役員報酬の開示分析 第3回:売上規模別報酬分析

2017年12月15日
カテゴリー 解説シリーズ

公認会計士 兵藤 伸考

Question 

売上規模別の取締役報酬総額、対売上高報酬総額比率が知りたい。

Answer 

【調査範囲】

  • 調査日:平成29年9月
  • 調査対象期間:平成28年4月期から平成29年3月期
  • 調査対象書類:有価証券報告書
  • 調査対象会社:東京PRO Market上場会社を除く全上場会社(3,641社)

報酬額については、社外取締役及び執行役員の金額を集計している。また、社外役員の報酬について内訳として社外取締役の報酬額を明記していない場合、社外役員の報酬総額を社外取締役の報酬額とみなして算定している。

【調査結果】

(1) 売上規模別報酬総額(平均)分析

売上規模に応じて報酬総額は増加しており相関関係がみられる(<図表1>参照)。報酬総額が10億円を超える会社は34社あり、そのうち30社は売上高5,000億円以上の会社であった。
売上規模が大きくなるほど役員人数が増えること、株主総会で報酬総額の上限を定め、個々の報酬額は取締役会で決定する会社が多く、売上高等の業績に応じて支給される会社が多いことが要因と考えられる。

<図表1> 売上規模別報酬総額(平均)分析

売上規模
会社数
報酬総額(平均)
100億円未満
956
75百万円
100億円以上
1,325
137百万円
500億円以上 436 198百万円
1,000億円以上 506 262百万円
3,000億円以上 141 322百万円
5,000億円以上 131 444百万円
1兆円以上 146 656百万円
合計 3,641 184百万円

(2) 対売上高報酬比率分析

売上規模が増加するに応じて、報酬比率は小さくなる相関関係が見られる(<図表2>参照)。売上高100億円未満の会社では、報酬総額が売上高1%以上を占める会社が696社と全体の約73%を締めている。
これらの会社には、新規上場して間もない会社や業績が悪化して売上高が減少している会社が多く含まれているためと考えられる。

<図表2> 売上規模別の対売上高報酬比率(平均)分析

売上規模
会社数
報酬比率(平均)
100億円未満
956
2.89%
100億円以上
1,325
0.62%
500億円以上 436 0.28%
1,000億円以上 506 0.17%
3,000億円以上 141 0.08%
5,000億円以上 131 0.07%
1兆円以上 146 0.03%
合計 3,641 1.05%

(旬刊経理情報(中央経済社) 平成29年11月1日増大号 No.1494「役員報酬の開示分析」を一部修正)

この記事に関連するテーマ別一覧

表示と開示

企業会計ナビ

企業会計ナビ

会計・監査や経営にまつわる最新情報、解説記事などを発信しています。

一覧ページへ