EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
開幕から10周年を迎えたB.LEAGUEは、2050年の「感動立国」の実現に向け、成長を続けています。スポーツが地域社会にもたらす価値に着目し、B.LEAGUEはEYと共に、スポーツを通じた地方創生の取り組みを推進しています。
The better the question
スポーツチームは、地域にどのような価値をもたらしているのでしょうか。日本のバスケットボールのさらなる発展を目指すB.LEAGUEが、「B.革新」で取り組むクラブ経営の成長と持続的な地方創生。
B.LEAGUE開幕当初、日本のバスケットボール界は“マイナー競技”という立ち位置でした。世界のバスケットボールリーグと比較しても存在感・事業規模は決して大きいとは言えないレベルにとどまっていました。
しかし、その状況は、この10年で大きく変化しています。観客動員数や売上は年々拡大し、2025-26シーズンのリーグ売上は1,000億円規模に迫る見込みです1。かつては存在感が小さかったリーグが、バスケットボール界でNBAに次ぐ世界第2位とも目されるユーロリーグと、現在では事業規模ベースで同水準にまで成長を遂げたのです。
その成長の背景にあるのが、B.LEAGUEが推進する「B.革新」です。B.革新では、競技成績だけでなく、クラブの経営力や持続可能性を重視した新たなリーグ制度への転換が進められています。現在、全国各地で進むアリーナ整備も、その取り組みの一環です。
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B.LEAGUEチェアマンの島田 慎二氏は、「B.革新」の狙いについて次のように語ります。
「従来のスポーツ界では、短期的な勝利を優先するあまり、経営が不安定になるケースも少なくありませんでした。そこでB.LEAGUEでは、各クラブが中長期的な事業計画を立て、経営基盤を強化することで上位リーグを目指せる仕組みを導入します」
さらにB.LEAGUEでは、選手年俸にサラリーキャップを設け、スポーツ業界特有の課題“損益分岐点の見えにくさ”にも対応しています。一定の売上規模を確保すれば黒字化できる構造を可視化することで、企業が投資判断しやすい仕組みを整備しました。
「その結果、スポーツチームは単なる広告宣伝費の投下先ではなく、利益を生み出す事業として認識され始めています。実際にM&Aや上場企業による参入も進み、スポーツビジネスへの投資活性化を促すことができています」
人口減少が進む日本において、大規模アリーナの整備は容易ではありません。しかしB.LEAGUEは、クラブを地域IP(Intellectual Property:知的財産)として育成し、アリーナを中心にスポーツやエンターテインメントによって人の流れを生み出すことで、地域活性化につなげようと試みています。アリーナは単なる競技施設ではなく、まちづくりや地域経済を活性化させるための基盤として位置付けられているのです。
一方で、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社のパートナー 岡田 明は、これまでスポーツビジネスが抱えてきたジレンマを指摘します。
「スポーツがもたらす価値は、これまで『地域を盛り上げる』『街に活気を生む』といった感覚的な言葉で語られることが多く、客観的な説明が難しい側面がありました。熱量という感覚的な言葉だけでは、スポンサー企業や自治体にとっては十分な投資判断材料が示されてこなかったと言えるかもしれません。EYは、“スポーツチームが地域に貢献する価値”を定量的に可視化する取り組みを行っています。スポーツが持つ社会的意義や地域への波及効果といった“見えない価値”を指標化することで、クラブが地域にもたらす価値・インパクトを具体的な数字で示すことを目的としています」
The better the answer
B.LEAGUEとEYは、地域やクラブ関係者が肌感覚として捉えていた「スポーツチームが地域にもたらす価値」を、7つの指標で社会経済効果として可視化。スポーツの価値を“熱量”だけで終わらせず、客観的な数値として示しました。
岡田:ここ数年、全国でアリーナ建設が進み、バスケット観戦にとどまらない多様なアリーナ活用が広がっています。B.LEAGUEを起点に地域のエンターテインメントや交流が活性化する中で、EYも地域を、ひいては日本を元気にするという理念に共感し、さまざまな取り組みを共に推進し、4年間にわたってサポーティングカンパニーも続けてきました。
島田氏:スポーツは、あくまでアリーナの1つのコンテンツに過ぎません。アリーナは、コンサートや災害時の避難所など、地域の拠点としても機能します。そこから、街の活性化やシビックプライドが生まれ、地域の人たちが「この街に住んでいてよかった」と思えるようになる。その積み重ねが、最終的にはウェルビーイングにつながると考えています。
岡田:「B.LEAGUEのクラブがあると街が元気になる」というメッセージを、クラブやスタッフの皆さんが世の中に伝えようとする強い思いは、プロジェクトを通じてわれわれもひしひしと感じています。その感覚的な価値を可視化するため、地域にもたらす影響を7つの指標に分類し、社会経済効果として数値化させていただきました。
Bリーグおよびクラブが地域社会にもたらす価値の可視化(指標化)に向けた取り組み
岡田:調査対象の1つである琉球ゴールデンキングスでは、ホームタウンにもたらす社会的価値が、1シーズン当たり182億円相当と試算されました。また、スポーツ観戦や運動促進による健康面の効果も数値として可視化しており、医療費削減なども含めて具体的なデータとして示せる段階に至っています。今後は全クラブに同様の調査を展開したいと考えています。
本取り組みにとどまらず、EYはB.LEAGUEとの連携において、オールスターゲームの経済的・社会的価値の可視化も継続して実施しています。2023年の水戸開催を起点に、2024年の沖縄、2025年の船橋と調査を重ねる中で、オールスターゲームが創出する価値は拡大傾向にあり、非財務的価値の総額は2023年の約10億円規模から約36.6億円、2025年には約64.8億円へと伸長しています。
こうした分析からは、来場者の消費による経済波及効果に加え、ウェルビーイングや地域への愛着といった社会的価値が大きな比重を占めていることが明らかになっています。また、投資に対する社会的投資収益率(Social Return On Investment)も向上しており、スポーツイベントが持つ価値がより明確に示されつつあります。
このように、単なるイベント開催にとどまらず、その価値を可視化し、次の施策設計に生かしていくサイクルを回すことが、スポーツを通じた地域価値創出の高度化につながっています。
また、「B.LEAGUE×まちづくり委員会」の事務局として、官民連携による地域活性化の先進事例を整理・体系化し、アリーナを核とした都市開発や福祉・教育との連携など、スポーツを起点とした多様なまちづくりモデルの創出を支援しています。
島田氏:これまでは熱量に頼って伝えなければならなかった「なぜ地域にスポーツチームが必要なのか」という問いに対する答えが、指標化を通して客観的かつ説得力を持って伝えられるようになりました。EYと意見交換しながら指標化を進めたことで、地域の人たちが感覚として抱いていた「見えない価値」を、世の中に伝えるためのコミュニケーションツールができたことに、大きな手応えを感じています。
The better the world works
B.LEAGUEが目指しているのは、単なる競技リーグとしての成長ではありません。スポーツを“公共財”として機能させ、地域社会を活性化する。その実現に向けて、感動や熱量を社会的価値として、さらに可視化していくことが求められています。
2026年5月現在、B.LEAGUEはB3所属クラブを合わせると全国55クラブで構成されています。島田氏自身も、かつて千葉ジェッツの運営会社の社長としてクラブ経営に携わっていました。その中で、クラブと地域の関係性が変化していく過程を目の当たりにしたと言います。
島田氏:14年前に千葉ジェッツの社長に就任した当時、チームは経営的にも厳しい状況にありました。商店街を回り、「ポスターを貼らせてください」と頭を下げてお願いするところからのスタートでした。当時はまだB.LEAGUEが存在する前であり、「なぜマイナー競技を応援する必要があるのか」という空気も漂っていました。
そのような中でもクラブの価値向上に取り組み続けた結果、現在では自治体や知事、市民、商店街まで含め、幅広く支持される存在へと成長しています。
島田氏:今では「おらが町」のクラブとして応援していただけるようになり、クラブと地域の関係性は大きく変わりました。
岡田:スポーツビジネスでは「熱量」という言葉がよく使われますが、その原動力は単なる盛り上がりではなく、「共感」にあるのではないでしょうか。B.LEAGUEは今、単なる興行を超えて、地域における公共財のような存在になりつつあり、クラブ自体のIP価値も高まっています。地域やファン、自治体が「このチームに関わりたい」と感じることで、さらに価値が高まり、新たな人や投資を呼び込む好循環が生まれているのです。
島田氏:スポーツは単に勝ち負けを競うものではなく、感動を届けるエンターテインメントだと考えています。B.LEAGUEがここまで成長できた背景には、競技力向上だけでなく、選手が輝く会場づくりや、ファン満足度を高める演出、勝敗だけに左右されない体験設計がありました。バスケットボールの魅力を、社会に伝わりやすい形へ翻訳しながら、リーグやクラブの価値を高め続けてきたことが成長につながったのだと考えています。
岡田:B.LEAGUEは、2050年に向けて「感動立国」というビジョンを掲げていらっしゃいます。スポーツが持つ「熱量」や「感動」のエネルギーで人々が希望を持てる社会を目指すというそのビジョンに、EYも強く共感し、できる限りサポートしていきたいと考えています。
島田氏:ありがとうございます。アリーナやクラブは、まだ成長の途中にあります。ビジネス面でも、さらにクオリティーを高めていく必要があります。EY様にサポートいただいたクラブやオールスターゲームの社会的価値の可視化等によって、クラブが持つ価値を客観的に示すことが特に重要です。そうすることで、クラブの成長支援やアリーナ整備に対する自治体の理解を得る後押しができると考えています。今後もこれまで以上のサポートを期待しています。
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