みを立ち上げ、パリ協定第6条に基づく炭素市場参加へのコミットメントを再確認しました。多国間における金融機関の改革と再生可能エネルギー投資の拡大を求める声は、アフリカが世界の気候ファイナンスに対するガバナンスの再構築を目指す野心を強調するものでした。
9月9日、欧州議会はEU域内における食品および繊維廃棄物の両方を対象とした、拘束力のある廃棄物削減目標を導入する改正法案を承認(*32)しました。これらの目標は2030年末までに各国レベルで達成される必要があり、以下の内容を含みます:
今後の段階としては、共同立法機関による法律の署名が行われ、発効後20ヶ月以内にEU加盟国が当該規則を国内法に移管することが求められます。
9月9日、香港金融管理局(HKMA)とCDPは、香港の金融システムへの環境データ統合を強化するため、2022年に締結した環境データ統合に関する覚書を拡大 (*33)しました。この追加は、中小企業、銀行、その他の金融機関における開示実務の向上を目的としています。CDPは、この提携により、高品質で世界的に比較可能な環境データの流れが促進され、金融市場をサステナビリティ目標及び規制上の期待に整合させる香港の幅広い取り組みを支援すると述べています。
9月8日、HKMAはサステナブルファイナンス・タクソノミーの更新案を公表(*34)し、移行活動及び新規セクターの追加を提案しました。分類法フェーズ2Aの一環である今回の拡充では、エネルギーや海運などの高排出産業向けに、セクター別の期限付き脱炭素化ロードマップを導入しました。また、新たな環境目標として気候変動適応策の対象範囲を拡大しています。本草案では従来12であった経済活動の分類に加え、新たに13のカテゴリーを追加しており、従来の4セクターに追加された製造業及び情報通信技術(ICT)分野に適用範囲を拡大しております。この取り組みは、香港の分類体系は、グリーン活動と移行活動の両方に向けた資本動員を目指す国際的な取り組みと整合します。
9月21日から28日にかけて、国連総会と並行して開催されたクライメート・ウィークNYC(NYCW)では、ビジネスリーダー、政策立案者、市民社会、学界が一堂に会し、気候変動対策を推進する際における企業の役割の変遷について議論しました。今年のプログラムは、実施、公平性、セクター横断的な連携への顕著な移行を反映し、グローバルサウスや包括的な移行戦略に重点が置かれました。
主なテーマは以下の通りです:
今後の展望:NYCWは、特に投資、イノベーション、報告を通じて、気候変動対策の成果形成における民間セクターの役割を再確認しました。しかし、資金調達、自然、データ整合性、公平なアクセスにおける継続的な格差も浮き彫りとなりました。COP30が近づく中、NYCWのテーマ、特にグローバルサウス、AIガバナンス、公正な移行に関連するテーマは、交渉や利害関係者の優先事項に影響を与えると予想されます。
EY House Belém:注目すべき進展として、EYはCOP30に先立ち気候対話のための専用会場EY House Belém(*35)をブラジルのベレンに開設しました。当施設は、ビジネス、政府、科学、市民社会の利害関係者が集い、気候、自然、技術の交差点を探求することを目的としています。重要な点として、COP30終了後、この会場はブラジル パラー州先住民事務局の本部となる予定です。これは、包括的なガバナンスと先住民族のリーダーシップへのEYの長期的な投資を象徴するものです。
サステナビリティに関連する主な進行中及び今後の意見募集・規制動向:
私たちは、最先端のデジタル技術とEY のグローバルネットワークにより、時代の変化に適応した深度ある高品質な監査を追求しています。
全国に拠点を持ち、日本最大規模の人員を擁する監査法人が、監査および保証業務をはじめ、各種財務関連アドバイザリーサービスなどを提供しています。
EYのプロフェッショナルが、国内外の会計、税務、アドバイザリーなど企業の経営や実務に役立つトピックを解説します。