タイ、民商法典の改正に基づく企業結合の新たな規定

タイJBS タックスアラート 2022年12月8日

民商法典 (Civil and Commercial Code、以下C&CC) に基づき、株式会社を規制する一部規定を改正する法律が、2022年11月8日に官報に掲載され、90日後、すなわち2023年2月7日に施行されます。改正民商法典に基づく重要な改正点の1つは、企業結合に関する新たな規定の導入です。

現行法において企業結合方法として認められるのは新設合併のみであり、新設合併では新規の会社が設立され、全ての被合併会社は法律によって自動的に解散されます。一方、改正民商法典により導入されたもう一つの企業結合方法である吸収合併では、合併する会社の1社が存続し、他の会社は消滅します。

企業結合に関する改正民商法典の規定の要点は、以下のとおりです。

トピック

改正民商法典に基づく規定

1. 企業結合方法
(吸収合併が追加)

以下の2つの企業結合方法が認められる。

(1)新設合併:全く新規の会社が設立され、全ての被合併会社は消滅する。
 

(2)吸収合併:合併する会社の1社が存続し、他の会社は消滅する。

2. 反対株主の権利
(企業結合に反対する株主に関する新たな規定)

  • 反対株主は合意された価格で、又は価格が合意されない場合に鑑定人が決定した価格で株式を売却する権利を有する。
  • 反対株主が株式買取請求の日から14日以内に株式の売却を拒否した場合、(新設合併の場合)新規会社又は(吸収合併の場合)存続会社の株主となる。

3. 債権者への通知
(債権者の異議申立期間が、60日から1カ月に短縮される)

  • 企業結合を進めるための株主総会特別決議の通知は、以下のとおり実施する必要がある。
    • 新設/吸収合併の被合併会社の勘定に列記されている全債権者に通知する。
    • 国内の新聞に掲載する。
    • 特別決議日から14日以内に実施しなければならない。
  • 債権者は、当該通知の受領日から1カ月以内に異議を提出しなければならない。企業結合は、関連する債務が弁済又は保証されていない限り、進めることができない。

4. 合同株主総会の時期
(新設合併/吸収合併を承認するための共同株主総会の開催時期に関する新たな規定)

  • 企業結合を承認する合同株主総会は、新設合併/吸収合併を進めるための決議日から6カ月以内(合同株主総会の承認により1年まで延長可能)に開催しなければならない。

5. 合同株主総会の要件
(議題、定足数及び投票要件に関する新たな規定)

  • 被合併会社の取締役は、新規会社(新設合併)又は存続会社(吸収合併)の名称、目的、株式資本、株式の割当、基本定款、付属定款、取締役、監査人及びその他の適切な事項を検討するために、合同株主総会を招集しなければならない。
  • 合同株主総会の定足数は、各被合併会社の合計株式数の半数以上を代表する株主である。
  • 決議は、別段の合意がない限り、合同株主総会に出席する株主の過半数の投票によって可決されなければならない。

6. 事業及び書類の移管時期
(新たな規定)

  • 被合併会社の取締役会は、被合併会社の事業、資産、会計記録、書類及びその他の証拠を共同株主総会の開催日から7日以内に新規会社(新設合併)又は存続会社(吸収合併)に移管しなければならない。

7. 登記手続
(新たな規定)

被合併会社の取締役会は、合同株主総会日から14日以内に新設/吸収合併を登記し、新規会社(新設合併)又は存続会社(吸収合併)の基本定款及び付属定款を提出しなければならない。

改正民商法典の施行日前に現行規則に基づく新設合併の特別決議を登記しようとする会社は、現行法の手続に従うことができると述べられています。このことは、改正民商法典に従うこともできるが、従うことは要求されないことを示唆している可能性があります。

税務上の観点からは、企業結合方法としての吸収合併の追加が税制に反映されておらず、とりわけ、現行の新設合併に係る免税制度の改正が行われていません。企業結合(すなわち、新設合併及び吸収合併)の両方の方法が、既存の免税制度の適用を受ける権利が与えられるようになることは予想されますが、タイ歳入局による関連指針又は規則の発行をモニターし、これが実際に税務当局の見解であることを確認する必要があります。

※このタックスアラートの目的は提案事項の理解を容易にすることであり、事前に専門家に相談せず、税務計画のためだけに使用しないようご留意ください。
 

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※所属・役職は記事公開当時のものです

日付:2022年12月8日
Date: 8 December 2022

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