EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
以下のドイツ最新情報についてご紹介します。
1. 2022年中に成立した法改正の概要一覧
2. 立法手続き中の法改正の概要一覧
新型コロナウイルス感染症関連の納税猶予措置の期限延長
新型コロナウイルス感染症パンデミックへの対応策として数々の連邦財務省通達を通じて講じられた猶予措置は、原則的に2023年12月31日まで適用が延長されます。
最低課税制度(BEPS2.0プロジェクト第2の柱)に関するEU加盟各国による合意(ドイツニュースレター2022年10月号の続報)
EU加盟国は、BEPSに関する包括的枠組みで合意されたミニマム課税に関するOECDモデルをEUで統一的に実施するためのEU指令案を全会一致で採択しました。連結売上高7億5千万ユーロ以上の企業グループが税率15%の最低課税の対象となります。EU加盟国は、2023年末までにEU指令を国内法に導入することが求められます。
OECD、BEPS 2.0プロジェクト第1の柱におけるAmount Bの運用および税の確実性に関するパブリック・コンサルテーション・ドキュメントを公表
OECDは、BEPS2.0プロジェクトの一環として、2022年12月8日に「第1の柱」のAmount Bに関するコンサルテーションドキュメントを公表しました。
OECD、BEPS2.0に関する各種文書を公表~第2の柱のセーフハーバールールとGloBE情報申告~
OECDは、2022年12月20日、いわゆるBEPS2.0プロジェクトである2つの柱の実施に関する包括的な文書パッケージを発表しました。
移転価格調整金の関税上の取り扱い-「浜松ホトニクス」事案
連邦財政裁判所は、欧州司法裁判所によるいわゆる「浜松ホトニクス」判決を受けた原審判決において、関税上の関連会社間取引に際しての関税評価額と移転価格の関係について、その見解を示しています。
3カ国間における租税条約上の課税権の帰属
連邦財政裁判所は、3カ国が関与する場合の租税条約上の競合関係についての見解を示し、3カ国は原則的に対等な立場にあり、それぞれ2カ国間での取り扱いは独立して解釈されるべきものであるとの見解を示しました。
オーガンシャフト(連結納税グループ)における損益移転契約の実施
ケルン財政裁判所は、収益税法(法人税および営業税)上のオーガンシャフト(連結納税グループ)の成立要件の1つである、損益移転契約の実際の履行について見解を示しました。ケルン財政裁判所の見解では、連結子会社の貸借対照表に利益移転義務を計上するだけでは、損益移転契約が実際に履行されたと見なすのに十分ではなく、連結子会社は、合理的な期間内に速やかに利益移転義務を履行する必要があります。
出資比率に比例しない中間配当決議の税務上の取り扱い
連邦財政裁判所は、税務当局の見解に反して、定款に基づかず採決された出資比率に比例しない中間配当(いわゆる“不均衡な利益配当”)決議は、一過的に定款の枠を越えた配当決議として民法上有効で拘束力があり、したがって税法上も容認されるべきとの判断を下しました。
カンパニーカーのVAT法上の取り扱い
欧州司法裁判所は、昨年、私的利用を目的とする従業員へのカンパニーカー提供は、これが特段の対価を伴わない場合は付加価値税の対象とはならないとの判決を下しましたが、連邦財政裁判所は、私的利用を目的とするカンパニーカーの支給が雇用契約上個別に合意され、実際に使用されている場合は、交換に類似した売上取引としてVAT課税対象となるとの見解を示しました。
従業員関連費用に係る前段階VATの控除
連邦財政裁判所は、事業者が従業員のためのアウトプレースメント(再就職支援)コンサルティングを手配する場合、事業者は当該費用に係る前段階VATを控除することができるとの見解を示しました。
欧州委員会、デジタル時代のVATに対する提案を公表
欧州委員会は、2022年12月8日に、付加価値税(VAT)をデジタル時代に見合った制度に改正するための「デジタル時代におけるVATパッケージ」を提案しました。その中核となるのは、EU域内および場合によっては国内取引のデジタル・リアルタイム申告、旅客輸送と短期賃貸の分野におけるプラットフォーム、EU全域における単一でのVAT登録の導入です。
請求書記載要件を満たさない場合のEU域内三角取引(チェーン取引)の否認
欧州司法裁判所の見解では、EU域内三角取引(EU域内3カ国間で行われるチェーン取引)における簡便規定は、該当する請求書に、VAT債務が役務の受益者(財貨の購入者)に転嫁される旨の記載がある場合にのみ適用されます。「役務の受益者のVAT債務」という文言の記載がない場合、三角取引および最終購入者へのVAT債務の転嫁は成立しないとされますので、形式要件への留意が必要です。
旅行役務に関する猶予期間の再延長(ドイツニュースレター2022年4月号の続報)
2021年1月29日付連邦財務省通達に盛り込まれた、第三国所在の事業者によるVAT法第25条のマージンVAT課税規定の適用に関する容認規定が、2023年12月31日まで再延長されています(2022年12月12日付連邦財務省通達)。
不動産取得税法上の上場条項に関する通達
2021年不動産取得税改正法により、いわゆるシェアディール規定(シェアディール規定に関する共同通達についてはドイツニュースレター2022年7月号を参照)において、上場条項(不動産取得税法第1条第2c項)が導入されましたが、連邦各州の上級財政局は、2022年10月25日に公表された2022年10月4日付の共同通達において、実務に関連した適用上の疑問点についての見解を示しています。
不動産取得税率の引上げ
ハンブルク市およびザクセン州は、2023年1月1日付で、不動産取得税の税率をそれぞれ4.5%から5.5%、3.5%から5.5%に引き上げています。
課税対象給与の区分
連邦財政裁判所は、雇用者は従業員との間に雇用契約以外の独立した契約を締結することが可能だが、これらが独立した経済的実体を有さない場合、当該対価は給与として扱われるとの見解を示しました。具体的事案においては、従業員の自家用車のナンバープレートホルダーに雇用者の広告を掲示することに対する対価が、従業員との間に締結した独立した経済的実体を有する「広告レンタル契約」の対価、または、雇用関係に起因する給与のいずれに該当するかが争点となっていました。
2023年賃金税ガイドライン
連邦参議院は、2022年10月28日、2023年賃金税ガイドラインの改訂に同意しました。2023年賃金税ガイドラインは、原則として2023年1月1日から適用されます。
2023年に適用される賃金税上の現物給与査定額
2023年に適用される外国出張時の食事手当および宿泊費の非課税限度額(PDF)
組織再編に際してのルーリング手数料
ミュンスター財政裁判所は、最近公表された判決において、組織再編に際してのルーリング手数料に関する見解を示しました。財政裁判所は税務当局の見解を支持せず、組織再編のケースであっても、ルーリングが再編に関与する(複数の)会社に対して一律に交付される場合、租税通則法第89条第3項第2文に基づく手数料の賦課は1回に限られるとの見解を示しました。
移転価格文書作成義務違反に際しての加算過料
欧州司法裁判所は、移転価格文書の未提出、提出遅延または使用不可能の場合に賦課される租税通則法第162条第4項に基づく加算過料は、原則として設立の自由の原則を侵害するものではないとの見解を示しました。
税金利息に関する適用通達の改訂
連邦財務省は、税金納付および税金還付に対する利息(税金利息)の利率に係る租税通則法の改正を実施するため、2022年11月3日付連邦財務省通達を通じて租税通則法第233a条に関する適用通達を改訂しました。
納付遅延過料の料率は合憲
連邦財政裁判所は、租税通則法第240条に基づき納付が義務付けられる納付遅延過料の額について憲法上の疑義はないとの見解を示しました。
EUブラックリストのアップデート
EU加盟国は、2022年10月4日のEU蔵相会議(ECOFIN)での決議を受け、非協力的な国・地域のリストを改定しました。リストには、有害な租税スキームを導入している国・地域(いわゆるEUブラックリスト)、または、こうした租税スキームの改革を宣言した国・地域(いわゆるEUグレーリスト)が記載されています。
2023年社会保険料算定基準額
顧客カードプログラムに係る引当金計上
連邦財政裁判所は、ボーナス制度が独立した契約関係として構成され、ボーナスポイント/クーポンが顧客による商品購入により発生し、これらポイント/クーポンがその後の購入の際の購入価格と相殺される場合に、決算日時点で未引換えのボーナスポイントまたはクーポンについて、偶発債務引当金の計上を容認しました。
債務超過予測期間の短縮
COVID-19倒産手続き停止法(Gesetz zur vorübergehenden Anpassung sanierungs- und insolvenzrechtlicher Vorschriften zur Abmilderung von Krisenfolgen、以下、「COVID-19-Insolvenzaussetzungsgesetzes」)改正により、倒産法上のゴーイング・コンサーン判断のための債務超過予測期間が、2023年12月31日までの間、12カ月から4カ月に短縮されています。
トランスペアレンシー・レジスター閲覧権に関する欧州司法裁判所判決
欧州司法裁判所は、EU基本憲章を侵害するとして、第5次EUマネーロンダリング指令の一部を無効としました。この判決を受け、ドイツのトランスペアレンシー・レジスターは、一般人による閲覧請求に対する許可を当面の間停止しています。
※全文は、PDFをご覧ください。
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