キャリア自律を高めるスキルベース施策の実践内容
山本:スキルベースの施策については、EYもご支援しながらすでに試験的な取り組みを始めていらっしゃいますが、具体的な内容をお聞かせいただけますでしょうか。
杉江氏:スキルベースといっても全く新しい仕組みを作るわけではなく、これまで取り組んできた『新人材マネジメント』の進化と捉えています。まずは、ジョブディスクリプションに求められるスキルの明確化と社員が保有するスキルの登録から着手しています。グローバル標準のスキルライブラリとジョブカタログをひも付けながら、各ポジションに求められるスキルを定義し、社員自身がその成熟度を自己評価・登録できる仕組みを導入しています。事業場で独自に定義しているスキルが存在する場合、それもスキルマスターに登録しています。目指すポジションに求められるスキルと自身が保有するスキルのギャップが可視化されることで、自発的なキャリア設計や学習につながることを期待しています。
また、社員の自律性を重視する観点から、上司承認のプロセスはシステム上に設けず、登録内容をもとに上司と部下が1on1を通して確認し合う形をとっています。個人が自発的にキャリア形成するための材料を提供しながら、マネージャーは組織におけるスキルの量・質・将来とのギャップを把握し、戦略的な人材マネジメントに取り組めるように、実践情報基盤としてのスキルデータの蓄積と活用に取り組んでいます。
これらを進めるためにはテクノロジーの活用が不可欠であり、システムに備わっているAI機能も最大限活用していきたいと考えています。
人材マネジメント改革の成功事例をグループ全体へ
山本:貴社の人材マネジメント改革は、カルチャー改革を基盤に人事制度とそれを支えるシステムを適切に連動させることで、現場主体で意思決定ができる組織を実現しました。戦略策定・システム導入・現場運用を一体で捉え、実装までやり切った点で、日本企業では類を見ない卓越した事例だと感じています。
最後に、今回の人材マネジメント改革の成功が、今後グループ全体へどのように波及していくのか、展望をお聞かせください。
杉江氏:SAP SuccessFactorsは、グループ全体への展開がすでに決定しており、当社での実績がその後押しになった面もあったと感じています。
グループは規模も大きく事業環境も多様なため、当社と全く同じやり方がそのまま全ての事業会社に当てはまるとは限りません。それぞれの事業環境に適した形で活用を深めながら、標準プラットフォームをベースに展開していくことが重要だと考えています。同じプラットフォームをグループ全体で共有することで、グループワイドでの人材の流動化や最適配置という大きなメリットも生まれますので、今後の展開には期待しています。
パナソニック コネクトは、パナソニックグループにおけるファーストペンギンでありたいと考えていますので、今後も変化を恐れずチャレンジを続けていきたいです。
山本:今回お話を伺って、貴社が目指す人材マネジメントの世界観が、システムと日々のオペレーションを通じて確実に現場に根付いていることを、私たち自身も強く実感しました。
人材マネジメント改革は、一度形を整えれば終わるものではなく、事業戦略や環境変化に応じて、絶えず進化させ続けていく必要があります。今後、スキルベースの取り組みを含め、さらなる高度化を目指される中で、引き続き伴走しながらご支援していきたいと考えています。本日はありがとうございました。