EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
SSCやBPOを超え、横断の標準化とデジタル統合で価値を生むGBS。E2E視点とAIの組み合わせで、コスト削減にとどまらない成長エンジンをどう作るか。日本企業の現状、課題、実践ポイントを解説します。
要点
日時:2025年8月27日(水)13:30–17:00(Zoom開催)
主催:一般社団法人コーポレート機能協会(CoFA)
参加者:社長・役員・本部長・マネージャー等 約130名
登壇:EYストラテジー・アンド・コンサルティング
パートナー:永井 康幸
シニアマネージャー:陳 麗子、呉本 将海
変化が早い時代、個別最適の業務運用だけではスピードも品質も限界があります。GBS(Global Business Services)は、経理・人事・購買・ITなどの間接業務を横断で標準化・統合し、デジタルとデータを軸に運用する“企業の運営OS”。従来のSSC/BPOを土台にしつつ、E2E(End-to-End)視点でプロセスとデータをつなぎ、継続的な改善を生むのが特徴です。結果として、コストの見える化と最適化に加え、意思決定の迅速化・顧客/従業員体験の向上まで、効果の裾野が広がります。
国内ではSSCやBPOの導入が進んだ一方、横断の標準化やE2E統合は道半ば。実態としては、プロセスのばらつき、システムの乱立、合意形成の難航が障壁になりがちです。結果、集約範囲が小さくスケールメリットが出にくい、人材の定着・育成や品質/納期の安定運用に課題が残る――という声が多く聞かれます。
E2Eのプロセス再設計は、情報断絶や手戻りを減らし、改善余地を可視化します。ここにAIを組み合わせると、例外処理の自動化、需要予測、原因分析、意思決定の支援まで射程が広がります。ポイントは点のPoCにとどめず、全社で“面”の運用に昇華させること。統合型AIプラットフォームとデータ品質・権限・運用ルールを同時に整え、Agentic AI(自律型AI)のような次世代アプローチで、意思決定→実行→学習のサイクルを高速化します。
“仕組みが回る”にはガバナンスが不可欠です。CxO直下の位置付けでGBSが方針や投資判断を主導し、全社でのE2E設計と優先順位付けを進めます。あわせて、GPO(Global Process Owner)が標準の設計~運用の是正~IT・データ連携までを横断でリード。SLA/KPI、モニタリングとレビュー、変更管理を1枚の“計器盤”で回せる体制にすると、改善投資の意思決定が速くなります。
BPOは有力な選択肢ですが、「ベンダー任せ」や契約設計の甘さは失敗のもと。期待値・範囲・KPI・改善仮説(FTE根拠や自動化の達成条件等)を契約に明文化し、変更管理・例外対応・逆引継ぎ条件までルール化しましょう。運用後は可視化→ボトルネック特定→改善サイクルを共同で回すことが重要です。
日本企業がGBSを“成長のエンジン”に育てるには、E2E×AIに加えて、強いガバナンスと人材(GPO/ドメイン×デジタルのハイブリッド)が不可欠です。コスト削減は通過点。意思決定のスピードと品質を高め、顧客価値と事業の俊敏性を引き上げる設計を、運用で守れる形に落とし込む――ここに、次の一歩があります。
陳 麗子
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
グローバル・ビジネス・サービス シニアマネージャー
呉本 将海
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
グローバル・ビジネス・サービス シニアマネージャー
GBSは組織横断の標準化とデジタル統合で企業価値を高める仕組みであり、コスト削減を超え、企業の成長と変革を支える「運営のOS」です。
E2EとAIの実装、強いガバナンス、人材育成をそろえれば、日本企業でも短期の成果と中長期の成長が両立できます。
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