「リースに関する会計基準(案)」等のポイント

2023年6月6日
カテゴリー 会計情報トピックス

EY新日本有限責任監査法人
公認会計士 宮﨑 徹、廣瀬 由美子、松川 由紀子、石川 仁

企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)及び日本公認会計士協会(以下「JICPA」という。)から2023年5月2日に以下の会計基準等の公開草案(以下「本公開草案等」という。)が公表されました。

(ASBJ会計基準等)

企業会計基準公開草案第73号 「リースに関する会計基準(案)」(以下「本会計基準案」という。)
企業会計基準適用指針公開草案第73号 「リースに関する会計基準の適用指針(案)」(以下「本適用指針案」という。また、以下、本会計基準案及び本適用指針案を合わせて「本会計基準案等」という。)
企業会計基準公開草案第74号 「『固定資産の減損に係る会計基準』の一部改正(案)」
企業会計基準公開草案第75号 「『連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準』の一部改正(案)」
企業会計基準公開草案第76号
(企業会計基準第18号の改正案)
「資産除去債務に関する会計基準(案)」
企業会計基準公開草案第77号
(企業会計基準第20号の改正案)
「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準(案)」(以下「賃貸等不動産時価開
示会計基準改正案」という。)
企業会計基準公開草案第78号
(企業会計基準第29号の改正案)
「収益認識に関する会計基準(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第74号
(企業会計基準適用指針第6号の改正案)
「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第75号
(企業会計基準適用指針第13号の改正案)
「関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第76号
(企業会計基準適用指針第15号の改正案)
「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第77号
(企業会計基準適用指針第19号の改正案)
「金融商品の時価等の開示に関する適用指針(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第78号
(企業会計基準適用指針第23号の改正案)
「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針(案)」(以下「賃貸等不動産時価開示適用指針改正案」という。また、以下、賃貸等不動産時価開示会計基準改正案及び賃貸等不動産時価開示適用指針改正案を合わせて「賃貸等不動産時価開
示会計基準改正案等」という。)
企業会計基準適用指針公開草案第79号
(企業会計基準適用指針第30号の改正案)
「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」
実務対応報告公開草案第65号
(実務対応報告第35号の改正案)
「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」

(JICPA実務指針等(改正))

会計制度委員会報告第8号 「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」
会計制度委員会報告第14号 「金融商品会計に関する実務指針」
会計制度委員会報告第15号 「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」
会計制度委員会 「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針についてのQ&A」
監査・保証実務委員会実務指針第90号 「特別目的会社を利用した取引に関する監査上の留意点についてのQ&A」
業種別監査委員会報告第19号 「リース業における金融商品会計基準適用に関する当面の会計上及び監査上の取扱い」
業種別委員会実務指針第53号 「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」
業種別委員会実務指針第65号 「投資法人における監査上の取扱い」
会計制度委員会研究報告第12号 「臨時計算書類の作成基準について」

(JICPA実務指針等(廃止))

会計制度委員会報告第5号 「連結財務諸表におけるリース取引の会計処理に関する実務指針」

本公開草案等のポイントは下記のとおりです。なお、下記の各項目ではそれぞれ以下の内容をまとめています。

Ⅰ.本会計基準案等の概要 「リースに関する会計基準(案)」(以下「本会計基準案」という。)及び「リースに関する会計基準の適用指針(案)」(以下「本適用指針案」という。また、以下、本会計基準案及び本適用指針案を合わせて「本会計基準案等」という。)の内容をまとめています
Ⅱ.ASBJのその他公開草案の概要 本会計基準案等により影響する企業会計基準、企業会計基準適用指針及び実務対応報告(計12件)の改正の概要をまとめています
Ⅲ.ASBJの公開草案等に対するコメント募集 本公開草案等に対するコメント募集に際し、ASBJが設定している個別の質問をリストアップしています
Ⅳ.JICPAの公開草案等の概要 本会計基準案等により影響するJICPAの実務指針等の改正(9件)及び廃止(1件)の概要をまとめています

Ⅰ. 本会計基準案等の概要

1. 経緯

2007年3月にASBJより、企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」(以下「企業会計基準第13号」という。)及び企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」(以下「企業会計基準適用指針第16号」という。)が公表され、リースに関する我が国の会計基準は当時の国際的な会計基準と整合的なものとなりました。

その後、2016年1月に国際会計基準審議会(IASB)より国際財務報告基準(IFRS)第16号「リース」(以下「IFRS第16号」という。)が公表され、同年2月に米国財務会計基準審議会(FASB)よりFASB Accounting Standards CodificationのTopic 842「リース」(以下「Topic 842」という。)が公表されました。IFRS第16号及びTopic 842では、借手の会計処理に関して、主に費用配分の方法が異なるものの、原資産の引渡しによりリースの借手に支配が移転した使用権部分に係る資産(使用権資産)と当該移転に伴う負債(リース負債)を計上する使用権モデルにより、オペレーティング・リースも含むすべてのリースについて資産及び負債を計上することとされています。IFRS第16号及びTopic 842の公表により、我が国の会計基準とは、特に負債の認識において違いが生じることとなり、国際的な比較において議論となる可能性がありました。

これらの状況を踏まえ、ASBJでは2019年3月より、借手のすべてのリースについて資産及び負債を計上する会計基準の開発が進められており、今般、本公開草案等が公表されました。

2. 開発の基本的な方針(本会計基準案BC12項及びBC34項並びに本適用指針案BC4項及びBC28項)

開発にあたっての基本的な方針は以下のとおりとすることが提案されています。

(1) 借手の費用配分の方法

IFRS第16号と同様に、リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかにかかわらず、すべてのリースを金融の提供と捉え使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る利息相当額を計上する「単一の会計処理モデル」(※)によることが提案されています。

(借手における会計処理のイメージ)

  現行の会計処理 本公開草案等の会計処理
ファイナンス・リース オンバランス
(リース資産、リース債務)
オンバランス
(使用権資産、リース負債)
オペレーティング・リース オフバランス
(通常の賃貸借処理)

(2) IFRS第16号と整合性を図る程度

以下の方針とすることが提案されています。

  • IFRS第16号のすべての定めを取り入れるのではなく、主要な定めの内容のみを取り入れることにより、簡素で利便性が高いこと
  • IFRSを任意適用して連結財務諸表を作成している企業が、本公開草案等を個別財務諸表に適用した場合に、IFRSでの連結財務諸表作成にあたって当該個別財務諸表を用いても、基本的に修正が不要となる会計基準とすること
  • その上で、国際的な比較可能性を大きく損なわせない範囲で代替的な取扱いを定める、又は、経過的な措置を定めるなど、実務に配慮した方策を検討すること

(3) 会計基準の開発方法

借手と貸手の会計処理に齟齬が生じないように、借手のための新しい会計基準を開発するものではないものの、既存の会計基準の改正とすると項番号の修正が多くなるため、利便性の観点から項番号を振り直し、新たな会計基準とすることが提案されています。
 

(4) 貸手の会計処理

貸手の会計処理については、IFRS第16号及びTopic 842ともに抜本的な改正が行われていないため、次の点を除き、基本的に、企業会計基準第13号の定めを維持することが提案されています。

  • 企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識会計基準」という。)との整合性を図る点
  • リースの定義及びリースの識別

(※)IFRS第16号の「単一の会計処理モデル」に対して、Topic 842では、使用権モデルによりオペレーティング・リースも含むすべてのリースについて資産及び負債を計上するという点は相違ないものの、オペレーティング・リースの借手が取得する権利及び義務は、残存する資産に対する権利及びエクスポージャーを有さず、オペレーティング・リースを均等なリース料と引き換えにリース期間にわたって原資産に毎期均等にアクセスする経済的便益を享受するものと捉えて、従前と同様にファイナンス・リース(減価償却費と金利費用を別個に認識する。)とオペレーティング・リース(通常、均等な単一のリース費用を認識する。)に区分する「2区分の会計処理モデル」が採用されています。

3. 範囲

(1) 他の会計基準等との関係(本会計基準案第3項及びBC13項からBC16項)

本会計基準案等は、契約の名称などにかかわらず、次の①から④に該当する場合を除き、リースに関する会計処理及び開示に適用することが提案されています。

  項目 範囲外とする提案の理由
実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」の範囲に含まれる運営権者による公共施設等運営権の取得 実務対応報告第35号において、当該運営権を分割せずに一括して会計処理を行うこととしており(実務対応報告第35号第39-3項)、当該運営権の構成要素についてリースに該当するかどうかの検討を行わないこととするため
収益認識会計基準の範囲に含まれる貸手による知的財産のライセンスの供与 収益認識会計基準を適用することとするため
②を除く貸手による無形固定資産のリースについて、本会計基準案を適用しないことを選択した場合
  • 貸手によるその他の無形固定資産のリースについては、IFRS第16号ではその適用を任意とする定めはないものの、その他の無形固定資産のリースが広範に行われているようには見受けられなかったため
  • 企業会計基準第13号における会計処理を変更する必要がないようにするため
借手による無形固定資産のリースについて、本会計基準案を適用しないことを選択した場合 借手によるリースのうち、無形固定資産のリースについては、借手によるソフトウェアのリースが企業会計基準第13号に基づいて会計処理されている実務を変更する必要がないようにするとともに、無形資産のリースに適用することを要求されていないIFRS第16号との整合性を図るため

(2) 個別財務諸表への適用(本会計基準案BC17項)

本会計基準案等を連結財務諸表のみに適用すべきか、連結財務諸表と個別財務諸表の双方に適用すべきかについて検討した結果、本会計基準案等の適用に関する懸念の多くは、個別財務諸表固有の論点ではないと考えられ、本会計基準案等では、連結財務諸表と個別財務諸表の会計処理は同一であるべきとする基本的な考え方及び方針を覆すに値する事情は存在しないと判断し、連結財務諸表と個別財務諸表の会計処理を同一とすることが提案されています。

4. リースの定義(本会計基準案第5項及びBC21項)

リースの定義に関する定めは、借手が貸借対照表に計上する資産及び負債の範囲を決定するものであることから、国際的な会計基準との整合性を確保するためには、リースの定義に関する定めについて、IFRS第16号との整合性を確保する必要があると考えられます。

このため、本会計基準案等では、リースの定義に関する定めについて、IFRS第16号の定めと整合させて、借手と貸手の両方に適用することが提案されています。具体的には、「リース」について、「原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分」と定義することが提案されています。

5. リースの識別(本会計基準案第23項から第28項及びBC25項からBC28項並びに本適用指針案第5項から第14項及びBC8項からBC20項)

本会計基準案等では、リースの識別に関する定めについて、基本的にIFRS第16号の定めと整合させて、借手と貸手の両方に適用することが提案されています。具体的には、主に次の定めを置くことが提案されています。

(1) 契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合、当該契約はリースを含む。

(2) 特定された資産の使用期間全体を通じて、次の①及び②のいずれも満たす場合、当該契約の一方の当事者(サプライヤー)から当該契約の他方の当事者(顧客)に、当該資産の使用を支配する権利が移転している。

① 顧客が、特定された資産の使用から生じる経済的利益のほとんどすべてを享受する権利を有している。

② 顧客が、特定された資産の使用を指図する権利を有している。

(3) 借手及び貸手は、リースを含む契約について、原則として、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに分けて会計処理を行う。

ただし、リースの識別に関する細則的なガイダンスについては、国際的な比較可能性が大きく損なわれるか否かを主要な判断基準として、取捨選択して取り入れることが提案されています。本会計基準案等に取り入れていないものとして、例えば、次のものがあるとされています。

  • 資産が契約に明記されない場合でも黙示的に定められることによって特定され得るとの定め
  • 使用期間全体を通じて使用から得られる経済的利益に影響を与える資産の使用方法に係る意思決定の例示

リースの識別に関する定めは企業会計基準第13号では置かれていなかった定めであり、本会計基準案等の適用によって、これまで企業会計基準第13号により会計処理されていなかった契約にリースが含まれると判断される場合があると考えられます。

(参考)リースの識別に関するフローチャート

(参考)リースの識別に関するフローチャート

* 各権利や契約内容の判断を行う際は、全て「使用期間全体を通じて」該当するか否かを判断する必要があります。

 

6. リース期間

(1) 借手(本会計基準案第29項及びBC29項からBC32項並びに本適用指針案第15項及びBC21項からBC27項)

借手のリース期間の決定は、借手が貸借対照表に計上する資産及び負債の金額に直接的に影響を与えるものであり、IFRS第16号における定めと整合的に、次の定めを置くことが提案されています。

借手は、借手のリース期間について、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、次の①及び②の両方の期間を加えて決定する。

① 借手が行使することが合理的に確実であるリースの延長オプションの対象期間
② 借手が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間

借手のみがリースを解約する権利を有している場合、当該権利は借手が利用可能なオプションとして、借手は借手のリース期間を決定するにあたってこれを考慮する。貸手のみがリースを解約する権利を有している場合、当該期間は、借手の解約不能期間に含まれる。

ここで、「合理的に確実」の判断にばらつきが生じる懸念及び過去実績に偏る懸念に対応し、借手が延長オプションを行使すること又は解約オプションを行使しないことが合理的に確実であるかどうかを判定するにあたって、考慮する経済的インセンティブを生じさせる要因として以下の例示を含めることが提案されています。

① 延長又は解約オプションの対象期間に係る契約条件(リース料、違約金、残価保証、購入オプションなど)
② 大幅な賃借設備の改良の有無
③ リースの解約に関連して生じるコスト
④ 企業の事業内容に照らした原資産の重要性
⑤ 延長又は解約オプションの行使条件

(2) 貸手(本会計基準案第30項及びBC33項)

貸手は、借手による延長又は解約オプションの行使可能性が合理的に確実か否かを評価することが困難であること、本会計基準案は、主として借手の会計処理について改正を行うものであることから、貸手のリース期間については、国際的な会計基準との整合性を図らずに、以下のように、企業会計基準第13号の定めを踏襲することが提案されています。

具体的には、貸手のリース期間について、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、リースが置かれている状況からみて借手が再リースする意思が明らかな場合の再リース期間を加えて決定することが提案されています。

7. 借手のリースの会計処理

(1) 使用権資産及びリース負債の計上(本会計基準案第31項から第33項及びBC35項からBC40項並びに本適用指針案第16項から第17項、第21項から第23項、第25項から第34項、BC29項、BC36項からBC39項及びBC48項からBC56項)

企業会計基準第13号では、リース資産及びリース債務の計上額を算定するにあたっては、原則として、リース契約締結時に合意されたリース料総額からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除する方法によるとされていました。

本会計基準案等では、IFRS第16号の定めと同様に、借手は、使用権資産について、リース開始日に算定されたリース負債の計上額に、リース開始日までに支払った借手のリース料(以下「前払リース料」という。)及び付随費用を加算して算定し(※1)、リース負債の計上額を算定するにあたっては、原則として、リース開始日において未払である借手のリース料からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除し、現在価値により算定することが提案されています。

ここで、借手のリース料は、IFRS第16号の定めと同様に、借手が借手のリース期間中に原資産を使用する権利に関して行う貸手に対する支払であり、次の①から⑤の支払で構成されるとされています。

① 借手の固定リース料
② 指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料
③ 残価保証に係る借手による支払見込額(※2)
④ 借手が行使することが合理的に確実である購入オプションの行使価額
⑤ リースの解約に対する違約金の借手による支払額(借手のリース期間に借手による解約オプションの行使を反映している場合)

(使用権資産及びリース負債の構成要素)

(使用権資産及びリース負債の構成要素)

(※1)使用権資産の計上額については、企業会計基準適用指針第16号における貸手の購入価額又は見積現金購入価額と比較を行う方法を踏襲せず、IFRS第16号と整合的に、借手のリース料の現在価値を基礎として使用権資産の計上額を算定することが提案されています。

(※2)「③残価保証に係る借手による支払見込額」については、見積りが困難である場合に残価保証額を用いることができるとする簡便的な取扱いを設けることが検討されたものの、審議の結果、簡便的な取扱いを設けないことが提案されています。

(2) 利息相当額の各期への配分(本会計基準案第34項並びに本適用指針案第35項から第39項及びBC57項からBC60項)

本会計基準案等では、以下のとおり、原則的な取扱い及び簡便的な取扱いのいずれも現行と同様の取扱いとすることが提案されています。

原則的な取扱い 利息相当額の総額を借手のリース期間中の各期に利息法により配分する方法(※1)
簡便的な取扱い

使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合(※2)は、次のいずれかの方法を適用することが可能(※3)

① 借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除しない方法。この場合、使用権資産及びリース負債は、借手のリース料をもって計上し、支払利息は計上せず、減価償却費のみ計上する

② 利息相当額の総額を借手のリース期間中の各期に定額法により配分する方法


(※1)企業会計基準第13号及び企業会計基準適用指針第16号におけるファイナンス・リース取引に関する定め並びにIFRS第16号の定めと同様となっています。

(※2)使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合とは、未経過の借手のリース料の期末残高(短期リース(下記(4))参照)及び少額リース(下記(5)参照)を適用しているもの、並びに原則的な取扱い(利息法)により配分している使用権資産を除く。)が当該期末残高、有形固定資産及び無形固定資産の期末残高の合計額に占める割合が10パーセント未満である場合とすることが提案されています。

(※3)これらはIFRS第16号では設けられていない取扱いですが、実務の追加的な負担を軽減することを目的として企業会計基準適用指針第16号に導入されたものであり、実務において浸透していることから、本会計基準案等においても、これらの簡便的な取扱いを踏襲することが提案されています。

(3) 使用権資産の償却(本会計基準案第35項から第36項及びBC41項からBC42項並びに本適用指針案第40項及びBC61項)

本会計基準案等では、以下のとおり、使用権資産の償却について、基本的に現行のリース資産の償却と同様の会計処理が提案されています。

契約上の諸条件に照らして原資産の所有権が借手に移転すると認められるリース 使用権資産の減価償却費は、原資産を自ら所有していたと仮定した場合に適用する減価償却方法と同一の方法により算定し、この場合の耐用年数は、経済的使用可能予測期間とし、残存価額は合理的な見積額とする
上記以外のリース 使用権資産の減価償却費は、定額法等の減価償却方法の中から企業の実態に応じたものを選択適用した方法により算定し、この場合、原則として、借手のリース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとする

(4) 短期リースに関する簡便的な取扱い(本適用指針案第18項から第19項、第47項、BC30項からBC31項及びBC69項)

本会計基準案等では、現行の定め及びIFRS第16号の定めと同様に、借手は、短期リース(リース開始日において、借手のリース期間が12か月以内であるリースをいう。)について、リース開始日に使用権資産及びリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたって原則として定額法により費用として計上することを認めることが提案されています。
 

(5) 少額リースに関する簡便的な取扱い(本適用指針案第20項及びBC32項からBC35項)

本会計基準案等では、次の①又は②について、借手は、リース開始日に使用権資産及びリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたって原則として定額法により費用として計上することを認めることが提案されています。

① 重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、借手のリース料が当該基準額以下のリース

② 次のいずれかを満たすリース(※1)

  • 企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリースで、リース契約1件当たりの借手のリース料が300万円以下のリース
  • 原資産の価値が新品時におよそ5千米ドル以下のリース


(※1)会計方針の選択としていずれかを選択でき、選択した方法を首尾一貫して適用する

(6) 契約条件の変更

① リースの契約条件の変更(本会計基準案第37項及びBC43項並びに本適用指針案第41項から第42項及びBC62項からBC66項)

本会計基準案等では、「リースの契約条件の変更」について、リースの当初の契約条件の一部ではなかったリースの範囲又はリースの対価の変更(例えば、1つ以上の原資産を追加若しくは解約することによる原資産を使用する権利の追加若しくは解約、又は、契約期間の延長若しくは短縮)と定義することが提案されています。

また、借手は、IFRS第16号の定めと同様に、リースの契約条件の変更が生じた場合、変更前のリースとは独立したリースとして会計処理を行う又はリース負債の計上額の見直しを行うことが提案されています。具体的には、以下の表のとおりです。

要件

(ⅰ)1つ以上の原資産を追加することにより、原資産を使用する権利が追加され、リースの範囲が拡大されること
(ⅱ)借手のリース料が、範囲が拡大した部分に対する独立価格に特定の契約の状況に基づく適切な調整を加えた金額分だけ増額されること

上記2つの要件をいずれも満たす
||
独立したリースとして会計処理を行う
リースの契約条件の変更
上記2つの要件のいずれかを満たさない
||
独立したリースとして会計処理を行わない
リースの契約条件の変更
独立したリースのリース開始日に、リースの契約条件の変更の内容に基づくリース負債を計上し、当該リース負債にリース開始日までに支払った借手のリース料及び付随費用を加算した額により使用権資産を計上する。

リースの契約条件の変更の発効日に、次の会計処理を行う。

 

(a)リース負債について、変更後の条件を反映した借手のリース期間を決定し、変更後の条件を反映した借手のリース料の現在価値まで修正する。

(b)使用権資産について、次のことを行うことによって、(a)のリース負債の見直しに対応する会計処理を行う。

 

  • リースの契約条件の変更のうちリースの範囲が縮小されるもの(※1)については、リースの一部又は全部の解約を反映するように使用権資産の帳簿価額を減額する。このとき、使用権資産の減少額とリース負債の修正額とに差額が生じた場合は、当該差額を損益に計上する
  • 他のすべてのリースの契約条件の変更(※2)については、リース負債の修正額に相当する金額を使用権資産に加減する


(※1)このようなリースの契約条件の変更には、例えば、リースの対象となる面積が縮小される場合や契約期間が短縮される場合等が含まれる。
(※2)このようなリースの契約条件の変更には、例えば、リース料の単価のみが変更される場合や契約期間が延長される場合等が含まれる。

②リースの契約条件の変更を伴わないリース負債の見直し(本会計基準案第38項から第40項及びBC44項からBC46項並びに本適用指針案第43項から第46項及びBC67項からBC68項)

本会計基準案等では、借手は、IFRS第16号の定めと同様に、リースの契約条件の変更が生じていない場合で、次のいずれかに該当するときには、該当する事象が生じた日にリース負債について当該事象の内容を反映した借手のリース料の現在価値まで修正し、当該リース負債の修正額に相当する金額を使用権資産に加減することが提案されています。

(ⅰ)借手のリース期間に変更がある場合
(ⅱ)借手のリース期間に変更がなく借手のリース料に変更がある場合

(7) 借手のリース期間に含まれない再リース(本適用指針案第49項及びBC70項)

企業会計基準適用指針第16号では、再リース期間をリース資産の耐用年数に含めない場合の再リース料は、原則として、発生時の費用として処理する取扱いを定めていました。当該取扱いは、IFRS第16号では設けられていない取扱いとなっていますが、再リースは我が国固有の商慣習(※)であり、当該取扱いを引き続き設けることにより、国際的な比較可能性を大きく損なわせずに、作成者の追加的な負担を減らすことができると考えられることから、当該取扱いを踏襲した取扱いを認めることが提案されています。

具体的には、借手は、リース開始日及び直近のリースの契約条件の変更の発効日において再リースに係るリース期間を借手のリース期間に含めないことを決定した場合、再リースを当初のリースとは独立したリースとして会計処理を行うことができることが提案されています。

(※)我が国の再リースの一般的な特徴は、再リースに関する条項が当初の契約において明示されており、経済的耐用年数を考慮した解約不能期間経過後において、当初の月額リース料程度の年間リース料により行われる1年間のリースが挙げられます。

(8) セール・アンド・リースバック取引(本適用指針案第50項から第54項及びBC71項からBC83項)

本会計基準案等ではセール・アンド・リースバック取引については、Topic 842と整合的な会計処理が提案されています。

① セール・アンド・リースバック取引の対象

本会計基準案等では、「セール・アンド・リースバック取引」について、売手である借手が資産を買手である貸手に譲渡し、売手である借手が買手である貸手から当該資産をリース(以下「リースバック」という。)する取引と定義することが提案されています。また、リースバックが行われる場合であっても、売手である借手による資産の譲渡が次のいずれかであるときはセール・アンド・リースバック取引に該当しないとされています。

収益認識会計基準に従い、一定の期間にわたり充足される履行義務(収益認識会計基準第36項)の充足によって行われるとき
企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」第95項を適用し、工事契約における収益を完全に履行義務を充足した時点で認識することを選択するとき

② 基本となる会計処理

セール・アンド・リースバック取引における資産の譲渡が売却に該当するか否かで、異なる会計処理が提案されています。なお、IFRS第16号においては、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」により収益が認識されると判断される場合、買手である貸手に移転された権利部分については権利の譲渡に係る利得又は損失を譲渡時に認識し、リースバックにより売手である借手が継続して保持する権利部分については権利の譲渡に係る利得又は損失を繰り延べることとされており、本会計基準案等においては、IFRS第16号の定めとは異なる定めを置くことが提案されています。

資産の譲渡が売却に該当しない場合 売手である借手は当該資産の譲渡とリースバックを一体の取引とみて、金融取引として会計処理を行う
資産の譲渡が売却に該当する場合 売手である借手は、当該資産の譲渡について収益認識会計基準などの他の会計基準等に従い当該損益を認識し、リースバックについて本会計基準案等に従い借手の会計処理を行う
リースバックにより、売手である借手が、資産からもたらされる経済的利益のほとんどすべてを享受することができ、かつ、資産の使用に伴って生じるコストのほとんどすべてを負担することとなる場合に該当する場合は金融取引として会計処理を行う
③ 資産の譲渡が売却に該当するかの判断

資産の譲渡が売却に該当するかの判断について、以下の要件をいずれか満たす場合には売却に該当しないことが提案されています。

要件 売手である借手による資産の譲渡が収益認識会計基準などの他の会計基準等により売却に該当しないと判断される場合
リースバックにより、売手である借手が、資産からもたらされる経済的利益のほとんどすべてを享受することができ、かつ、資産の使用に伴って生じるコストのほとんどすべてを負担することとなる場合
④資産の譲渡が売却に該当するが、資産の譲渡対価が明らかに時価ではないとき又は借手のリース料が明らかに市場のレートでのリース料ではないときの取扱い(※1)

売手である借手は、当該資産の譲渡対価と借手のリース料について次のとおり取り扱うことが提案されています。

会計処理 譲渡対価を増額する場合 (1) 資産の譲渡対価が明らかに時価を下回る場合、時価を用いて譲渡について損益を認識し、譲渡対価と時価の差額について使用権資産の取得価額に含める
(2) 借手のリース料が明らかに市場のレートでのリース料を下回る場合、借手のリース料と市場のレートでのリース料との差額について譲渡対価を増額した上で譲渡について損益を認識し、当該差額について使用権資産の取得価額に含める
譲渡対価を減額する場合 (3) 資産の譲渡対価が明らかに時価を上回る場合、時価を用いて譲渡について損益を認識し、譲渡対価と時価の差額について金融取引として会計処理を行う
(4) 借手のリース料が明らかに市場のレートでのリース料を上回る場合、借手のリース料と市場のレートでのリース料との差額について譲渡対価を減額した上で譲渡について損益を認識し、当該差額について金融取引として会計処理を行う


(※1)資産の譲渡対価が明らかに時価ではないかどうか又は借手のリース料が明らかに市場のレートでのリース料ではないかどうかは、資産の時価と市場のレートでのリース料のいずれか容易に算定できる方を基礎として判定する

 

8. 貸手のリースの会計処理

(1) ファイナンス・リース(本会計基準案第43項から第45項及びBC50項からBC51項並びに本適用指針案第67項から第77項及びBC97項からBC103項)

①基本となる会計処理

本会計基準案等では、ファイナンス・リースの会計処理について、収益認識会計基準において割賦基準が認められなくなったこととの整合性から、企業会計基準適用指針第16号で定められていた3つの方法のうち、「リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法」を廃止し、また、残りの2つの方法については取引実態に応じた選択適用ではなく、貸手が原資産と同一の製品又は商品を販売することを主たる事業としているか否かで区分し、次のとおり提案されています。

  製品又は商品を販売することを主たる事業としている企業が、同時に貸手として同一の製品又は商品を原資産としている場合 貸手が原資産と同一の製品又は商品を販売することを主たる事業としていない場合
所有権移転外
ファイナンス・リース
① リース開始日に、貸手のリース料からこれに含まれている利息相当額を控除した金額で売上高を計上し、同額でリース投資資産を計上する。また、原資産の帳簿価額により売上原価を計上する。原資産を借手の使用に供するために支払う付随費用がある場合、当該付随費用を売上原価に含める
② 各期に受け取る貸手のリース料(以下「受取リース料」という。)を利息相当額とリース投資資産の元本回収とに区分し、前者を各期の損益として処理し、後者をリース投資資産の元本回収額として会計処理を行う
① リース開始日に、原資産の現金購入価額(原資産を借手の使用に供するために支払う付随費用がある場合は、これを含める。)により、リース投資資産を計上する
② 受取リース料の会計処理は、左記②と同様とする
所有権移転
ファイナンス・リース
上記同様(「リース投資資産」を「リース債権」と読み替える)。また、割安購入選択権がある場合、当該割安購入選択権の行使価額を貸手のリース料及び受取リース料に含める
② 利息相当額の各期への配分

本会計基準案等では、以下のとおり、原則的な取扱い及び簡便的な取扱いのいずれも現行と同様の取扱いとすることが提案されています。

原則的な取扱い 利息相当額の総額を貸手のリース期間中の各期に利息法により配分する
簡便的な取扱い リースを主たる事業としていない企業による所有権移転外ファイナンス・リースに重要性が乏しいと認められる場合、利息相当額の総額を貸手のリース期間中の各期に定額で配分することができる

(2) オペレーティング・リース(本会計基準案第46項並びに本適用指針案第78項及びBC104項)

企業会計基準第13号では、オペレーティング・リース取引は、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことのみを定めていました。

本会計基準案等では、フリーレント(契約開始当初数か月間賃料が無償となる契約条項)やレントホリデー(例えば、数年間賃貸借契約を継続する場合に一定期間賃料が無償となる契約条項)に関する会計処理を明確にして収益認識会計基準との整合性を図るため、貸手は、オペレーティング・リースによる貸手のリース料について、貸手のリース期間にわたり原則として定額法で計上することが提案されています。

9. サブリース取引(本適用指針案第85項から第89項及びBC106項からBC116項)

(1) 基本となる会計処理

本会計基準案等では、「サブリース取引」について、原資産が借手から第三者にさらにリース(以下「サブリース」という。)され、当初の貸手と借手の間のリースが依然として有効である取引と定義し、当初の貸手と借手の間のリースを「ヘッドリース」、ヘッドリースにおける借手を「中間的な貸手」と定義した上で、サブリース取引について、IFRS第16号と同様にヘッドリースとサブリースを2つの別個の契約として借手と貸手の両方の会計処理を行うことが提案されています。

IFRS第16号においては、本会計処理に対する例外は設けられていませんが、本会計基準案等では、サブリース取引の例外的な定めとして、「中間的な貸手がヘッドリースに対してリスクを負わない場合」の取扱いと「転リース取引」の取扱いを定めることが提案されています。
 

(2) 中間的な貸手がヘッドリースに対してリスクを負わない場合

我が国の不動産取引において、法的にヘッドリースとサブリースがそれぞれ存在する場合であっても、中間的な貸手がヘッドリースとサブリースを2つの別個の契約として借手と貸手の両方の会計処理を行い、貸借対照表において資産及び負債を計上することが取引の実態を反映しない場合があるとの意見が聞かれました。

これを受けたASBJでの審議の結果、国際的な比較可能性を大きく損なわせない範囲で我が国における例外的な取扱いを定めることが提案されています。

要件

中間的な貸手において、次の要件をいずれも満たす取引

(1) 中間的な貸手は、サブリースの借手からリース料の支払を受けない限り、ヘッドリースの貸手に対してリース料を支払う義務を負わない

(2) 中間的な貸手のヘッドリースにおける支払額は、サブリースにおいて受け取る金額にあらかじめ定められた料率を乗じた金額である

(3) 中間的な貸手は、次のいずれを決定する権利も有さない

① サブリースの契約条件(サブリースにおける借手の決定を含む。)

② サブリースの借手が存在しない期間における原資産の使用方法

会計処理 サブリースにおいて受け取るリース料の発生時又は当該リース料の受領時のいずれか遅い時点で、貸手として受け取るリース料と借手として支払うリース料の差額を損益に計上することができる

(3) 転リース取引

企業会計基準適用指針第16号における転リース取引の取扱いについては、主に機器等のリースについて仲介の役割を果たす中間的な貸手の会計処理として実務に浸透しているため、本会計基準案等では、当該取扱いをサブリース取引の例外的な取扱いとして、企業会計基準適用指針第16号の定めを変更せずに認めることが提案されています。

要件 中間的な貸手において、転リース取引(※1)のうち、貸手としてのリースが原資産を基礎として分類する場合にファイナンス・リースに該当する場合
会計処理 (1) 貸借対照表上、リース債権又はリース投資資産とリース負債の双方を計上する(※2)
(2) 損益計算書上、支払利息、売上高、売上原価等は計上せずに、貸手として受け取るリース料と借手として支払うリース料の差額を手数料収入として各期に配分し、転リース差益等の名称で計上する


(※1)転リース取引とは、サブリース取引のうち、原資産の所有者から当該原資産のリースを受け、さらに同一資産を概ね同一の条件で第三者にリースする取引とすることが提案されています。
(※2)リース債権又はリース投資資産とリース負債は利息相当額控除後の金額で計上することを原則としつつ、利息相当額控除前の金額で計上することもできるとすることが提案されています。

 

10. 開示

(1) 表示(本会計基準案第47項から第51項及びBC52項からBC57項)

① 借手

本会計基準案等では、借手の会計処理をIFRS第16号と整合的なものとする中で、借手の表示についても、IFRS第16号と整合的なものとすることとし、次のとおり提案されています。

使用権資産

次のいずれかの方法

① 対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目に含める方法
② 対応する原資産の表示区分(有形固定資産、無形固定資産又は投資その他の資産)において使用権資産として区分する方法

リース負債
  • 貸借対照表において区分して表示する又はリース負債が含まれる科目及び金額を注記する
  • 貸借対照表日後1年以内に支払の期限が到来するリース負債は流動負債に属するものとし、貸借対照表日後1年を超えて支払の期限が到来するリース負債は固定負債に属するものとする
リース負債に係る利息費用 損益計算書において区分して表示する又はリース負債に係る利息費用が含まれる科目及び金額を注記する
② 貸手

本会計基準案等では、貸手の会計処理について、収益認識会計基準との整合性を図る点並びにリースの定義及びリースの識別を除き、基本的に企業会計基準第13号の定めを踏襲しており、貸手の表示についても、企業会計基準第13号を踏襲した以下のような提案がされています。

貸借対照表 当該企業の主目的たる営業取引により発生したものである場合 リース債権及びリース投資資産について、流動資産に表示する
当該企業の主目的たる営業取引以外の取引により発生したものである場合 貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金の期限が到来するものは流動資産に表示し、入金の期限が1年を超えて到来するものは固定資産に表示する
原則 リース債権及びリース投資資産のそれぞれについて、貸借対照表において区分して表示する又はそれぞれが含まれる科目及び金額を注記する
容認 リース債権の期末残高が、当該期末残高及びリース投資資産の期末残高の合計額に占める割合に重要性が乏しい場合、リース債権及びリース投資資産を合算して表示又は注記することができる
損益計算書 次の事項について、損益計算書において区分して表示する又はそれぞれが含まれる科目及び金額を注記する。
(1) ファイナンス・リースに係る販売損益(売上高から売上原価を控除した純額)
(2) ファイナンス・リースに係るリース債権及びリース投資資産に対する受取利息相当額
(3) オペレーティング・リースに係る収益(貸手のリース料に含まれるもののみを含める。)

(2) 注記(本会計基準案第52項から第55項及びBC58項からBC61項並びに本適用指針案第90項から第105項及びBC117項からBC138項)

① 開示目的

開示目的を定めることで、より有用な情報が財務諸表利用者にもたらされると考えられるため、本会計基準案等では、リースに関する情報を注記するにあたっての開示目的(借手又は貸手が注記において、財務諸表本表で提供される情報と合わせて、リースが借手又は貸手の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに与える影響を財務諸表利用者が評価するための基礎を与える情報を開示すること)を定めることが提案されています。

② 借手及び貸手の具体的な注記事項

本会計基準案等では、開示目的を達成するため、リースに関する注記として、次の事項を注記することが提案されています。

  注記事項 具体的な記載内容
借手の注記事項 会計方針に関する情報 リースに関して企業が行った会計処理について理解することができるよう、次の会計処理を選択した場合、その旨及びその内容を注記する。
(ⅰ)リースを構成する部分とリースを構成しない部分とを分けずに、リースを構成する部分と関連するリースを構成しない部分とを合わせてリースを構成する部分として会計処理を行う選択
(ⅱ)指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料に関する例外的な取扱いの選択
(ⅲ)借地権の設定に係る権利金等に関する会計処理の選択
リース特有の取引に関する情報 リースが企業の財政状態又は経営成績に与える影響を理解できるよう、次の事項を注記する。
(ⅰ)貸借対照表において区分して表示していない場合の注記
(ⅱ)損益計算書において区分して表示していない場合の注記
(ⅲ)セール・アンド・リースバック取引及びサブリース取引に関する注記
当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報 当期及び翌期以降のリースの金額を理解できるよう、次の事項を注記する。
(ⅰ)リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額
(ⅱ)使用権資産の増加額
(ⅲ)対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目ごとの使用権資産に係る減価償却の金額
貸手の注記事項 ファイナンス・リースの貸手の注記 リース特有の取引に関する情報 リースが企業の財政状態又は経営成績に与える影響を理解できるよう、次の事項を注記する。
(ⅰ)貸借対照表において区分して表示していない場合の注記
(ⅱ)損益計算書において区分して表示していない場合の注記
当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報 当期及び翌期以降のリースの金額を理解できるよう、次の事項を注記する。
(ⅰ)リース債権の残高に重要な変動がある場合のその内容
(ⅱ)リース投資資産の残高に重要な変動がある場合のその内容
(ⅲ)リース債権に係るリース料債権部分について、貸借対照表日後5年以内における1年ごとの回収予定額及び5年超の回収予定額
(ⅳ)リース投資資産に係るリース料債権部分について、貸借対照表日後5年以内における1年ごとの回収予定額及び5年超の回収予定額
オペレーティング・リースの貸手の注記 リース特有の取引に関する情報 リースが企業の経営成績に与える影響を理解できるよう、次の事項を注記する。
(ⅰ)損益計算書において区分して表示していない場合の注記
当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報 当期及び翌期以降のリースの金額を理解できるよう、次の事項を注記する。
(ⅰ)オペレーティング・リースに係る貸手のリース料について、貸借対照表日後5年以内における1年ごとの回収予定額及び5年超の回収予定額
全般事項
  • 開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項については、記載しないことができる。
  • 注記を記載するにあたり、上記の注記事項の区分に従って注記事項を記載する必要はない。
  • リースに関する注記を独立の注記項目とする。ただし、他の注記事項に既に記載している情報については、繰り返す必要はなく、当該他の注記事項を参照することができる。
  • 上記に掲げる注記事項以外であっても、開示目的を達成するために必要な情報は、リース特有の取引に関する情報として注記する。
③ 借手の注記事項に関する方針

本会計基準案等では、借手の会計処理をIFRS第16号と整合的なものとする中で、借手の注記事項についても、IFRS第16号と整合的なものとすることが提案されています。

ただし、本会計基準案等は簡素で利便性が高いものを目指していることから、取り入れなくとも国際的な比較可能性を大きく損なわせない内容については、必ずしもIFRS第16号に合わせる必要はないと考えられるため、取り入れないことが提案されています。具体的には、我が国の会計基準に関連のない注記、少額リースの費用に関する注記及び短期リースのポートフォリオに関する注記について、取り入れないことが提案されています。

④ 貸手の注記事項に関する方針

本会計基準案等では、貸手の会計処理について、収益認識会計基準との整合性を図る点並びにリースの定義及びリースの識別を除き、基本的に企業会計基準第13号の定めを踏襲することとしたため、貸手の注記事項についても、企業会計基準第13号の定めを踏襲することが考えられました。一方、IFRS第16号における貸手の注記事項には、企業会計基準第13号における貸手の注記事項に比して多くの定めがあり、IFRS第16号の定めをもとに注記を拡充することで、国際的な比較可能性を達成し財務諸表利用者により有用な情報を提供することができると考えられますが、財務諸表作成者に追加的な負担を課すことになります。

審議の結果、本会計基準案等では、貸手の注記事項について、IFRS第16号と整合的なものとすることが提案されています。
 

(3) 連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表における表示及び注記事項(本適用指針案第106項から第107項及びBC139項からBC141項)

本会計基準案等では、連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表においては、借手及び貸手の注記の内の「リース特有の取引に関する情報」及び「当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報」について注記しないことを認めることが提案されています。また、個別財務諸表においては、借手の注記の内の「会計方針に関する情報」を記載するにあたり、連結財務諸表における記載を参照することを認めることが提案されています。

開示に関して、本会計基準案等に基づく連結財務諸表における開示の定めと個別財務諸表及び四半期財務諸表との関係は、下表のとおりとなります。

項目 本会計基準案等の定め 個別財務諸表 四半期財務諸表
表示
区分表示が求められているものに関する注記 (借手)本会計基準案第48項及び第49項
(貸手)本会計基準案第50項及び第51項
注記する 注記不要(※1)
注記事項
会計方針に関する情報
(本会計基準案第53項(1)①)
(借手)本適用指針案第93項 省略可(※2) 注記不要(※3)
リース特有の取引に関する情報
(本会計基準案第53項(1)②及び(2)①)
(借手)本適用指針案第90項、第91項及び第94項から第97項
(貸手)本適用指針案第90項から第92項、第99項から第101項及び第104項
省略可(※4) 注記不要(※5)
当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報
(本会計基準案第53項(1)③及び(2)②)
(借手)本適用指針案第98項
(貸手)本適用指針案第102項から第103項及び第105項
省略可(※4) 注記不要(※5)


(※1)四半期財務諸表において表示又は注記が求められる科目は、企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」(以下「四半期会計基準」という。)の定めに基づいて判断されます。

(※2)連結財務諸表における記載を参照することができるとすることが提案されています(本適用指針案第107項)。

(※3)リースに関する会計方針が重要な会計方針に該当する場合の当該会計方針の変更は、四半期会計基準において注記の対象となります。また、重要な会計方針に該当しない場合の当該会計方針の変更が企業(集団)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適切に判断するために重要な事項となる場合には、四半期会計基準においてその他の事項として注記が求められます。

(※4)連結財務諸表を作成している場合、注記しないことができるとすることが提案されています(本適用指針案第106項)。

(※5)企業(集団)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適切に判断するために重要な事項となる場合には、四半期会計基準においてその他の事項として注記が求められます。

 

11. 適用時期(本会計基準案第56項及びBC62項並びに本適用指針案第108項)

本会計基準案等では、以下の理由から、適用時期について次のように提案されています。

① これまでにASBJが公表してきた会計基準については、会計基準の公表から原則的な適用時期までが1年程度のものが多い

② IFRS第16号の原則的な適用時期が2019年1月であり、また、Topic 842における公開企業の原則的な適用時期もほぼ同時期であったため、会計基準の公表から原則的な適用時期までの期間を長く設ける場合、我が国における実務が国際的な実務と整合的なものとなるまでの期間が長くなる

③ リースの識別を始め、これまでとは異なる実務を求めることとなるため、会計基準の公表から原則的な適用時期までの期間は1年程度では短い可能性がある

④ 一方、本会計基準等の適用開始にかかる実務上の負担への対応として、我が国の会計基準を基礎とした場合に関連すると考えられるIFRS第16号の経過措置を取り入れていることに加えて我が国特有の経過措置を設けている

原則適用

20XX年4月1日[公表から2年程度経過した日を想定している。]以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用

早期適用

20XX年4月1日[公表後最初に到来する年の4月1日を想定している。]以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から本会計基準を適用することができる

なお、2023年8月までに本公開草案へのコメントが募集され、その後最終化に向けた審議が再開され、2024年3月末までに会計基準が最終化された場合、以下のような適用時期が考えられます。

原則適用

2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用

早期適用

2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から本会計基準を適用することができる

 

12. 経過措置(本適用指針案第109項から第128項及びBC142項からBC150項)

本適用指針案では、会計基準の適用初年度においては、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用することができるとの経過措置が提案されています。そして、次の項目について具体的な経過措置の方法が提案されています。

①リースの識別に関する経過措置

  • 適用初年度の前連結会計年度及び前事業年度の期末日において企業会計基準第13号を適用しているリース取引に、契約にリースが含まれているか否かを判断することを行わずに会計基準を適用することができる
  • 適用初年度の期首時点で存在する企業会計基準第13号を適用していない契約について、当該時点で存在する事実及び状況に基づいて、契約にリースが含まれているかどうかを判断することができる

② 借手に関する経過措置

ア. ファイナンス・リース取引に分類していたリース

イ. オペレーティング・リース取引に分類していたリース等

ウ. セール・アンド・リースバック取引

エ. 借地権の設定に係る権利金等

オ. 建設協力金等の差入預託保証金

③ 貸手に関する経過措置

ア. ファイナンス・リース取引に分類していたリース

イ. オペレーティング・リース取引に分類していたリース等

ウ. サブリース取引

④ 国際財務報告基準を適用している企業に関する経過措置

 

Ⅱ. ASBJのその他公開草案の概要

1. 賃貸等不動産時価開示会計基準改正案

賃貸等不動産時価開示会計基準改正案等では、次のとおり提案されています。

(1) 棚卸資産に分類されている不動産以外のものであって、賃貸収益又はキャピタル・ゲインの獲得を目的としてリースの借手により使用権資産の形で保有されている不動産(ファイナンス・リースの貸手における不動産を除く。)を賃貸等不動産の定義に含める

(2) 賃貸等不動産の範囲を変更しない

(3) 賃貸等不動産の定義を満たす使用権資産について、賃貸等不動産の当期末における時価及びその算定方法の注記の対象外とする

(4) 賃貸等不動産の定義を満たす使用権資産に係る賃貸等不動産の貸借対照表計上額及び期中における主な変動の注記については、当期末における時価を注記する所有資産である賃貸等不動産とは区別して注記を行う

2. その他の公開草案

その他の公開草案では、本会計基準案等の定めに合わせるための文言や表現に係る修正、本会計基準案等との関連を補足する結論の背景での追記等が提案されています。

Ⅲ. ASBJの公開草案等に対するコメント募集

本公開草案に対するコメント募集に際し、以下の個別の質問が示されています。

質問 1 (開発にあたっての基本的な方針(借手の会計処理)に関する質問)
質問 2 (開発にあたっての基本的な方針(貸手の会計処理)に関する質問)
質問 3 (他の会計基準等との関係に関する質問)
質問 4 (個別財務諸表への適用に関する質問)
質問 5 (リースの定義及びリースの識別に関する質問)
質問 6 (借手のリース期間に関する質問)
質問 7 (貸手のリース期間に関する質問)
質問 8 (リース開始日の使用権資産及びリース負債の計上額に関する質問)
質問 9 (短期リースに関する簡便的な取扱いについての質問)
質問 10 (少額リースに関する簡便的な取扱いについての質問)
質問 11 (借地権の設定に係る権利金等に関する質問)
質問 12 (利息相当額の各期への配分に関する質問)
質問 13 (使用権資産の償却に関する質問)
質問 14 (リースの契約条件の変更及びリースの契約条件の変更を伴わないリース負債の見直しに関する質問)
質問 15 (借手のリース期間に含まれない再リースに関する質問)
質問 16 (セール・アンド・リースバック取引に関する質問)
質問 17 (ファイナンス・リースに関する質問)
質問 18 (オペレーティング・リースに関する質問)
質問 19 (サブリース取引に関する質問)
質問 20 (表示に関する質問)
質問 21 (注記事項に関する質問)
質問 22 (連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表における表示及び注記事項に関する質問)
質問 23 (適用時期に関する質問)
質問 24 (経過措置に関する質問)
質問 25 (設例に関する質問)
質問 26 (賃貸等不動産時価開示会計基準改正案等に関する質問)
質問 27 (その他)

なお、本稿は本公開草案の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

Ⅳ. JICPAの公開草案等の概要

上記「コメント募集のお知らせ」のとおり、実務指針等の改正、廃止が提案されており、主な内容は以下のとおりです。

1. ASBJからの改正依頼による主な改正

(1) 用語の変更

以下の現在の用語を変更案のとおり改正することが提案されています。

(現在の用語)リース取引 ⇒ (変更案)リース
(現在の用語)リース資産 ⇒ (変更案)使用権資産
(現在の用語)リース債務 ⇒ (変更案)リース負債
 

(2) 借手の会計処理

借手のリースの費用配分の方法について、IFRS第16号と同様に、リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかにかかわらず、全てのリースを金融の提供として捉えて、使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る利息相当額を計上する単一の会計処理モデルにすることを受けた改正が提案されています。

2. ASBJからの改正依頼によらないJICPA独自の主な改正

(1) 業種別監査委員会報告第19号「リース業における金融商品会計基準適用に関する当面の会計上及び監査上の取扱い」

「2. リース業における負債の包括ヘッジの取扱い」は、ヘッジ取引のうち2000年4月1日以後開始する最初の事業年度末までに行ったヘッジ取引契約(ただし、最長契約期間10年以内のものに限る。)を適用の対象としており、既にその役割を終えているため削除することが提案されています。


(2) 業種別委員会実務指針第53号「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」、同実務指針第65号「投資法人における監査上の取扱い」及び監査・保証実務委員会実務指針第90号「特別目的会社を利用した取引に関する監査上の留意点についてのQ&A」

監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」及び保証業務実務指針(序)「保証業務実務指針及び専門業務実務指針並びに関連する公表物の体系及び用語」(2022年7月21日公表)が公表されたことに伴い、修正後の基準体系に合わせるための修正を行うことが提案されています。

3. ASBJからの廃止依頼

(1) 会計制度委員会報告第5号「連結財務諸表におけるリース取引の会計処理に関する実務指針」

リースの連結上の会計処理の取扱いを示すという意義はあるものの、実際に示されている会計処理は、一般的な連結財務諸表の連結修正仕訳の考え方と大きく変わらないものであるため廃止することが提案されています。

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