TradeWatch 2024年 Issue 3　EU：中国からのバッテリー式電気自動車の輸入に対する相殺関税

2024年10月4日、欧州連合（EU）加盟国は、中国製バッテリー式電気自動車（BEV）に対する相殺関税を課すことに関し採決し、可決しました。これにより、5年間の期間にわたり関税が適用されます。

欧州委員会は2023年に中国製BEVに対する反補助金調査を開始し、2024年7月4日に暫定相殺関税を課す決定を下しました。これは貿易対抗措置における重要な進展です。この措置は、欧州委員会の調査結果を受けての判断であり、欧州委員会によると、中国のBEV産業が、不公正な補助金を受けており、欧州のBEV産業に経済的な脅威をもたらしているとのことです。

欧州委員会の調査では、中国の補助金がEUの輸入業者、BEVユーザー、消費者にどのような影響を与えるかを総合的に評価しました。また、最近の外交的な取り組みでは、執行副委員長のヴァルディス・ドンブロウスキスと中国の王文濤商務部長が主導する形で、中国との間で継続的に技術的協議が行われています。これは、特定された不公正な補助金慣行に関する懸念を効果的に解決する、世界貿易機関（WTO）に適合する解決策を築くことを目指しています。

暫定措置は、中国の主要な電気自動車メーカー3社を対象としており、以下の通りです。

• 比亜迪汽車（BYD）：17.4%
• 吉利汽車（Geely）：19.9%
• 上海汽車（SAIC）：37.6%

調査に協力したがサンプルには含まれなかった他の中国のBEVメーカーには、平均20.8%の関税、非協力的だった企業には最高の関税37.6%が課されます。テスラは個別調査を申請し、関税率は9.0%に設定されました。これらの関税は、中国からEUに輸入されるBEVに対する通常の10%の関税に加えて適用されます。

欧州委員会と中国は、関税措置と潜在的な外交的解決策について二国間協議を継続する意向を示しました。調査の最終的な結果を含む欧州委員会実施規則は、2024年10月30日に官報に掲載され、翌日に発効しました。

企業に求められる対策

BEVの輸入業者は、これらの追加関税が自社の輸入にどのような影響を与えるかを確認し、影響が大きい場合は、企業固有の特別な措置を求めるため、欧州委員会と協議を行うことを検討することが推奨されます。

また、EUへの輸入によって影響を受ける製品の関税評価も見直す必要があります。長期的には、生産場所等のロケーション戦略や調達の決定を検討することが重要となります。