サービスプロバイダーの次なる対策
今回の調査結果全体を踏まえると、デジタルホームサービスプロバイダーがより効果的にコネクテッドコンシューマーのエンゲージメントを高め、かつ収益化を図るために講じるべき対策は5つあります。
価値提案とブランド原則を強化する
料金引き上げに対する消費者の不安は変化し続けており、またサプライヤーの選択において消費者が地政学的状況を考慮する可能性もあります。バリュー・フォー・マネー重視の姿勢はおおむね安定しているものの、アップセルで有利な立場に立てるかどうかは、ブランドへの信頼、料金設定、利便性など複数の要因に左右されます。製品やサービスを多様化する新たな機会を開拓しながら、主力サービスの強みを明確に打ち出しましょう。同時に、顧客とデータを保護する体制を強固に維持するとともに、急速に変化する地政学的環境を踏まえ、ステークホルダーとの関わり方にも十分配慮することが重要です。
カスタマーインティマシー(顧客親密性)、顧客理解、共感を見直す
今回の調査結果から、既存のセグメント分類アプローチや市場参入アプローチでは捉えきれない、顧客の新たな行動やニーズが明らかになりました。顧客の「囲い込み」を優先する契約モデルを見直して、より情報感度が高くフットワークの軽い消費者をターゲットにしましょう。既存のロイヤルティを満足感と混同しないよう注意し、顧客の潜在的な不安に対処するとともに、プレミアムサービスのメリットをはっきりと打ち出してください。カスタマーサポートのパーソナライズ強化に伴うサービス機能の新設や改善について積極的に情報提供することにより、売上高も顧客満足度も高めて、顧客の能動的なロイヤルティの形成につなげることができます。
サービスの進化とシンプル化を同時に図る
単なる「more for more(付加価値に応じた料金体系)」ではなく、「more for better(サービス品質に応じた料金体系)」を原則として、顧客のニーズに合ったサービスのラインアップを実現しましょう。異なる形態の接続サービスの組み合わせや、多様なフォーマットを効果的に組み合わせたコンテンツの充実など、新たなタイプのバンドルプランは重要ですが、シンプルさを求める顧客の声の高まりを無視することはできません。サービス設計では、効果的に集約することを最優先事項とするべきです。顧客がサービスをより簡単に見つけ、利用できるようになるだけでなく、新たな形の価値をアピールすることもできます。顧客体験の向上についても、パートナーやサプライヤーの協力が得られる領域を検討し、改善を図りましょう。
カスタマージャーニーの超短縮化に備える
生成AIはすでに購買プロセスで消費者の人気を集めつつあり、従来の問い合わせ方法や検索方法に取って代わる可能性があります。顧客のデジタル能力が向上するにつれ、エージェント型AIが認知・検討・購買プロセスの統合・短縮を引き起こす可能性が大きくなるため、新たな形の価値提案を再構築し、販売時点よりもはるか前に示すことが不可欠です。カスタマージャーニーの急速な変化やシフトをうまく生かせるよう、製品・サービスの差別化を図り、AIシステムに認識されやすく、容易に理解されるものとなるよう十分配慮しましょう。
デジタルサポート体験の向上の阻害要因となる信頼の欠如に対処する
サービスを見つけるにあたりAIが果たす役割は変化していますが、サービスのラインアップとカスタマーサポートシステムでAIが担う役割については、消費者の懸念や不満もつきまといます。人を中心としたサポートが欠かせないエンドユーザーが多いことを認識した上で、デジタルツールが顧客とのやり取りで果たす役割の効果的な訴求に優先して取り組んでください。同時に、課題把握や問題解決において、人のスキルを補完できるAIの役割を強化して、人とデジタルツールのプラスの相互作用を最大限高めましょう。新たなテクノロジーとプロセスを効果的に導入することで、顧客のニーズと期待に応えることができます。