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EY新日本有限責任監査法人
公認会計士 加藤 裕一
2026年2月27日に、企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)より、企業会計基準公開草案第97号「金融商品に関する会計基準(案)」等(以下「本公開草案」という。)が公表されています。
(公表された本公開草案)
| 企業会計基準公開草案第97号(企業会計基準第10号の改正案) | 金融商品に関する会計基準(案) |
| 移管指針公開草案第20号(移管指針第9号の改正案) | 金融商品会計に関する実務指針(案)(以下「金融商品実務指針案」という。また、以下、金融商品会計基準案及び金融商品実務指針案を合わせて「金融商品会計基準案等」という。) |
| 企業会計基準公開草案第98号(企業会計基準第22号の改正案) | 連結財務諸表に関する会計基準(案)(以下「連結会計基準案」という。) |
我が国においては、金融資産の譲渡において、その譲受人が企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会計基準」という。)(注4)の要件を充たす特別目的会社である場合、当該特別目的会社が発行する「証券」の保有者を当該金融資産の譲受人とみなして「譲受人が譲渡された金融資産の契約上の権利を直接又は間接に通常の方法で享受できること」(金融商品会計基準第9項(2))の金融資産の消滅の認識要件を適用するとされています。
この点、2024年12月に開催された第537回企業会計基準委員会において譲受人が特別目的会社である場合の金融資産の消滅範囲の明確化について検討することが企業会計基準諮問会議よりASBJに提言されました。これを受けて、ASBJでは、2025年12月より審議を開始し、検討を進めてきました。
今般、2026年2月24日開催の第571回企業会計基準委員会において、本公開草案の公表が承認され、2026年2月27日に公表されました。
(1)金融資産の消滅の認識要件
金融資産の譲渡において、その譲受人が金融商品会計基準(注4)の要件を充たす特別目的会社である場合、当該特別目的会社が発行する「証券」の保有者を当該金融資産の譲受人とみなして「譲受人が譲渡された金融資産の契約上の権利を直接又は間接に通常の方法で享受できること」(金融商品会計基準第9項(2))の金融資産の消滅の認識要件を適用するとされています。
この点、特別目的会社が発行する証券を保有している投資者と特別目的会社に対して貸付けを行っている融資者とで異なる取扱いを設ける特段の理由はないと考えられるため、特別目的会社に対する融資者を特別目的会社に対する投資者と同様に取り扱うことが提案されています(金融商品会計基準案(注4)、第58-3項、金融商品実務指針案第40項、第254-2項)。
(2)適用時期
金融商品会計基準案等は、最終基準公表日以後最初に到来する年の4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首以後実施される金融資産の譲渡から適用することが提案されています(金融商品会計基準案第41項(7)、第120-3項)。
早期適用については、原則的な適用日の1年前の4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首以後実施される金融資産の譲渡から適用できるとすることが提案されています(金融商品会計基準案第41項(8))。
3月決算会社では、2026年6月までに本公開草案が最終化された場合、原則適用は2028年3月期の期首以後に実施される金融資産の譲渡から、早期適用を行う場合には2027年3月期の期首以後に実施される金融資産の譲渡から適用されることになります。
(3)経過措置
適用初年度において、これまでの会計処理と異なることとなる場合には、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うことが提案されています(金融商品会計基準案第44-3項)。しかしながら、特別目的会社を譲受人とする金融資産の譲渡を行う企業は、通常、会計上の取扱いを十分に検討した上でスキームを構築していると考えられるため、スキーム実行時に想定していなかった会計処理となるように遡って見直すことは、原則として求めるべきではないと考えられるとされています。このため、適用前に実施された金融資産の譲渡の会計処理については、適用日における会計処理の見直し及び遡及的な処理は行わないことが提案されています(金融商品会計基準案第44-3項、第120-4項)。
(1)特別目的会社が子会社に該当するか否かの判定
これまで特別目的会社については、適正な価額で譲り受けた資産から生ずる収益を当該特別目的会社が発行する証券の所有者に享受させることを目的として設立されており、当該特別目的会社の事業がその目的に従って適切に遂行されているときは、当該特別目的会社に資産を譲渡した企業から独立しているものと認め、当該特別目的会社に資産を譲渡した企業の子会社に該当しないものと推定するとされていました(企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」第7-2項)。
本公開草案では、特別目的会社について、当該特別目的会社に資産を譲渡した企業の子会社に該当するかどうかの評価においても、特別目的会社に対する投資者と特別目的会社に対する融資者とで異なる取扱いを設ける特段の理由はないと考えられるため、特別目的会社が発行する証券の所有者に資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号)第2条第12項に規定する特定借入れに係る債権者を含む旨を追加することが提案されています(連結会計基準案第7-2項、第49-8項)。
なお、特別目的会社が子会社に該当するか否かの判定に関しては、財務諸表等規則第8条第7項では、特別目的会社が発行する証券の所有者に、資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号)第2条第12項に規定する特定借入れに係る債権者を含むと定められており、監査・保証実務委員会実務指針第90号「特別目的会社を利用した取引に関する監査上の留意点についてのQ&A」Q3においても、同様の趣旨が示されています。このため、実務上も従来から当該定めを踏まえて特別目的会社が子会社に該当するか否かの判定が行われてきた可能性があり、ASBJの資料において本公開草案による影響は限定的である可能性があるとされています。ただし、連結会計基準上はこれまでその旨が明示されていなかったことから、関連する法令上の取扱いとの整合性を図る観点から、会計基準において明確化を図るものと考えられます。
(2)適用時期及び経過措置
連結会計基準案は、金融商品会計基準案等の適用時期と整合的に、最終基準公表日以後最初に到来する年の4月1日以後開始する連結会計年度の期首から将来にわたって適用することが提案されています(第44-7項(1)、第78-6項)。
早期適用については、原則的な適用日の1年前の4月1日以後開始する連結会計年度の期首から将来にわたって適用できることを提案しています(第44-7項(2)、第78-6項)。
本公開草案に対するコメント募集に際し、以下の個別の質問が示されています。
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