タイ、移転価格国別報告書(CbCR)を必須化

タイ タックスアラート - 2021年10月26日

タイ歳入局は2021年9月30日、国別報告書(Country-by-Country Report: CbCR)の提出の必須要件について、所得税に関する歳入局長官通達第408号(Notification of Director-General No. 408: DGN408)を発行しました。主な内容は以下のとおり要約されます。

1.発効日:2021年1月1日以降に開始する会計年度

2.タイ国の法人納税者は、以下の場合にCbCRの提出を要求されます。

a.多国籍企業(Multinational enterprise: MNE)グループのタイ国の最終的な親会社
b.MNEグループのタイ国の子会社であり、以下である場合:

  • MNEグループの最終的な親会社が、税務上の居住地国でCbCRの提出を要求されていない。
  • MNEグループの最終的な親会社が、税務上の目的でその居住地国でCbCRの提出を要求されているが、当該国はタイ国との間に情報交換に関する協定を有しないか、または報告期間中に関わる協定が発効していない。または
  • 情報交換中に系統的障害が発生している。

c.MNEグループの最終的な親会社によって代理人として任命されたタイ国の子会社

3.グループ売上高基準:直前の会計年度の連結売上高が280億バーツ以上のMNEグループは、CbCRの提出を要求されます。直前の会計年度が12ヶ月未満の場合、売上高基準は期間に比例して決定されます。

4.免除要件:MNEグループのタイ国の子会社は、以下の場合に要件を免除されます。

  • 最終的な親会社が、他の国においてCbCRを提出する代理人を任命した。
  • 代理人である事務所が、タイ国との間に情報交換に関する有効な協定を有する国の税務上の居住者である。
  • 情報交換中に系統的障害が発生していない。
  • 代理人である事務所が、税務当局に対し、CbCRの提出目的における代理人である旨を通知している。および
  • タイ国の子会社が、タイ税務当局に対し、最終的な親会社がCbCRの提出目的で、代理人である事務所の任命を通知している。

5.言語:英語

6.期限:会計年度終了後150日。CbCRは、年次法人所得税申告書(PND 50)と共に提出すること。

重要な留意事項

  • 150日という期限は比較的短く、CbCRを必要とする他の国では最大12ヶ月まで認めています。CbCRの作成時間が短いことを考慮すると、特に納税者が連結財務諸表を作成していない場合、CbCRの提出を求められるタイ国の納税者はタイムラインを認識し、要求されている情報を収集するための十分な準備をすることが重要となります。
  • 項目4.に基づいて免除の対象となる場合、タイ国の子会社は、最終的な親会社が代理人を任命したことをタイ税務当局に通知することが重要となります。
  • 最終的な親会社が連結財務諸表を作成していない場合、CbCRの提出目的におけるMNEグループの連結売上高は、一般に認められた会計原則に従って決定されなければなりません。
  • CbCR要件に関する潜在的な影響はかなり大きいと言えます。CbCRは、情報交換に関する協定を締結している国々の間で共有されます。これにより関連する税務当局は、MNEグループによる潜在的な利益移転を評価することが可能となり、移転価格に関するさらなるレビューまたは調査が、CbCRを提出している国の税務当局のみならず、MNEグループが操業するその他の租税管轄地域における関係税務当局によって行われる可能性があります。これにより、MNEグループにとって重大な租税暴露となる可能性があります。


CbCR及び情報交換に関する詳細についてはEYグローバルタックスアラートのウェブサイトをご覧ください。
CbCRのモデルテンプレートはオンラインで入手可能です。

 

※このタックス・アラートの目的は提案事項の理解を容易にすることであり、事前に専門家と相談することなく、税務プランニングの目的のみに使用するべきではない点にご留意ください。


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