ストック・オプション 第9回:開示

2019年6月28日
カテゴリー 解説シリーズ

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 山岸聡

1. ストック・オプションに関する注記事項(会計基準第16項(1)、適用指針第24項)

(1) サービスを取得した場合、当該会計期間において計上した費用の額とその科目名称
ストック・オプションを付与した場合は、「サービスの取得」に該当します。開示対象となる費用の額は、当該会計期間に新たに付与したストック・オプション等に係る当期の費用計上額と、当該会計期間より前に付与されたストック・オプション等に係る当期の費用計上額の双方を含みます。

(2) 財貨を取得した場合、その取引による当初の資産計上額(又は費用計上額)と科目名称

(3) 権利不行使による失効が生じた場合、利益として計上した額

2. 各会計期間において存在したストック・オプションの内容、規模及びその変動状況 (会計基準第16項(2)、適用指針第25、26項)

(1) 付与対象者の区分(役員、従業員などの別)および人数

(2) ストック・オプションの数※
権利行使された場合に交付することとなる株式の数で表示します。また、当該企業が複数の種類の株式を発行している場合には、株式の種類別に記載を行います。

(3) 付与日

(4) 権利確定条件
付されていない場合には、その旨を記載します。

(5) 対象勤務期間
定めがない場合には、その旨を記載します。

(6) 権利行使期間

(7) 権利行使価格

(8) 付与日における公正な評価単価
会社法施行日以後に付与されたストック・オプションにつき記載します。

(9) 権利行使時の株価の平均値
当該会計期間中に権利行使されたものを対象とします。

※(2)のストック・オプションの数に関しては、下記の区分ごとに記載します。
ア) 付与数
イ) 権利不確定による失効数
ウ) 権利確定数
エ) 権利未確定残数
オ) 権利行使数
カ) 権利不行使による失効数
キ) 権利確定後の未行使残数
なお、イ)、ウ)、オ)及びカ)については、当該会計期間中の数を記載し、エ)及びキ)については、期首及び期末の数を記載します。

3. ストック・オプションの公正な評価単価の見積方法 (基準第16項(3)、適用指針第29、31項)

当該会計期間中に付与されたストック・オプション及び当該会計期間中の条件変更により公正な評価単価が変更されたストック・オプションにつき、公正な評価単価の見積方法として使用した算定技法、使用した主な基礎数値及びその見積方法を記載します。使用した算定技法と使用した主な基礎数値の見積方法に関し、内容が同一のものについては集約して記載することができます。

未公開企業においてストック・オプションを付与している場合には、ストック・オプションの公正な評価単価の見積方法として、その価値算定の基礎となる自社の株式の評価方法についても注記します。

4. ストック・オプションの権利確定数の見積方法 (会計基準第16項(4)、適用指針30項)

ストック・オプションの権利確定数の見積方法として、勤務条件や業績条件の不達成による失効数の見積方法を記載します。

5. ストック・オプションの単位当たりの本源的価値による算定を行う場合には、当該ストック・オプションの各期末における本源的価値の合計額及び各会計期間中に権利行使されたストック・オプションの権利行使日における本源的価値の合計額 (会計基準第16項(5)、適用指針第32項)

各会計期間中に権利行使されたストック・オプションの権利行使日における本源的価値の合計額の計算は、月中の平均株価を基礎として算定するなどの簡便で合理的な算定方法によることが可能です。

6. ストック・オプションの条件変更の状況 (会計基準第16項(6)、適用指針第33項)

ストック・オプションの条件変更を行った結果、ストック・オプションの内容として注記した事項に変更が生じた場合は、その変更内容について注記します。条件変更日におけるストック・オプションの公正な評価単価が付与日の公正な評価単価以下となったため、公正な評価単価の見直しを行わなかった場合にも、その旨を注記します。

7. 自社株式オプション又は自社の株式に対価性がない場合には、その旨及びそのように判断した根拠 (基準第16項(7)、適用指針第34項)

財貨又はサービスの取得の対価として自社株式オプション又は自社の株式を用いた場合には、該当する項目につき、ストック・オプションの場合の注記に準じて開示を行います。この場合、取得した財貨又はサービスの内容及び財貨又はサービスの取得価額の算定を当該財貨又はサービスの公正な評価額によった場合には、その旨を併せて注記します。