(1) 土地及び建物
特定の土地(本社土地、工場用地、駐車場など)や、建物(工場、事務所など)を賃借しているケースが考えられます。この場合、現行リース基準ではオフバランスされていたものもオンバランスする必要があります。特に、土地は耐用年数が無限で、建物も耐用年数が長期にわたることから、オペレーティング・リースと判定されていることが多いと考えられるため、新リース基準等の適用によりオンバランスが必要となってくる点に留意が必要です。
(2) 倉庫
材料や製品等を保管するため、倉庫の特定の区画等を賃借しているケースが考えられます。この場合、「特定された資産」の要件、特に実質的な代替権の有無を検討する必要があります。
例えば、ある倉庫にAからEの区画があり、そのうち区画Aを賃借していたケースで、貸主が自由に区画Aから他の区画に変える権利があり、かつ、それによって貸主が経済的利益を享受するような場合(例えば、大口契約が取れたことからその契約を優先するために、こちらの契約は区画Aから別の区画へ移動することによって効率的になりコストが減るといった場合)では、貸主に実質的な代替権があるということになり、特定された資産には該当しないということになります。したがって、リースには該当しないということになります。
一方で、上記のような場合ではないケースでは特定された資産に該当する可能性があり、支配の要件も満たせばリースとして識別されることになるため、留意が必要です。
(3) データセンターのサーバー、サーバーラック
特定のサーバー機器等を賃借しているケースや、サーバーを保管するために特定のサーバーラックを一定期間使用しているケースがあります。この場合、データ保管サービス契約など、一見してリース契約に該当しないように見える契約の一部としてリースが含まれている可能性があるため、関連する契約を洗い出す必要があります。
また、契約を洗い出してリースの識別要否を検討するにあたっては「特定された資産」の要件、特に実質的な代替権の有無を検討する必要あると考えられます。つまり、賃借しているサーバー機器やサーバーラックなどを代替する権利を貸主が持っているかという点がポイントになると考えられます。例えば、サーバーについて特定のスペックを満たせば入れ替えてもよいとされている契約で、かつ、入れ替えることにより貸主が経済的利益を享受できるようなことがあれば、貸主に実質的な代替権があるということになります。他方、そのようなことがなければ、資産は特定される可能性が出てきます。
(4) 金型、専用機械
仕入先が、会社向け製品の製造のために製作又は購入した金型や専用機械の代金を会社が負担しているケースがあります。
この場合、特に「支配」の要件への該否を検討する必要があります。このケースでは、資産自体は特定されていることが多いと思われますが、当該ケースでのポイントは「支配」であり、金型や専用機械の稼働を会社が仕入先に指図している場合(例えば、当該金型等を利用して部品を今月何個作るように指図するなどといったように使用方法を指図している場合)で、かつ、使用することにより得られる経済的利益をほとんどすべて享受している状況(例えば、当該金型等を使って作る部品をすべて仕入れている場合など)であれば、「支配」していると考えられるため、資産が特定されていることを前提に、リースに該当することになります。
また、金型等の代金の支払方法として、関連する部品等の仕入とは別に分割払いしているケースは把握しやすいですが、部品等の仕入価格に織り込んでいるケースもあるため、実態を把握する必要があるという点に留意が必要です。
(5) 傭車
運送業者に運送を委託しているケースがあります。この場合、契約によっては資産(トラック)が特定されている場合も想定され、リースの識別要否を検討する必要が生じるケースもあるかと思われます。
特にトラックが指定されておらず、単に輸送条件(日時、場所等)のみが指定されているような契約であれば、特定された資産には該当しません。他方、会社の輸送のためだけに使うトラックが特定されているような場合には、リースとして識別する可能性が出てくると考えられます。
(6) 発電設備
工場敷地内に発電設備を設置している場合など、特定の発電設備から電力を購入しているケースなどがあります。この場合、電力購入契約(PPA)にはさまざまなケースがあり、「特定された資産」「支配」について慎重な検討が必要です。
例えば、工場の敷地内の一角に発電設備を設置して、その発電設備から出力される電力のすべてを購入する契約となっている場合、経済的利益のほとんどすべてを享受するという点は満たすことがあり、発電設備の使用方法についての指図権を持っている場合(例えば、会社の工場の電力需要に合わせて稼働を調整するように指図する権利がある、というような場合)には、「支配」しているということになり、リースに該当することもあり得ます。また、自社の敷地以外の場所に設置した発電設備に係るPPAについても、当該契約に基づき購入する電力が当該発電設備から生じた電力のみであれば、「特定された資産」に該当することもある点に留意が必要です。
PPAがある場合には、その契約内容(発電設備から出力される電力のどの部分をどのような価格、条件で購入するのかなど)をまずはしっかり把握することが重要です。
(7) 社宅
会社が貸主から賃借し従業員に賃貸するケース(いわゆる借上社宅)や、会社が所有する社宅(社員寮)を従業員に賃借するケースがあります。この場合、借上社宅については、サブリースに該当する可能性があり、借手の会計処理を行うのはもちろんのこと、貸手の会計処理も検討する必要があります。社宅(社員寮)については、会社が所有しているため、借手の話は生じませんが、こちらも貸手のリースに該当する可能性があり、貸手の会計処理を検討する必要があります。
(8) その他
上記のほか、社用車、複合機などを賃借することがあります。複合機であれば、少額リースに該当するケースが多いと思われますが、社用車は少額リースの閾値(300万円)を超えることが多いようにも思われるため、リースとしてオンバランスする可能性がある点に留意が必要です。