電子カルテなど病院情報システム導入セミナーの開催報告

医療機関(病院など)向けPHSからスマートフォンへのスムーズな移行に向けた6つのステップ

長年、院内連絡の中心を担ってきたPHSが、その役割の転換期にあると考えられます。端末や部品の供給について価格の高騰や供給終了などが進みつつある中、新しいコミュニケーションツールの検討が必要です。


要点

  • どのように更新を進めていけばよいか分からないという計画の第一歩から概要を説明する。
  • どのような情報や機能を連携することができるのかを紹介する。
  • 運用フローやセキュリティといった関連事項に関する概要を紹介する。

2023年の公衆PHSのサービス終了を受けて、主要なメーカーはPHS関連機器の製造を終了し、保守部品の供給も困難になりつつあります。加えて、医療DX、AI導入など、新たなソリューションが誕生し、音声だけでなく文字によるコミュニケーションやチームでの情報共有、画像データなどのやり取りの重要性が高まりつつあります。

一方で、病院の皆さまからは、

  • どのように更新を進めていけばよいか分からない
  • どのような機能や連携ができるか、必要かどうかの判断が難しい
  • 運用の変更や最適な導入台数、運用フローなどが分からない
  • スマートフォンの導入により、維持管理が情報システム部門に変更になったが、どのように管理すればいいか分からない

などのご相談をいただくことが多くなってきています。


PHSからスマートフォンへのスムーズな移行の6ステップ

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ステップ1. 現状調査・移行計画の策定

各医療機関が「いま、誰が、どのように連絡を取り合っているか」を基盤、運用を含め現状の調査を行います。PHSの台数や利用部署、ナースコール・院内放送連携を整理し、無理のない移行スケジュールと概要、機能紹介(デモンストレーション)の調整などを実施します。

ステップ2. 最適な通信方式の検討

PHSの後継には、スマートフォンを院内専用の電波で使う方式(院内LTE)や、院内Wi-Fiを活用する方式など、複数の選択肢があります。それぞれ費用や電波の安定性、将来の拡張性が異なります。貴院の建物の構造や規模、予算などを踏まえて、特定のベンダー、ソリューションに偏ることなく、中立的な立場で適した選択肢を検討することが重要と考えられます。

ステップ3. 医療情報システムとの連携検討

スマートフォン導入のポイントの1つは「つながりの深化」にあります。ナースコールの呼び出しを担当看護師の端末に直接届ける、検査結果の通知を受け取る、患部の画像をチームで安全に共有するなどの多くの部署との情報連携・共有により、職員の移動や伝言の手間を減らし、患者対応のスピードを高めます。

また、PHSと異なり、送信者側は、比較的タイミングを気にせず相談や情報を送信できる一方で、受信者も処置や手術、急患対応などにより即時の対応が難しい場合であっても、後から内容を確認できる点が特徴です。

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ステップ4. セキュリティ対策検討

スマートフォン導入で医療機関の皆さま、特に経営層、幹部層の方々の最も心配な点が情報漏えいのリスクです。端末の紛失時に遠隔でデータを消去する仕組み、私的利用の制限、撮影した画像を端末に残さない運用など、厚生労働省等の各種ガイドラインに沿った安全対策を整理し、必要な対策を仕様などに含めることが重要と考えられます。また、運用フローや各種ドキュメントの補記、修正を適時実施することも並行して行います。

参照元:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(令和8年6月)
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html(2026年7月3日アクセス)

ステップ5. 導入・運用の定着

新しい仕組みは「現場で使われてこそ」です。職員の皆さま向けの操作研修、運用ルールづくり、導入後の問い合わせ対応体制の構築まで、貴院にとって現実的な運用案を作成することが重要と考えられます。また、災害時や通信障害時にも連絡手段が途絶えないよう、非常時の代替手段を含めた事業継続(BCP)の見直しの必要性も検討します。

運用開始後も継続的に想定された課題が解決できているか、新たな課題やリスクが顕在化していないかをシステム、ユーザー、経営層などさまざまな視点で確認と改善を進めていくことで安定した運用と更新の効果をより高めることができます。

ステップ6. 補助金・助成金の活用支援

院内通信のスマートフォン化は、単なる電話の置き換えではなく「医療DX」「働き方改革」への投資です。国や自治体には、こうした投資を後押しする制度が複数あります。2026年度からは従来のIT導入補助金が「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更したとされ、医療機関のITツール導入にも活用されています。また、電子カルテ情報共有サービス関連の補助金は申請期間が長期に設定されており、継続的なシステム投資を支える財源として中期経営計画に組み込む視点が重要と考えられます。このほか、都道府県の地域医療介護総合確保基金(医療従事者の勤務環境改善・ICT化区分)が活用できる場合もあります。

サマリー

院内PHSのスマートフォンへの移行は単なる機器の更新とは異なり、使用する情報や範囲、リスクの検討など多くの視点で進めることが重要と考えられます。

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