EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
タイ国は2017年に、経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)の税源浸食と利益移転 (Base Erosion and Profit Shifting: BEPS) における包摂的枠組みである行動計画13に参加しました。国別報告書(Country-by-Country Report: CbCR)は、BEPS行動計画13のメンバー全員が現地の申告義務として実施しなければならないBEPSの最低基準要件の1つです。タイ歳入局は、まもなく現地申告義務の一部としてCbCRを要求することになります。
BEPSとは税源浸食と利益移転を意味し、多国籍企業 (Multinational enterprises: MNEs) が一般的に使用する、税金納付を最小限に抑えたり、回避したりする戦略を防止するための行動計画を提供するOECDによるイニシアチブです。これにより、利益が低税率の所在地に不均衡にシフトされ、グループ全体の利益に係る所得税納付額が小さくなる又はゼロになることを防止します。
CbCRとは、MNEが事業活動を行う各国の特定情報を含む報告書です。これには、非関連者及び関連者から得た収益額、所得税引前損益、納付税額及び未払法人税額、資本金、利益剰余金、従業員数、有形資産、グループ内の全法人のリスト、税務上の居住地国及び事業の性質、並びに追加説明情報の項目が含まれています。OECDが推奨するCbCRの標準テンプレートは、オンラインで入手可能です。
CbCRの情報により、税務当局は、MNEが各税務上の居住地国における事業運営に対し、所得、利益及びその他のリソースをどのように割り当てているかを確認し、潜在的な利益移転があるか否かを評価することができます。
一般的にMNEの最終的な親会社は、MNEのCbCRを毎年作成し、税務上の居住地国の税務当局に提出する必要があります。MNEの最終的な親会社の居住地国がCbCR提出のためのプラットフォームを提供していない場合、親会社による代理提出及びローカル提出として知られる他の提出メカニズムを代替として使用することができます。
各国の税務当局は、CbCRに記載されている他の国の税務当局に自動的にCbCRを提出します。この交換は、当局多国間合意 (Multilateral Competent Authority Agreement: MCAA)、租税条約又は情報の自動交換を可能にする税務情報交換協定等の国際合意の条件に従って行われます。
MCAAとは、参加国の税務当局間のCbCRの相互及び非相互的な自動的情報交換を促進するための国際協定です。CbCRを受け取る税務当局は、交換された情報の機密性を維持する必要があります。これは、移転価格リスクの評価にのみ使用できます。タイ国は現在、MCAAの参加国ではありませんが、近い将来参加国に加わる予定です。
直前会計年度の年間連結収益が7億5,000万ユーロ以上のMNEは、会計年度末日より12カ月以内にCbCRを電子的に提出する必要があります。
CbCRがタイ国で義務付けられると、OECD移転価格ガイドラインのもとでは以下の企業が報告書を提出する必要があり、連結グループ収益基準は7億5,000万ユーロに近いタイバーツ額になると予想できます。
(1) タイ国で設立されたMNEの最終的な親会社。又は
(2) タイ国で設立された、最終的な親会社によって任命された法的に代理となる会社。又は
(3) 以下のいずれかの要件が満たされる場合に、タイ国で事業を行うMNEの外国子会社又は支店。
最終的な親会社が居住地国でCbCRを提出する義務を有さず、最終的な親会社の代わりにタイ国でCbCRを提出する会社を任命していない。
最終的な親会社の税務上の居住地国が、タイ国とCbCRの自動的情報交換に関する有効な国際協定を締結していない。
タイ税務当局が、最終的な親会社又はその法的な代理となる会社の税務上の居住地国によって系統的障害の通知を受けている。
タイ国はまもなくCbCRに関する規制を導入し、MCAAに参加します。これにより、最終的な親会社である、又は7億5,000万ユーロ以上の連結収益を持つMNEのメンバーであるタイ国納税者は、タイ国でCbCR又は関連する通知を提出することを要求されます。
CbCRで開示された情報は、MCAAの参加国であり、MNEが操業する国の税務当局間で共有されます。
MCAAに参加する利点として、自動的情報交換はMNEの子会社が別々の税務上の居住地国でCbCRを提出する必要がないという意味するので、タイ国に本社を置くMNEの外国子会社のコンプライアンス負担を軽減することが挙げられます。
CbCR及びMCAAの実施に際して、どの会社が最終的な親会社であるかの決定方法、及びグループメンバー間の会計年度が異なる場合のMNEの連結収益の計算方法について、議論を深める必要があります。
OECD BEPS行動計画13は、移転価格文書一式がローカルファイル、マスターファイル及びCbCRから構成される必要があると推奨しています。この推奨に従うために、タイ国のローカルファイル、マスターファイルおよびCbCRを含む移転価格文書要件を明確にする新規制を、歳入局が間もなく発行することを期待されます。
近年、タイ国では移転価格分野が急速に進展しており、MNEは報告義務を引き続き順守するため、動向を注視する必要があります。
※このタックス・アラートの目的は提案事項の理解を容易にすることであり、事前に専門家と相談することなく、税務プランニングの目的のみに使用するべきではない点にご留意ください。
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