EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
要点
政府による「医療DX」の推進が加速しています。2024年の診療報酬改定においても、医療情報システムのあり方は重要な論点となっています。多くの医療機関において、病院情報システム、とりわけ電子カルテシステムの更新は、単なる機器の入れ替えではなく、病院経営の持続可能性を左右する重要な経営課題となっています。
現在、多くの医療機関が直面している課題が、電子カルテシステム調達価格の高騰です。半導体不足や人件費の上昇に加え、ソフトウェアライセンス費用の値上げ、円安の影響も重なり、システム更新費用は増加の一途をたどっています。 さらに深刻なのが「ベンダーロックイン」の問題です。独自のデータ形式や仕様により、既存ベンダー以外のシステムへの切り替えが困難になることで、価格競争が働かず、保守費用も高止まりする傾向にあります。これは、病院経営を圧迫するだけでなく、データの自由な活用を阻害する要因ともなっています。
この状況を打破し、真の医療DXを実現するための鍵となるのが「標準化」です。厚生労働省は「標準型電子カルテ」の整備を進めており、データ交換規約として国際標準規格である「HL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)」の導入を推奨しています。 HL7 FHIRを採用することで、異なるベンダー間でも円滑なデータ連携が可能となります。これはベンダーロックインからの脱却を促し、適正な競争環境を生み出すとともに、地域医療連携や災害時の医療情報の共有にも大きく寄与します。
システムが標準化され、データが整備されることで、医療データの二次利用への道が開かれます。蓄積されたデータは、医学研究や創薬だけでなく、病院経営の効率化や質の向上に向けた分析にも活用できます。 また、近年注目を集める「生成AI」の活用も期待されています。医師の診療記録作成の支援や、退院サマリー作成の自動化など、医療従事者の働き方改革に直結するソリューションが登場し始めています。 一方で、病院情報システムのセキュリティ対策は喫緊の課題です。サイバー攻撃のリスクが高まる中、利便性と堅固なセキュリティを両立させる必要があります。EYでは、急速に進化する「生成AI」の活用において、透明性や公平性を確保し、セキュリティリスクを低減する安全な病院情報システムの導入を支援しています。
病院情報システムの更新は、複雑かつ高度な専門知識を要するプロジェクトです。ベンダー主導ではなく、医療機関が主体となって最適なシステムを選定・構築するためには、客観的な立場からの専門的な支援が不可欠です。
EYでは医療情報システム更新に関わる包括的なアドバイザリー業務を提供しています。現状の課題分析からシステムの稼働まで、一気通貫した支援を通じて、医療機関の医療DX推進と質の高い医療の提供に貢献します。
医療情報システムの更新は、単なるITインフラの刷新にとどまらず、病院経営の質や医療DXの実現を左右する重要なプロジェクトです。EYのプロフェッショナルは、特定のベンダーに依存しない中立的な立場から、システムライフサイクルの全フェーズにおいて、貴院を支援します。
① 現状分析・基本計画策定
~「あるべき姿(To-Be)」の描画と経営課題の整理~
システム更新を単なる「機器の入れ替え」で終わらせないためには、プロジェクトの初期段階での構想策定が極めて重要です。
② 要求仕様書(RFP)作成支援
~ベンダーロックインの回避と標準化の推進~
ベンダーロックインを防ぎ、競争原理が働く調達を実現するためには、曖昧さを排除した明確な要求仕様書の作成が不可欠です。
③ システム会社選定・契約支援
~客観的かつ公平な評価によるパートナー選定~
複数のベンダーからの提案を横並びで比較・評価し、医療機関にとって最適なパートナー選定を支援します。
④ システム導入支援(PMO支援)
~プロジェクトの円滑な遂行と品質管理~
ベンダー決定後は、病院側のプロジェクト管理オフィス(PMO)として、導入プロジェクトをけん引します。
当法人では、医療機関に合わせたコンサルティングサービスを提供しています。
病院情報システム更新に不安や疑問がある場合は、ぜひご相談ください。
竹田 将紀
EY新日本有限責任監査法人 FAAS事業部 マネージャー
大手ITベンダーおよび外資系医療機器メーカーにて、電子カルテ(EMR)導入PM、重症部門・手術部門システムの技術支援、提案営業、部門ベンダーコントロールを担当し、中規模〜大規模病院向けのEMR・部門システム導入支援に従事。現在は、病院情報システム更新に係るコンサルティング支援を担当。
医療DXに向けた電子カルテ更新や病院情報システムの導入支援について解説します。システム標準化、ベンダー選定、生成AI活用など、失敗しない更新のポイントとは。EYが構想策定から稼働まで中立的な立場でコンサルティング支援します。
関連記事
日本における医療・介護・福祉分野におけるデータ活用と医療DXの現状とは
高齢化による人材不足が深刻化する中で、医療・介護・福祉分野でのDX化は急務です。日本の政策動向と現場課題を整理し、生産性向上に向けたデジタル化のポイントを示します。
物価上昇や人件費の高騰が続く中、病院情報システムの更新判断は、これまで以上に重要な経営課題となっています。本稿では保守延長を1つの暫定策と位置づけつつ、その是非を見極めるための視点を整理します。
EYの関連サービス
EY Japanでは、これまでも厚生労働省様および、医療・健康などに関係する官庁の調査・提案を行ってまいりました。これまでの活動をさらに強化するべく、医療政策を専門とするチームを組成することとなりました。医療政策は、医療DX関連・地域医療計画・医療勤務環境改善・先進医療の海外調査など、多岐にわたります。ワンストップで政策支援を行えるため、どのような分野であれ、医療・健康に関する相談をお受けいたします。
続きを読む病院情報システムに対する外部からの攻撃、内部オペレーションミスにより、重篤な医療情報システムの停止などの被害が社会課題として大きく報じられてかなりの時間がたちました。にもかかわらず、未だ医療機関の情報システムは脅威にさらされています。その対策に必要な人員確保やルールの整備も、後手にまわることが多いのではないでしょうか。医療情報システムのプロフェッショナルを多く抱えたEYのチームがサポートいたします。
続きを読む病院情報システムの導入を経験された方は限られており、またその経験もすぐに陳腐化することが懸念されます。 情報システム人材不足の中、専門性と多くの時間が求められる、情報システム導入に課題があれば、医療情報システム導入を多くの病院で手掛けた専門家がサポートします。金額・スケジュール・契約など幅広いサポートが可能です。
続きを読む