上下水道DX:上下水道事業に係るデジタルトランスフォーメーション支援・リスクマネジメントサービス

自然災害の激甚化や少子高齢化等の社会課題を受けて、今や上下水道業務の抜本的な見直し(上下水道DX)は、待ったなしの状況です。EYは、上下水道業務・リスク・会計分野の専門家を要し、同分野の業務改善(BPR)・DXを多角的に支援しています。国のDX関連ガイドライン策定、個々の自治体のDX戦略策定支援、スタートアップを含む民間企業の革新的技術の導入支援などにより、上下水道分野のDXの全体最適に貢献します。

上下水道DXの動向

今、上下水道DXが必須である背景には、国民の生活に必要不可欠な上下水道施設維持・サービスの遂行において、自然災害に対する施設の脆弱(ぜいじゃく)性や担い手不足といった問題の深刻化が挙げられます。具体的には、豪雨災害や地震に伴って浄水場の被災や上下水道管の破損が発生し、長期間の断水が地域住民の生活に大きなダメージを与え、職員の高齢化・少子化により、設備やサービスの管理・運営ノウハウの継承がままならない事態が起きています。

こうした現状を解決する手段の一つとして、自治体・政府・民間それぞれのレベルで上下水道事業のデジタルトランスフォーメーション(上下水道DX)の取り組みが進められています。
 

自治体および関連団体の動向

  • 水道水を安全・安定的に使用者へ供給・汚水を排除・処理することを最大の使命として上下水道事業を運営する自治体では、より現場目線での課題対応が急務になっている。上下水道職員数の減少とともに職員の高齢化も進んでおり、担い手不足が深刻化している(ヒト)。また、耐用年数を超過した施設・管路が増加し、老朽化が進行している(モノ)。一方で、人口減少社会を迎えた中で、上下水道料金収入の増加も難しい状況となっている(カネ)。

  • この状況を解消するための一つの手段として、DXによる効率的な維持管理・設備強靭(きょうじん)化が検討されている。例えば、水道分野では、AIを活用した管路劣化度調査や、衛星画像解析よる管路診断/小規模管路DBの構築などが行われている。また、下水道分野では、ドローンによる下水道施設の点検支援や、下水汚泥バイオマス・下水熱等再生可能エネルギーの利用などが進められている。

  • 豊田市では、水道管の漏水調査に人工衛星やAIを活用することで、時間・工数がともに以前の1/10に削減されたことが報告されており、上下水道DXが成功した顕著な例として「Digi田甲子園2023」において内閣総理大臣賞を受賞した。
     

 日本政府の動向

  • 上下水道を所管する国土交通省は、2022年3月に「インフラ分野のDXアクションプラン1 」を策定し、国の重要インフラ分野のDX推進を加速している。また、政府は2022年4月の「デジタル田園都市国家構想基本方針2 」(内閣官房)において、社会資本・インフラの予防保全的・効率的メンテナンスのためのデジタル技術・データの活用を呼びかけ、府省横断の取組としてDXを推進している。その一環で、岸田首相(当時)は2024年7月に前述の豊田市訪問時に、上下水道DX技術のカタログの2024年度中の策定、今後5年程度での標準装備の促進を明言しており、一層の政府による促進策が見込まれる。

  •  さらに2024年11月、政府のデジタル行財政改革会議においても今後の取り組みの重点分野として上下水道分野のDX推進が明確に位置付けられており、今後の施策促進が期待される。

2023年に第2版が策定された。国土交通省「インフラ分野のDXアクションプラン(第2版)の策定」、www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001004.html(2024年12月8日アクセス)
内閣官房「デジタル田園都市国家構想基本方針」、 cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/pdf/20220607_honbun.pdf(2024年12月8日アクセス)


民間の動向

  • 最新技術の導入を伴うDXでは、これまで、各自治体が独自で開発・運用してきたシステムを利用者ニーズに合わせたより汎用(はんよう)的で安価なアプリケーションへの更新や、AIやドローンなどの最先端技術の導入が要される。そのためには、既存の上下水道事業者だけでなく、個々のサービス・技術に優位性を持つ中小・スタートアップ企業を含めた幅広い民間企業の参画が期待される。

このように、社会経済情勢の変化に伴う新たな要請と、上下水道事業における政府・自治体・民間の現状課題の解決のために、上下水道DXが重要な役割を担うことが期待されています(図 1参照)。

図 1 上下水道DXの動向
図 1 上下水道DXの動向

上下水道DXを進める上での課題・リスク

上下水道DXの取り組みが進められていますが、実際には、自治体・政府・民間企業の各組織においても、取り組みを適切に推進できない課題があります。
 

自治体(および関連団体)が抱える課題・リスク

  • ノウハウ・人材不足:上下水道DXの推進に当たり、DX関連の知見を持った人材が不足しており、新たな技術やソリューションの導入における選定や、DXに伴って生じ得るリスクを踏まえたDX戦略・計画策定が困難。

  • 担い手不足:少子高齢化による職員不足・担い手不足もあり、DX検討のためのマンパワーが不足している。外部からの人的リソースの支援が必要。

  • 資金不足:小規模自治体の中には、DXのための資金が不足しているところも多く、抜本的な業務改革であるDXを実現するには、適切な支援が必要。

  • 既存システムの特性:各自治体の上下水道関連システムは、個々のベンダー特有の仕様で構築されたものが多く、他システムとの統廃合や連携、汎用アプリケーション導入などが困難(ベンダーロックイン)。
     

日本政府が抱える課題・リスク

  • ノウハウ・人材不足:間接的に各自治体の上下水道DXを推進しているものの、事業における現場の課題の収集や、民間企業の先進的な取り組みを直接推進する施策が求められている。制度・ガイドライン・技術基準などを最新技術に沿ったものとする必要があり、政策を策定の過程で民間が持つDX技術の最新動向把握や実証などを行うために、技術的な知見を持った外部人材による支援が必要。
     

民間企業が抱える課題・リスク

  • 業界知見・実績不足:優れた技術やソリューションを持つ民間企業の中には、上下水道業界に対する知見や、上下水道分野における実績が少ない企業が多い。上下水道DXへの参入のためには、業界や業務の知識、上下水道分野におけるDX技術の実証、公共部門(政府・自治体)への提案のノウハウ等の支援が必要。

 

上下水道DXに係るEYのアプローチ

EYは、上下水道DXに関わる各プレイヤーが抱える課題・リスク解消に向けたアプローチとして、これまで、政府、自治体等、民間企業の枠にとらわれることのない支援を提供してきました。これらは、独立したものでなく、すべてのプレイヤーがDXに向けたより良いアクションを起こすことが重要と考えます。そして、EYはこれらを総合的に支援することで、上下水道分野におけるより良い社会の実現に貢献します。

図 2 上下水道DXへのEYのアプローチ:政府、自治体等、民間企業の枠にとらわれることなく同分野の課題・リスクに包括的にアプローチ
図 2 上下水道DXへのEYのアプローチ:政府、自治体等、民間企業の枠にとらわれることなく同分野の課題・リスクに包括的にアプローチ

  • 自治体における一般的な上下水道DXの流れ(図3参照)のすべての工程において、EYは、特定の開発ベンダー・製品に偏ることなく、クライアントの置かれた環境や課題を踏まえて最適な解を提案することが可能である。

図3 上下水道DXの流れ:EYは上下水道に係る業務内容とインフラDXの知見を踏まえて、上下水道DXの一連のプロセスを一気通貫で支援可能
図3 上下水道DXの流れ:EYは上下水道に係る業務内容とインフラDXの知見を踏まえて、上下水道DXの一連のプロセスを一気通貫で支援可能

  • 下表には、EYの上下水道DXに係る支援実績を示している。

表 上下水道DX支援におけるEYの主な実績

表 上下水道DX支援におけるEYの主な実績




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