経験から得た教訓
廣澤さんの場合、競技を通して自らのパーパスを見つけました。それが、心身のバランスと充実感を得られるよう人々をサポートする、ヨガ中心のビジネス設立に向けた原動力となっています。
水上スキーのアジアオセアニアチャンピオンである彼女は、日本のWABNアカデミーの第1期生です。このアカデミーは、起業家精神などのビジネススキルを学びながら女性アスリートが社会のリーダーとなることを支援するプログラムです。2022年1月より、WABNアカデミーでEY Japanのプロフェッショナルから実践的なビジネススキルを学び、スポーツから学んだ教訓をどのように生かせるかを探究しています。
2011年から2012年にかけて廣澤さんが取り組んでいたのは水上スキーの世界大会に向けて、常に50メートル以上のジャンプをすることに集中し、それ以外は何も考えずにトレーニングを続けることでした。「それができなかったら意味がないと思い込んでしまい、当時のセルフコンパッション(自己肯定感)はゼロでした。でも、競技成績が落ちてみて、その目標にこだわらなくなると、逆に成績が伸び始めたんです。このことから、心身のバランスがいかに大切かという教訓を得られました」と言います。
水上スキーを大学で始めた時は、個人レベル、チームレベル、全国レベルという3つのレベルでトップになることが目標でした。その3つの目標を達成し、アジアレベルでもトップを目指そうとした時に、自分に自信が持てず果てしなくもがき苦しみました。世界でメダルを獲得したとしても自分のベストを尽くすことができない限り、自分は満足しないということに気付いたのです。
その教訓がきっかけで、自身のスポーツ人生での最初の時期をこれまでとは違う視点から見つめ直すことになったと言います。廣澤さんは現在、ヨガビジネスを通して自分のベストを尽くすことが自己肯定につながることを人々に示し、社会に貢献したいと願っています。
「ビジネスには常に興味がありましたが、どこからスタートしたらよいか分かりませんでした。ビジネススキルを学べるWABNのことを知ってから、参加したいと思うようになりました」。
廣澤さんは、WABNアカデミーでスキルやアイデアを得られただけではなく、起業家としての道を進む上で役立つ新たな「集中力」を養うこともできたと述べています。