EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYではサステナビリティ開示・保証等に関連したグローバル動向の最新情報を毎月お届けしています。
注:冬季休暇のため2025年1月号はお休みさせて頂きます。次回は2025年2月号になります。
11月19日、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、企業がサステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、開示するための教育的資料(*1)を発表しました。この資料では、国際会計基準審議会が財務諸表の開示に関するIFRS実務記述書第2号「重要性の判断の行使」(*2)と同様に、重要性の判断を行うためのプロセスが示されています。
2024年11月13日、IOSCOは移行計画の開示に関する報告書(*3)を公表しました。この報告書では、投資家やその他の利害関係者が移行計画の開示をどのように見て利用しているかを特定し、この種の開示の現状を評価しています。報告書によると、移行計画の開示に関する現在の課題には、比較可能性と標準化、移行計画に関する情報への保証の欠如、法的リスクへの懸念が含まれます。また、IOSCOは、ISSBによる移行計画に関する教育的資料を開発する計画を歓迎し、ISSBに対して、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)のような法域の基準との相互運用可能性を維持するよう奨励しました。
11月14日、企業の環境への影響を測定・管理するためのグローバルな開示プラットフォームを運営する環境非営利団体であるCDPと欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)(*4)は、COP29の場で、CDPの質問票と欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)との間に「高い共通性と相互運用可能性」があることを発表しました。CDPとEFRAGは、両方の要求事項を報告する企業の報告負担を軽減することを目的として、2025年初めに包括的なマッピングガイダンスを共同で公表する予定です。同じ週に、CDPはまた、報告基準とプラットフォームを整合させることを目的とした、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)との新たなパートナーシップイニシアティブ(*5)を発表しました。この合意には、CDPの質問票とGRIの今後発表される基準との整合性を探る共同マッピング作業が含まれています。
12月4日、トランプ次期大統領は、2025年1月20日付で退任することを発表したゲイリー・ゲンスラー氏(*6)の後任として、ポール・アトキンス元SEC委員を次期SEC委員長に指名する意向を表明しました。アトキンス氏が上院で承認された場合、2024年3月にSECが発表した気候関連開示規則の支持を今後継続することはないだろうと、多くの関係者は予想しています。また、バイデン政権の過去4年にわたってSECの議題に上っていた人的資本開示規則を追求する可能性も低いと考えられます。ゲンスラー氏の退任に加え、2024年11月22日には、SEC委員のハイメ・リザラガ氏(*7)が、2025年1月17日をもって委員を退任する予定である公式声明を発表しました。ゲンスラー氏とリザラガ氏の退任により、2025年1月20日付で、2名の委員が共和党員、1名が民主党員となり、2名の空席が生じることになります。
11月13日、EFRAGのサステナビリティ報告委員会(SRB)は、非上場の中小企業(SME)向けの任意のサステナビリティ報告基準(VSME基準)(*8)を承認しました。サステナビリティ関連のアンケートに代わるものとして設計されたVSME基準は、中小企業が大企業や、資金の貸し手、投資家に対して関連データを提出することの支援を目的としています。この基準には、零細企業向けの基本モジュールと、追加のデータポイント向けの包括的モジュールが含まれており、規模の小さい企業に対して、その規模に見合う簡素化された開示ができるようになっています。この承認を受けて、VSME基準は欧州委員会に提出され、採択される予定です。
11月22日、インドネシア勅許会計士協会(IAI)は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の基準に基づくサステナビリティ開示基準の採択に向けたロードマップを公表し、意見募集を開始しました。この文書では、気候関連を最優先に取り組むアプローチを提案しており、強制的な開示の適用開始日は2027年1月1日ですが、それより早期に実施する可能性もあります。サステナビリティ開示基準を適用しなければならない企業の範囲は、まだ決定されていません。意見募集は2024年11月28日に終了しました。
11月19日、タイ証券取引委員会は、ISSB基準と整合する、サステナビリティ開示の強化に関するガイドラインの原則(*9)を意見募集のために公表しました。導入スケジュール案では、タイ証券取引所(SET50)指数に含まれる上場企業を対象に、2026年度から開始し、温室効果ガス排出の開示については限定的な保証を求めるとしています。意見募集は2024年12月19日に終了しました。
11月13日、ニュージーランド外部報告審議会は、スコープ3の温室効果ガス排出量開示の1年延長も含む、気候基準および保証基準の改訂に関する3つの提案(*10)を承認しました。改訂基準の適用日は2024年1月1日で、温室効果ガス排出量開示および移行計画に関するガイドラインは2024年12月末に発表される予定です。
11月7日、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)は、サステナビリティ報告制度に関する規制ガイダンスの草案(*11)を公表し、意見募集を開始しました。草案では、法令遵守に関する詳細な指示、既存の法的義務との相互作用、ASICの監督および執行に関するアプローチの概要が説明されています。意見募集は2024年12月19日に終了しました。
11月6日、中国の三大株式市場である上海証券取引所(SSE)、深圳証券取引所(SZSE)、北京証券取引所(BSE)は、大規模な上場企業向けのサステナビリティ開示フレームワーク案を公表しました。このフレームワーク案は、今年初めに発表された草案のガイドラインに沿ったものです。承認待ちですが、このフレームワークは、大規模な上場企業に対して、ダブル・マテリアリティアプローチに基づく財務、環境および社会的なインパクトを開示することが求められます。主な気候関連の情報としては、温室効果ガス排出量、カーボン・オフセット、脱炭素化目標などが含まれます。フレームワーク案に対する意見募集は2024年11月21日に締め切られましたが、具体的な適用時期は定められていません。これとは別に、2024年5月には、中国の財務省(MoF)が、ISSB基準と整合するサステナビリティ報告基準の大まかな草案を公表しました。MoFが証券取引所やその他の政府機関とどのように調整し、その開示基準が既存のESG要件と互換性を持つようにするのか、今後の動向が注目されます。
アゼルバイジャンのバクーで開催されたCOP29では、国際的な炭素市場のガバナンスに関する歴史的な合意に達しました。詳細は、下記「EYによるフォーカス」をご覧ください。
11月19日、ブラジル議会は、財務省のエコロジー改革計画に沿ったブラジル排出量取引制度(SBCE)(*12)を設立する法案を可決しました。SBCEは、規制と自主的な側面の両方を対象とする炭素市場を規制し、技術革新と脱炭素化の取り組みを推進することが期待されています。この制度では、排出量の上限が段階的に引き下げられ、企業がよりクリーンな技術に投資するよう促します。現在、この法案は大統領の承認待ちとなっており、ブラジルにおける規制炭素市場の確立に向けた基盤が整いつつあります。
11月28日、英国政府は英国排出量取引制度(UK ETS)(*13)の潜在的な変更に関する意見募集(*14)を開始しました。この意見募集では、海上輸送の排出量を市場に含むように拡大すること、およびパイプライン以外のCO2貯留方法に関する規制の検討に焦点が当てられています。提案されている変更には、対象船舶の規模を5,000総トンとする基準が含まれており、2028年に見直しが予定されています。また、意見募集では、CO2排出量は少ないものの、地球温暖化の可能性がより高い他のガスを多く排出する燃料へのインセンティブを防ぐため、NO2およびメタンガス排出量を対象とすることも検討されています。軍艦や沿岸警備隊の船舶などの政府所有の非商業用船舶、および特定のスコットランドのフェリー船の一部については、免除が提案されています。この意見募集は2025年1月23日まで実施され、北アイルランドおよびアイルランド共和国間の航海からの排出量の取り扱いなど、さまざまなトピックに関する見解が求められます。
2024年11月26日、アラブ首長国連邦(UAE)は、EUの排出量取引制度(EU ETS)に類似したカーボンプライシング制度の導入を検討すると発表しました。キャップ・アンド・トレード制度、年間25,000トン以上のCO2を排出する企業に対する排出量課徴金、ドイツにヒントを得たオークションモデルなど、UAEはいくつかのアプローチを評価する予定です。さらに、UAEの気候変動環境省は温室効果ガス排出量の測定と認証を行うシステムの構築を進めており、2025年1月までに運用開始の予定です。このイニシアティブの主な目的は、UAEの企業による脱炭素化の取り組みを支援することです。
11月19日、欧州理事会は、炭素除去、カーボンファーミング(農地による炭素貯留)、製品への炭素貯留に関する初のEUレベルの認証枠組みを定める規則(*15)を承認しました。この自主的な枠組みは、高品質な炭素除去活動を促進し、2050年までに気候中立を実現するというEUの目標を支援することを目的としています。規則には、認証規準、独立した検証および十全性(質)と透明性を高めるための強固なモニタリング体制が含まれています。
2024年11月18日、デンマークでは、2030年までに温室効果ガス排出量を70%削減することを支援し、農業からの排出に対する段階的なCO2税を導入する「グリーン三者間協定(Green Tripartite Agreement)」を実施するための幅広い政治的合意が成立しました。2028年から開始されるこの税は、家畜および農業用石灰からの排出に適用され、2035年までにCO2換算で1トンあたり750デンマーククローネに引き上げられます。農家に対する金銭的インセンティブ、例えば、肥料の使用削減や飼料添加物の促進に対する補助金などが、移行を容易にすることが期待されています。この計画には、炭素回収イニシアティブ、炭素を豊富に含む土壌の修復、植林プロジェクトなども含まれており、2030年までに180万トン、2035年までに最大330万トン(二酸化炭素換算)の排出量の削減を目指しています。
11月15日、英国政府は自主的な炭素市場および自然市場(nature market)の十全性(質)に関する原則(*16)を発表しました。これらの原則は、政府による十全性の高いクレジットの基準を概説し、気候や環境に関する目標を達成するために企業やその他の組織が責任を持って適切にクレジットを使用するためのガイダンスを提供しています。英国政府はまた、提案されている原則の実施を含め、自主的市場の十全性を高めるために政府が実施し得る措置に関して、2025年の早い時期に意見募集を行うことを発表しました。
2024年11月14日、IOSCOは、2022年の協議文書(*17)および2023年のコンサルテーション・レポート(*18)を基に、自主的炭素市場(VCM)に関する最終報告書(*19)を公表しました。この報告書では、透明性の欠如、利益相反、カーボンクレジットの品質や検証基準の一貫性の欠如など、VCMの主な脆弱性が指摘されています。IOSCOは、市場の十全性(質)を高め、不正やグリーンウォッシュなどのリスクを軽減することを目的とした21の「グッドプラクティス」を策定しました。これらの拘束力のないグッドプラクティスは、強靭で秩序ある透明性の高いVCMの実現に向けて、規制当局や市場参加者を導くように設定されています。
11月12日、欧州委員会は、国際民間航空向けのカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)を自主的に適用している国のリスト(*20)を公表しました。CORSIAは、2020年以降の国際民間航空によるCO2総排出量の増加に対処するための世界的な市場メカニズムです。CORSIAの実施には3つの段階があり、試行フェーズ(2021年~2023年)、現在実施中の第1フェーズ(2024年~2026年)、第2フェーズ(2027年~2035年)です。最初の2つのフェーズ(2021年~2026年)については任意参加ですが、2027年以降は2018年の収入トンキロメートル(航空業界で貨物を特定の距離にわたって輸送することで生み出された収入の量を測定するために使用される指標)のデータに基づいて参加が決定されます。
11月から12月前半にかけて、トランプ次期大統領は、政権運営期間中にサステナビリティ関連政策の策定で重要な役割を果たす、以下のような被任命者や指名候補者を発表しました:
12月4日、欧州委員会(*21)は、国連砂漠化対処条約締約国会議(UNCCD COP16)において、Regreening Africa Initiative(アフリカ再緑化イニシアティブ)に1,500万ユーロを追加投資することを発表しました。この投資は、土地の劣化対策、地域社会の生活改善、気候レジリエンスの向上、生態系の回復に充てられます。
12月3日、欧州議会は欧州委員会の提案を承認し、EU森林破壊防止規則(EUDR)の施行を1年延期(*22)することを決定しました。この延期は、EU加盟国、非EU諸国、貿易業者、事業者からの圧力を受けたもので、大規模企業への規則の施行は2025年12月、零細・小規模企業への施行は2026年半ばに延期されます。さらに、欧州委員会はEUDRをさらに修正して簡素化する可能性を検討する予定です。ただし、これは後日となる予定です。EUDRは、EU域内の輸入業者に対して、EU域内で販売する製品が森林破壊された原産地から調達されたものではないことを証明することを義務付けることで、森林破壊を防止することを目的としています。
11月27日、欧州議会はウルズラ・フォン・デア・ライエン氏の欧州委員会委員長としての2期目を承認(*23)しました。注目されるのは、テレサ・リベラ氏(社会民主進歩同盟)が「クリーンで公正かつ競争力のある移行」担当の上級副委員長に、また、ウォプケ・フークストラ氏(欧州人民党)が「気候、ネット・ゼロ、クリーンな成長」担当の委員に任命されたことです。この新体制は2024年12月1日に発足し、クリーン・インダストリアル・ディール、イノベーション、経済競争力といった政策目標間の調整を図ります。
2024年11月8日、フォン・デア・ライエン委員長は、オムニバス簡素化パッケージ(Omnibus Simplification Package)(*24)を通じてサステナビリティ報告要件を合理化する計画を再確認しました。このイニシアティブは、EUタクソノミー、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)、企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CSDDD)に関連する規制上の負担を軽減することを目的としています。フォン・デア・ライエン委員長は、これらの指令の本来の目標を維持しながら、冗長性や重複性のあるデータの要求を削減することを強調しました。2025年2月に発表が予定されているこのパッケージは、これらの規制フレームワークを統合し、効率性を向上させる可能性があります。他方、気候関連の活動家は、これらの規制を議論のテーブルに再び戻すことは、導入の遅れや環境保護の野心の低下につながるのではないかと懸念しています。
11月19日、EU理事会はESG評価機関の活動(ESG rating activities)に関する新たな規則(*25)を採択しました。この規則は、サステナブル・ファイナンス商品に対する投資家の信頼を高めることを目的としており、ESG評価の一貫性、透明性、比較可能性の向上を目指しています。これにより、欧州証券市場監督(ESMA)がESG評価機関の許認可と監督をすることになります。この規則は2024年12月中旬に法制化され、2026年6月に適用が開始される予定です。
11月14日、英国政府は2023年3月のESG評価機関の規制に関する協議への回答書(*26)を公表し、同時に更新された法案(*27)を公表し、2025年1月14日を期日として意見募集を開始しました。政府は、2025年初頭に議会にこの更新された法案を提出することを目指しています。承認された場合、英国金融行為規制機構(FCA)がESG評価機関の許認可と規制を監督し、政策提案に関する協議を行うことになります。政府は、FCAの規則が2021年のIOSCOの勧告(*28)を反映し、規制の成果が透明性、優れたガバナンス、利益相反の管理、堅牢なシステムと統制の促進に重点を置くことを期待しています。また、政府は、ESG評価の規制体制の設計、開発、開始までの全体的なプロセスに約4年を要すると予想しています。
11月14日、英国政府は英国グリーン・タクソノミーの有用性に関する協議案(*29)を発表しました。政府は特に、グリーンウォッシュ規制を緩和し、政府のサステナビリティ目標を支援する資本の流入という目的を達成するために、英国タクソノミーが既存の政策に追加的かつ補完的なものとなるかどうかを判断するための意見を求めています。意見募集は2025年2月6日までとなっています。
11月、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第29回締約国会議(COP29)がアゼルバイジャンのバクーで開催され、政府高官、企業代表、その他のグローバルリーダー、市民社会の代表が一堂に会しました。COP29では、2035年までに途上国に対し、少なくとも年間3,000億米ドル(*30)の気候資金を提供するとの新規合同数値目標(NCQG)の最終合意で結実しました。激しい交渉(*31)の末に至ったこの合意は、現行の気候資金の目標である1,000億米ドルの3倍に相当します。国連によれば、これでも途上国の全体のニーズを満たすにはまだ十分ではありません。このことから、国際社会は、COPのサステナビリティ目標を達成するための民間資金が重要であることを認識し、2035年までに、世界全体で官民あわせた資金源からの拠出を、年間3,000億米ドルから年間1兆3,000億米ドルに増やすよう求められています。付け加えると国が決定する貢献(NDC)が、資金とエネルギーに関する議論の重要な背景でした。全ての国は、2025年2月までに更新されたNDCを提出しなければなりません。
昨年のCOP28での「グローバル・ストックテイク」(*32)での化石燃料からの「脱却」のコミットメントとは異なり、最終文書には化石燃料削減の誓約は特に含まれていませんでした。サウジアラビアをはじめとする他の数カ国は、化石燃料削減の文言を盛り込むことに対して抵抗し、一部のグローバルリーダー(*33)から批判を浴びました。とはいえ、欧州連合(EU)と25カ国は、次回のNDCで石炭火力発電所の新設を行わないことをコミット(*34)しました。しかし、中国、インド、米国を含む世界最大の石炭消費国は、このコミットメントに加わりませんでした。
また、代表団は、クレジットの取引に関する詳細な会計システムを備え、国連の監督機関により運営され、国境を越えた透明性のある炭素市場を確立するパリ協定第6条4項のクレジット付与方法についても承認しました。さらに、第6条2項に関するガイダンスを最終決定し、二国間排出量取引のアプローチを明確にし、排出削減量のダブルカウントを防止しました。炭素市場に関する主要な基準(*35)が採択されましたが、これらの合意が急いで行われたことや多様な利害関係者の関与が欠如していることについて懸念が生じました。
その他の主な動き
COP29では、気候資金と炭素市場の運用化において大きな進展がありましたが、化石燃料の使用からの「脱却」という昨年のコミットメントに基づくコミットメントがなかったことは、気候に関する世界的なコンセンサス達成に向けた継続的な課題を浮き彫りにしました。2025年11月にブラジルのベレンで開催されるCOP30における適応、エネルギー転換、公正な移行に焦点を当てた交渉に向けて、いくつかの重要な課題が進展して行くこととなります。また、自然と生物多様性も、資金、適応、先住民の権利に影響を与えながら、より統合された役割を果たして行くこととなります。
※今月の「EYによるフォーカス」は、EY Global Public Policy チームとEY EMEIA Public Policy チームとの共同執筆です。
“Why Africa’s FDI landscape remains resilient”
EY(*41)は、昨年のアフリカにおけるサステナビリティ関連の海外直接投資プロジェクトが前年比で9%増加したことを報告し、再生可能エネルギーが投資を引きつける重要なセクターであることが明らかになりました。この調査結果は、アフリカの投資魅力と、再生可能エネルギー、食品・飲料、ビジネスサービスにおける大きなビジネスチャンスを浮き彫りにしています。
“Basel Committee Delays Climate Risk Disclosure Framework Until 2025“
バーゼル委員会(*42)は、基準の精緻化とグローバルとの整合性を確保するためにより多くの時間が必要であるとして、気候関連リスク開示フレームワークの導入を延期しました。
“2024 Carrots & Sticks Report”
新しい報告書(*43)によると、企業のサステナビリティ開示基準は、依然として自主的な基準に大きく依存しています。GRI(Global Reporting Initiative)はグローバルのESG規制の18%で参照されており、SDGsを参考にした政策も増えています。
“New Report: Global Progress on Corporate Climate-Related Disclosures”
このIFRS報告書(*44)では、気候関連の企業情報開示の進捗に焦点を当て、基準の導入の増加が進んでいることや、さらなる改善が必要な分野を指摘しています。
“Open Letter on COP reform to All States that are Parties to the Convention”
ハイレベルの気候分野の外交官グループが、排出削減と資金調達ギャップにより効果的に対応するため、COPの抜本的な見直しを求める公開書簡(*45)を作成しました。
“Overview of GHG Protocol Integration in Mandatory Climate Disclosure Rules”
GHGプロトコル(*46)は、GHG排出量測定に関する基準が、ISSB基準、EU ESRS、カリフォルニア州の気候変動関連開示法令、および米国SECの気候関連情報開示規則にどのように統合されているかを詳述した最新資料を公表しました。
“US Federal Government Discloses Scope 3 Emissions Data”
連邦政府機関(*47)は初めてスコープ3の詳細な排出量データを公表し、政府のより広範な気候関連の影響とサプライチェーン排出量に関する洞察を提供しました。
“COP29: U.S. Plans to Triple Nuclear Power Amid Rising Energy Demand”
COP29(*48)で米国は、増大するエネルギー需要に対応し、温室効果ガス排出を削減するためのより広範な戦略の一環として、原子力発電の容量を3倍にする計画を発表し、原子力エネルギーをクリーンエネルギー転換の要と位置づけました。
“What’s Going on with the EU’s CSRD and What Do Investors Think About It?”
EUの企業サステナビリティ報告指令(CSRD)(*49)について、投資家は透明性を促進する可能性と導入に際しての課題についてさまざまな見解を示しています。
現在予定されている、注目すべき今後の主な日程は以下です。
2021年10月22日に欧州監督当局がサステナブルファイナンス開示規則のドラフト版細則を公表
2021年10月22日、欧州監督当局より、欧州の資産運用会社等に対する開示を義務付けた「サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)」における詳細な内容を定めた「ドラフト版細則(Draft Regulatory Technical Standards; Draft RTS)」が公表されました。
私たちは、最先端のデジタル技術とEY のグローバルネットワークにより、時代の変化に適応した深度ある高品質な監査を追求しています。
全国に拠点を持ち、日本最大規模の人員を擁する監査法人が、監査および保証業務をはじめ、各種財務関連アドバイザリーサービスなどを提供しています。
EY新日本有限責任監査法人が毎月発行している定期刊行物です。国内外の企業会計、税務、各種アドバイザリーに関する専門的情報を掲載しています。