EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
本整理では、SSBJ基準の導入と第三者保証制度の整備に向けた制度設計の方向性が示されており、企業の予見可能性向上と国際的な整合性の確保を目的としています。
まず、サステナビリティ開示基準については、SSBJ基準を金融商品取引法令に取り込むことで制度化する方針が示されており、有価証券報告書において同基準に準拠した情報開示が求められる見通しです。
SSBJ基準の適用は、プライム市場上場企業のうち株式時価総額の大きな企業から段階的に進められる予定です。2027年3月期には時価総額3兆円以上、2028年3月期には1兆円以上3兆円未満の企業が対象となり、2029年3月期からは5,000億円以上1兆円未満の企業への適用が検討されています。これらに加え、時価総額5,000億円未満の企業については、開示状況や投資家ニーズを踏まえ、数年後を目途に検討される予定です。保証制度は各適用開始時期の翌期から導入され、当初2年間は訂正報告書による二段階開示が認められる方針です。
制度導入に伴う環境整備として、まず有価証券報告書の提出期限の延長が検討されています。サステナビリティ情報の開示義務化によって作業負担が増加するため、現在の事業年度経過後3月以内から4月以内への延長を目指しています。これは海外の状況とも整合を図るものです。
次に、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)など海外での開示を行った場合に、日本の投資家が海外投資家と同等のタイミングで情報を入手できるよう、国内でも「臨時報告書」による開示の活用を検討しています。臨時報告書の提出義務は、国内のSSBJ基準に基づく有価証券報告書で同等の開示をしていない企業に限られ、海外基準に基づく連結開示があった場合に求められるとの整理です。臨時報告書には海外開示を行った旨や開示場所のURL、第三者保証の有無と保証業務提供者の名称といった要点を記載し、全文の詳細開示を必須としないことが想定されています。
有価証券報告書におけるSSBJ基準の適用状況や第三者保証の有無が企業ごとに異なることから、投資家の混乱を防ぎ理解を深めるために、こうしたステータスを明示的に開示すべきだとされています。
具体的には、SSBJ基準の「適用」は、基準の全てに準拠した開示を指し、以下の3つ区分が示されました。
SSBJ基準における見積り情報の訂正の要否については、開示される数値の一部が見積りや概算で算出される場合があるものの、訂正報告書の提出義務は原則として事業年度末や有価証券報告書の提出時点の状況に基づいて判断されるため、その後に確定値が判明しても必ずしも訂正報告書の提出は必要ないとされています。ただし、見積り情報が誤謬に該当する場合は、重要性に応じて訂正が求められます。一方で、企業側からは早期に確定値の更新を開示したいニーズもあり、そのために半期報告書などを利用した自主的な制度開示枠組の整備が検討されています。
制度導入に伴う環境整備として他には、開示例の収集・公表、EDINETタクソノミの整備なども議論されています。
虚偽記載等に対する責任のあり方については、Scope3など不確実性の高い情報に対するセーフハーバー制度の整備が検討されています。これは、合理的な根拠に基づく開示に一定の保護を与えることで、企業の積極的な開示を促すことを目的としています。制度の詳細は、今後新設されるディスクロージャーワーキング・グループで議論される予定です。
第三者保証制度について、保証の範囲は制度の適用開始時期から2年間はScope1・2のGHG排出量、ガバナンス、リスク管理に限定され、3年目以降の拡大は国際動向を踏まえて検討されます。保証水準は限定的保証を基本とし、合理的保証への移行の検討は行わないことが適当とされています。保証の担い手は監査法人に限定せず、新たな登録制度の下で多様な主体が担えるよう制度設計が進められており、引き続き検討が行われます。
本中間整理では制度の基本的な枠組みが示されるとともに、今後の検討が必要な論点も整理されています。年内を目途に結論が取りまとめられる予定であり、企業・投資家双方にとって透明性と信頼性の高い制度の構築が期待されます。
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