グローバル・ビジネス・サービス

昨今、国内外において、企業の間接業務を中心としたSSC(Shared Services Center)/BPO(Business Process Outsourcing)の活用から、GBS(Global Business Services)モデルを前提としたグローバルにおけるエンド・ツー・エンドの改革、効率化、高度化のニーズが急拡大しています。

また、テクノロジーの進化に伴う業務効率化ソリューションの導入障壁の低下や、コロナ禍における業務継続性の確保に向け、既存GBS/SSCの機能強化に対する関心がこれまで以上に高まっています。EYでは新規GBS/SSCの設立から運用後の高度化、成熟度評価までトータルでサポートします。


グローバル先進企業におけるGBS/SSCの役割

SSCの役割は機能別のビジネスサポートを提供する役割から、グローバルでビジネスサービスを行うGBSへと進化を遂げています。

図1:グローバル先進企業におけるGBS/SSCの役割

グローバル先進企業におけるGBS(Global Business Services)の進化トレンドと、それに伴う4つのステージ(Stage)を示しています。GBSは、従来のSSC(Shared Services Center)による業務集約から始まり、企業の戦略的パートナーとしての役割へと段階的に進化しています。

グローバルトレンドからみて、GBSの進化が以下の4つのステージに沿って展開されています。

  • Stage 1:個別のシェアードサービス
    業務の標準化・集約を目的とした、部門別のサービスセンター設立。
  • Stage 2:リージョン単位のシェアードサービス
    集約機能が拡大され、SLAやKPIを活用し、サービス品質・コスト・顧客満足度向上。
  • Stage 3:Global Business Services(GBS)による部門横断の集約組織の確立とサービスマネジメントの高度化
    複数機能を横断的に統合し、End-to-Endで業務を再設計。
  • Stage 4: アドバンスGBS(AGBS)への進化
    AI・アナリティクス・デジタル技術を活用し、戦略的意思決定やビジネス成果への貢献を実現。

先進GBSが果たす役割として以下の要素があります。

  1. End-to-Endの業務改革:業務プロセス全体を対象とした統合的な改善
  2. サービスマネジメントの高度化:価格・品質の両面で顧客満足度を向上
  3. ビジネスアウトカムへの貢献:単なる業務処理ではなく、経営課題へのインパクトを重視
  4. インテリジェントGBS:AIやアナリティクスを活用した次世代型サービス提供

これらのStageは、GBSが単なる業務処理機能から、企業の変革を支える「トランスフォーメーション・エンジン」へと進化する過程を表しており、グローバル企業における競争優位の源泉としての役割を有しています。

GBSはトランスフォーメーションのエンジンとして、貴社のバックオフィス機能のデジタル化、効率化、高度化に貢献します。

図2:企業のバックオフィス機能のデジタル化、効率化、高度化

GBSは企業のバックオフィス機能において果たす「トランスフォーメーション・エンジン」としての役割へと変遷しています。従来のSSCやBPOによる業務集約・コスト削減を超え、GBSは以下の3つの段階を通じて企業のオペレーション機能の高度化を実現します。

  • 集約化による効率化:業務の標準化・集約を通じて、コスト削減と運営効率の向上を実現。
  • GBSによる効果創出:サービス領域の拡張とサービス品質の向上により、業務全体の最適化を促進。
  • 次世代GBSによる付加価値の提供:デジタル技術とデータ活用を通じて、経営課題へのインパクト創出と意思決定支援を実現。

これらの進化は、以下の5つのGBS形態によって支えられています。

  1. Standardization(標準化):業務プロセスの統一と効率化
  2. Centralization(集約化):機能横断での業務統合
  3. Optimization(最適化):サービス品質の向上・データプールの構築とともに可視化による人材・業務の効率的運用
  4. Digitalization(デジタル化):RPAやAIによる業務の自動化
  5. Intelligentization(高度化):データ活用による意思決定支援と価値創出

EYは、これらの段階的進化と形態を体系的に支援し、GBSを企業のトランスフォーメーション・エンジンとして位置付けることで、持続的な成長と競争優位の確立を後押しします。
 

新規GBS/SSC設立へ向けた支援

国内および世界各国における豊富な経験を持つプロフェッショナルとEY独自のナレッジや方法論を有しており、それらを活用して貴社のGBS導入を戦略立案、設計、立ち上げ以降の各種運用管理を含めエンド・ツー・エンドで支援します。

図4:既存GBS/SSC/BPOの効率化・高度化支援

GBS導入に向けた変革プロセスは、以下の4つのフェーズに基づいて構成されており、各フェーズに対応する具体的な実施内容が段階的に展開されます。

  • フェーズ1:戦略立案・計画策定 -Planning-
    GBSの導入目的や方向性を明確にする段階。
    • SSC/BPO化戦略立案
    • プロジェクト計画作成
    • 現状調査・業務見える化
    • (外部委託)RFI/RFP作成
    • (外部委託)アウトソーシングベンダー評価・選定
    • 出口戦略の検討
  • フェーズ2:設計(詳細調査) -Design-
    組織・プロセス・システム・費用など契約条件含めGBSを設計する段階。
    • スキーム設計
    • 新業務プロセス設計/評価
    • ファシリティ設計/評価
    • セキュリティ設計/評価
    • ビジネスケース(コスト・効果)算出、検証、評価
    • 契約/ファイナンススキーム作成
    • (外部委託)アウトソーシングベンダーとの契約交渉・締結
  • フェーズ3:立ち上げ(移行) -Transition-
    設計内容を実行に移し、集約・移管を実施する段階。
    • 移行計画作成/評価
    • サービス管理/評価
    • ガバナンス管理/評価
    • IT/インフラ準備/評価
    • 採用・教育計画管理/評価
    • 業務引継実施/評価
  • フェーズ4:運用 -Stabilization & BAU-
    業務本番稼働、定着・最適化を図る段階。
    • 実作業の実施
    • サービス管理の実施
    • 管理指標モニタリング
    • 継続改善

これらのフェーズは、GBSの構想から実装・定着までを体系的に支援するものであり、EYは各段階において実効性の高いアプローチを提供します。
 

既存GBS/SSC/BPOの効率化・高度化支援

国内外の幅広い業種・業態での効率化・高度化支援実績を有しており、GBS/SSC/BPO導入後にさらなるコスト最適化や高付加価値化に向けた改革を支援します。

図3:新規GBS/SSC設立へ向けた支援(1)

成熟度評価に基づくGBSサービス提供アプローチ

EYは、GBS、SSC、BPOの導入・高度化を支援するため、成熟度評価を起点とした体系的な支援を提供します。

1. 成熟度評価

  • 評価の事前準備
    調査対象の選定、回答方法や証憑定義、スケジュール策定など、評価実施に向けて準備。
  • 1次回答の取得
    EY Maturity Assessment Frameworkに基づき対象組織からの回答を収集。
  • 評価結果の精緻化
    エビデンス確認やヒアリングを通じて回答を検証し現状課題を抽出。

2. 改革アクションの具体化

  • 改革アクションの協議
    調査結果を踏まえ、上位成熟度レイヤー実現に向けた対応策を初期仮説として策定し協議。
  • ロードマップ化
    優先順位を踏まえたアクションプランを策定し、詳細タスクや推進体制を含むロードマップを構築。
図4:新規GBS/SSC設立へ向けた支援(2)

成熟度評価の評価領域(12項目)

  1. サービススコープ
    組織の役割や責任の現状と将来拡大に向けた取り組みを評価。
  2. オペレーティングモデル
    戦略に沿った運用が実現できているかを確認。
  3. ロケーションモデル
    人材・コスト・継続性の観点で最適な拠点運営ができているかを評価。
  4. ソーシングモデル
    外部委託や組織活用の最適化が実現されているかを確認。
  5. ガバナンス
    委託元との関係性や改善体制が構築されているかを評価。
  6. サービスデリバリープロセス
    効率的なサービス提供のための取り組みが進んでいるかを確認。
  7. ヒューマンキャピタル
    継続的な改善・価値創造を支える人材活用が進んでいるかを評価。
  8. テクノロジー/デジタル活用
    サービス高度化や効率化に向けたデジタル化が進んでいるかを確認。
  9. ファイナンシャルマネジメント
    効率性・生産性の目標設定と管理が行われているかを評価。
  10. オペレーションパフォーマンス&パートナーマネジメント
    パフォーマンス指標の定義と改善活動が推進されているかを確認。
  11. タレントマネジメント
    従業員育成やキャリア形成の取り組みが進んでいるかを評価。
  12. リスクマネジメント
    災害やセキュリティなどのリスク対応が実施されているかを確認。
     

GBSによる今日および将来の課題への対処

ビジネスリーダーはかつてないほど不安定で複雑な世界に直面しています。デジタル時代の到来により、適時性と迅速性、そして従来とはまったく異なる人材のスキルセットが求められています。旧来のビジネスモデルが変化した今、迅速で顧客中心、かつインテリジェントなグローバル・ビジネス・サービス機能が、デジタル時代における貴社の成長をサポートします。

GBS・SSC立ち上げ/移管/運用

BPO活用/事業支援

人材育成


NextWaveグローバル・ビジネス・サービス(GBS)

EYのプロフェッショナルチームとServiceNowは、GBS組織がイノベーションとデジタルトランスフォーメーションの取り組みを全社的に推進するエンジンとして、そのケイパビリティを発揮できるよう支援しています。 

 

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