EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
来年度入社予定の方の内定式が行われる時期となりました。最近は、日本の大学や専門学校で学んだ留学生を採用される企業も増えてきています。
留学生を採用する場合は、出入国管理局で「留学」の在留資格から就労資格への変更申請を行う必要があります。変更申請を留学生本人に行わせる場合もありますが、本人の申請内容、進捗の管理、手続きが妥当であるかなどについて雇用主である企業がコントロールできず、「入社日に間に合わない」、「申請が不許可になる」などといった問題が生じる場合もあります。最近では、在学中に行ったアルバイトが、所定時間を超えていたことなどを理由に不許可になるケースも多くなってきています。
そこで、今回のコラムでは、留学生採用の人事ご担当者向けに留学生の在留資格変更申請に関連してご注意いただきたい点についてお知らせします。
① 在留資格変更申請(地方出入国在留管理局)(オンライン申請/紙申請)
② 在留資格変更許可受領(地方出入国在留管理局)(郵送または窓口)
上記2段階の手続きが必要になります。
月 |
内容 |
---|---|
10月 |
内定通知 |
10月~11月 |
在留資格変更申請の準備 |
12月~2月 |
在留資格変更申請* |
3月~入社日前日まで |
卒業式後在留資格変更許可受領* |
4月1日 |
入社式 |
*変更申請を行う日、許可受領する日には、留学生は日本に在留している必要があります。
留学生には内定を通知後、早い段階で今後の手続きや必要書類についてご説明ください。
変更申請を行政書士が取り次ぐ場合でも、留学生本人は、申請日および許可受領の日には必ず日本に在留していることが必要です。留学生が卒業旅行などにより海外渡航していたために手続きがぎりぎりになってしまい、入社式に間に合わなくなるケースが毎年出てきています。
① 内定を出した留学生の在留資格変更を本人任せにしていたために、4月の入社日に間に合わなかった。
→本人任せにせず、必要な手続きについて早い段階で説明し、入社日前日までに許可を受けられるようにすることが重要です。在留資格変更申請が完了するまでは就労を開始することができませんので、入社日の変更が必要となります。
② 採用予定の留学生の出入国在留管理局での審査が3月中に終了せず、4月1日から就労ができなくなった。他の新入社員と一緒に入社式や座学の研修には参加できるか?
→在留資格「留学」のままでも、入社式や座学の研修に参加することは、問題ありませんが、給与を支給することはできません。この場合の「研修」は、座学の研修のみ可能で、実際に市場で販売される製品を研修として製造するなどはできません。交通費や研修の手当ての支給は可能です。会社によっては、在留資格の変更が完了するまでは、入社式や研修への参加を認めない場合が多いようです。
③ 9月に卒業した留学生を採用し、来年4月1日に入社させることになった。卒業後も在留資格「留学」のままのようだ。どのような手続きが必要か?
→卒業して3カ月以内であれば、直接就労資格への変更が可能です。卒業してから入社日まで3カ月以上ある場合は、ひとまず在留資格「特定活動(入社待機)」に変更申請をし、入社2~3カ月前に就労資格への変更申請を行います。卒業して3カ月以上経っている場合は、在留資格「特定活動」へ変更しなかった理由を確認し、入社時期にあわせて特定活動へ変更するか、または就労資格への変更が必要です。
以上は、留学生の変更申請が増加する年末から3月末にかけて、実際に弊法人がお客様からご相談を受けた事例です。留学生任せにしていると、手続きについてあやふやなまま留学生本人が申請を行ったり、正しい手続きができず、審査に時間がかかったりします。最悪の場合は、不許可になることもあり、そうなると、最終的にはせっかく採用をした留学生を予定日通りに雇用できなくなり、会社にも大きな損失となりますし、留学生のライフプランにも大きな影響がでます。そのうえ、最近では、留学生の採用に伴う在留資格変更手続きを会社が費用負担して専門家に一括して任せている企業の情報などが出回っており、「うちの会社は、面倒をみてくれなかった」と入社時から会社に良い印象を持ってくれないケースが増えています。弊社では実際に手続きをサポートした外国人留学生から直接お声を聞いており、リテンション対策として留学生などへのサポートを行うことになった企業もあります。
上記の事例は弊社でサポートした例の一部であり、実際には、就職活動用の「特定活動」を所持している学生の資格変更申請など、必ずしも「留学」からの変更手続きとは限らないケースも多々あり、最初のアセスメントは非常に重要になってきます。
留学生の就労への変更手続きについてご不明な点がありましたら、専門家へぜひご相談ください。
川井 久美子 パートナー
木島 祥登 パートナー
羽山 明子 ディレクター
角田 比奈子 マネージャー
※所属・役職は記事公開当時のものです
EYの関連サービス
EY行政書士法人(EYGH)は、EYのピープルアドバイザリーサービス(PAS)の一部門として、クライアントのグローバルモビリティ戦略とその実行・運用を支援する上で重要な役割を担います。
続きを読む