ニュースリリース
2026年7月28日  | 東京, Japan

EY調査、2026年上半期の世界のIPO状況

前年同期よりIPO件数は微減も、調達額は3倍超

プレス窓口

EY新日本有限責任監査法人(東京都千代田区、理事長:松村 洋季、 以下 EY新日本)は、EYの調査「EY Global IPO Trends Q2 2026」に基づき、2026年1月から同年6月末までの上半期における世界のIPOの状況*をまとめましたので、お知らせします。

* 2026年1月1日から2026年6月30日までに完了したIPOを対象としています。

2026年上半期における世界のIPOの状況

要点

  • 世界のIPOの件数は微減も、調達額は3倍超――大型案件が回復をけん引
  • Asia-Pacific(アジア太平洋地域)は件数・調達額とも増加、Americas(北・中・南米)は件数減でも調達額が急拡大
  • AI、先端製造、インフラ関連が投資家心理を支え、2026年後半の市場の再加速に期待
     

1. 世界全体:件数は前年同期を下回り、調達額は大幅増

2026年上半期の世界IPO市場では、IPO件数は509件と、2025年上半期の548件から7.1%減少しました。一方で、調達額は1,936億米ドルとなり、前年同期の624億米ドルから210.1%増加しました。大型案件の寄与により、件数が減少したものの、資金調達規模の拡大が鮮明になった点が特徴的でした。

表1:世界IPO市場の比較(件数)

 2025年上半期件数2026年上半期件数前年比
世界全体548509-7.1%

表2:世界IPO市場の比較(調達額)

 2025年上半期調達額
(10億米ドル)
2026年上半期調達額
(10億米ドル)
前年比
世界全体62.4193.6+210.1%

2. エリア別:Americasが調達額をけん引、Asia-Pacificは件数・調達額とも増加

Americasでは、件数が前年同期比で27.4%減となった一方、調達額は659.7%増の1,304億米ドルと突出した伸びを示しました。米国において、宇宙関連スタートアップの超大型上場があったことが要因です。Asia-Pacificでは件数が6.5%増、調達額が59.7%増となり、案件数と金額の双方で堅調でした。EMEIA(欧州、中東、インド、アフリカ)では、件数が11.1%減となりましたが、調達額は3.0%増と底堅く推移しました。

表3:エリア別IPOの比較(件数)

エリア2025年上半期件数2026年上半期件数前年比
Americas11785-27.4%
Asia-Pacific232247+6.5%
EMEIA199177-11.1%

表4:エリア別IPOの比較(調達額)

エリア2025年上半期調達額
(10億米ドル)
2026年上半期調達額
(10億米ドル)
前年比
Americas17.2130.4+659.7%
Asia-Pacific29.346.8+59.7%
EMEIA15.916.4+3.0%

3. 主要国・地域別:米国とGreater China(中国本土、香港、台湾)が調達額を押し上げ、日本は件数・調達額とも減少

米国の調達額が1,280億米ドルと前年同期比646.4%増となり、世界全体の調達額拡大を強くけん引しました。Greater Chinaも件数で52.3%増、調達額で96.9%増と大きく伸長しました。日本は件数が17件(39.3%減)、調達額は9.2億米ドル(75.4%減)と、件数、調達額ともに前年同期を下回り、グローバル市場の大型化とは対照的に、小型案件中心の展開となりました。インドは102件と高水準を維持しましたが、前年同期比では件数6.4%減、調達額16.2%減となりました。

表5:主要国・地域別IPOの比較(件数)

国・地域2025年上半期件数2026年上半期件数前年比
米国11172-35.1%
Greater China
(中国本土、香港、台湾)
107163+52.3%
日本2817-39.3%
インド109102-6.4%

表6:主要国・地域別IPOの比較(調達額)

国・地域2025年上半期調達額
(10億米ドル)
2026年上半期調達額
(10億米ドル)
前年比
米国17.1128.0+646.4%
Greater China21.542.3+96.9%
日本3.70.9-75.4%
インド4.63.9-16.2%

4. セクター分析:TechnologyとAdvanced Manufacturingが件数で首位、調達額はAdvanced Manufacturingが突出

セクター別では、IPO件数はTechnologyとAdvanced Manufacturingがそれぞれ93件で最多となりました。Life Sciencesも55件と前年同期比25.0%増となり、成長セクター企業の上場意欲が継続しています。調達額ではAdvanced Manufacturingが1,112億米ドルと前年同期の52億米ドルから大幅に拡大し、全体の金額増を左右する最大の変動要因となりました。Technologyも286億米ドルと前年同期比217.6%増で、AI、半導体、データセンター関連の投資テーマと連動した動きとなりました。

表7:IPO件数の上位セクター

セクター2025年上半期件数2026年上半期件数前年比
Technology7293+29.2%
Advanced Manufacturing8193+14.8%
Life Sciences4455+25.0%
RE, Hospitality & Construction6950-27.5%
Mining & Metals2440+66.7%

表8:IPO調達額の上位セクター

セクター2025年上半期調達額
(10億米ドル) 
2026年上半期調達額
(10億米ドル)
前年比
Advanced Manufacturing5.2111.2+2021.7%
Technology9.028.6+217.6%
RE, Hospitality & Construction6.111.9+94.4%
Life Sciences4.99.9+102.3%
Consumer Products3.65.3+46.1%

5. 2026年下半期の見通し

2026年後半に向けては、IPO市場の再加速が予想されます。メガディール、地政学、セクター固有のファンダメンタルズが、引き続きIPOに影響を与えると考えられ、発行体には「いつ上場するか」だけでなく「どの手段で市場にアクセスするか」という柔軟な選択が求められています。特に、AI、半導体、電力・データセンター、ロボティクス、先端製造などは、投資家の関心を集めやすい領域であり、説得力ある成長ストーリーと上場準備の達成度が差別化要因となると考えられます。

ただし、地政学リスクや一時的な市場ボラティリティによって、上場機会は短期間で変化する可能性があります。IPOの好機を逃さないためには、監査・開示体制、事業計画等の内部管理体制の整備、資本政策や投資家向け説明のストーリーの立案、代替的な資金調達手段の準備等、複数の実行シナリオを持つことが重要なポイントと考えられます。

EY新日本有限責任監査法人 企業成長サポートセンター 副センター長の善方 正義(ぜんぽう まさよし)のコメント:
2026年上半期の日本のIPO件数は、前年同期の28社から11社減少し、17社(前年同期比39%減)にとどまりました。東京証券取引所によるグロース市場の上場維持基準の見直しの動きを受け、グロース市場のIPO件数は前年同期の18社から11社に減少しました。一方で、タクシーアプリサービス会社がグロース市場に上場しており、日本市場における上半期IPOの調達額(売出金額971億円)トップとなりました。なお、初値時価総額は2,260億円となり、この点でもトップでした。

2026年の年間IPO件数は、50社後半程度(2025年66社)になると見込まれています。大型IPOの登場は、市場環境にとって追い風となっています。また、AI、ディープテック、宇宙、防衛、大学発スタートアップなどの分野への注目が高まっています。


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