インド最高裁、グループ会社間の従業員の出向をService Taxの課税対象とする見解を支持

JBS インドフラッシュニュース5月号
 

1. 最高裁はグループ会社間の従業員の出向をService Taxの課税対象とする見解を支持

2022年5月24日

当タックスアラートは、最高裁の判決を要約しています。本件は、外国企業によるインドグループ会社への従業員の出向に対するService Taxの課税に関するものであり、出向者の給与は外国企業によっていったん出向者に支払われたうえで、後にインド子会社によって同じ金額が払い戻されています。

主な内容は以下の通りです。

最高裁は、このアレンジメントが役務の契約(Contract of Service)であるか、役務に対する契約(Contract for Service)であるかを決定する一方で、最高裁は単一の決定的要素に優位性に置いて判定を行わないとの考察を行いました。すなわち最高裁は、契約や契約の条件を詳細に検討し、形式を超えた実態を鑑みて、判定を行うことを求めています。

派遣契約書は、外国企業が高度な技能を有する従業員のプールを有しており、そのうえで従業員は、社会保障恩典および特定の給与体系を受ける権利を有していることを明確に指摘しています。こうした専門知識やスペシャリティを有する従業員は、そのスキルを活用すべく、インド子会社に出向します。出向者は、出向期間中、インド子会社の支配下にあり、その指揮下で働きますが、出向者は外国企業を雇用主として給与を受け取っている事実に変わりはありません。出向者は、海外のグループ会社に一時的にサービスを供与する外国企業のグローバルポリシーの一部です。また出向の中止にあたっては、グローバルポリシーに従い出向者は本国に帰任します。

したがって、最高裁は、インド子会社は外国企業からのサービスの受領者であり、これが人材の供給サービス、すなわち課税対象となるサービスであるとの見解を支持しました。

コメント

  • 当判決を受けて納税者は以下に留意を行う必要があると考えられます。
  • 当判決は、インド子会社が出向者と雇用契約を締結していたとしても、納税者にネガティブな影響を与える可能性が高い。
  • 各社は、グループ会社と従業員の間で締結された雇用契約の条項に沿って当判決の影響を分析する必要があるかもしれない。
  • また当判決は、納税者によるインド国内でのグループ会社間での出向に対しても影響を与える可能性がある。
  • また、従業員がインドグループ会社に出向しており、かつ2社間にてサポートサービスの契約が存在しない場合には、当判決の見解を適用することが必要かもしれない。
     

詳細はこちら英文のアラートをご高覧ください。



2. 最高裁はCIF契約におけるインバウンド海上運賃についてIGST非課税を判決

2022年5月23日  

当タックスアラートは、最高裁の最近の判決を要約しています。

本件の問題は、IGSTと共に輸入関税が既に輸入品の価額でディスチャージされた場合、外国輸出事業者が外国の海運事業者に支払った海上運賃に対して、IGSTをインドの輸入業者から別々に課税し、徴収することができるか否かでした。本件について最高裁が下した判決は以下です。

  • GST評議会の見解は、中央政府および州政府を拘束するものではない。
  • IGST法2条11項および13条9項に合わせてCGST法2条93項を読む限り、CIF契約での物品輸入は、州またぎの供給であり、輸入者はシッピングサービスの受領者としてIGSTの課税対象である。
  • IGST法とCGST法は、リバースチャージを定義しており、これらの目的のために課税される法人を規定している。
  • 通達による受領者の特定は明確化にすぎない。
  • 政府は、通達によって、課税対象者がIGST法第5条3項に規定する受領者が異なるかについて特定していない。
  • IGST法の5条4項は、中央政府が、受領者として登録された人のクラスを特定することを可能にしており、それによって、委任された法律上にみなしフィクションを作成する権限を付与する。
  • インドの輸入業者がCIF契約において物品の供給と輸送、保険等のサービスの供給から成る複合供給(Composite Supply、以下Composite Supply)に対して、IGSTに支払義務を負うので、海運事業者による「サービスの供給」に対してインド輸入事業者への別の課税は、CGST法第8条に違反することになる。

コメント

a. 当判決は、CIF輸入における輸入業者に対する海上貨物の課税に関する長期にわたる訴訟に終止符を打った。

b. 判決は、特に納税者が全額クレジットできない場合において、業界に重大な救済を与えることとなる。一方、税務当局は、判決に照らして、リバースチャージ方式(RCM)で支払われるIGSTの投入税額控除の適格性について、議論する可能性がある。この点に関して、関連する条文および過去の判例を評価する必要がある。

c. 過去の期間については、GSTクレジットチェーン外である輸入業者は、RCMで支払われたGSTの還付についての請求を勘案しても良い。一方で、課税そのものが適当ではなかったとの議論も起こり得るので、2年間の限度期間の適用可能性を分析することは重要であろう。

d. Composite Supplyの原則が重視されていることを勘案して、FOB契約による物品の輸入の場合にも、最高裁判決の影響を考える必要があろう。

e. GST評議会の勧告の拘束力に関する最高裁の見解は、過去においてGST評議会のさまざまな決定事項の実行によって政府が行った各種アクションについての議論を生み出す可能性がある。
 

詳細はこちらの英文アラートをご高覧ください。



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