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EY新日本有限責任監査法人
公認会計士 大竹 勇輝
要点
<法務省が2026年4月2日付で公表>
2026年4月2日に、法務省より、中間試案及び「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案の補足説明」(以下「補足説明」という。また、以下、中間試案と合わせて「中間試案等」という。)が公表されています。
2025年2月10日に開催された法制審議会第201回会議において、法務大臣から会社法制に関して「近年における社会経済情勢の変化等に鑑み、株式の発行のあり方、株主総会の在り方、企業統治の在り方等に関する規律の見直しの要否を検討の上、当該規律の見直しを要する場合にはその要綱を示されたい」とする諮問がされました。当該諮問を受け、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会(以下「会社法制部会」という。)が設置され、会社法改正に関して議論が行われ、当該会社法制部会第12回会議においてこれまでの審議結果をとりまとめ、中間試案等が公表されています。
中間試案等では、図表1の項目についての見直し等が提案されています。
<図表1>中間試案等における検討項目
本稿では、図表1の項目のうち、主に「事業報告等及び有価証券報告書の開示の合理化」に関する内容について紹介します。
上場会社については、現行法上、金融商品取引法(以下「金商法」という。)における有価証券報告書と会社法における事業報告等の2つの書類を作成することが求められています。
具体的には、各事業年度経過後3か月以内に、有価証券報告書を内閣府に提出し(金商法第24条第1項)、振替株式を発行する会社は電子提供措置をとる旨を定款で定めなければならないとされています(「社債、株式等の振替に関する法律」(平成13年法律第75号。)第159条の2第1項)。また、会社法上、その旨の定款の定めがある株式会社の取締役は、所定の場合には、株主総会の日の3週間前の日又は定時株主総会の招集の通知を発した日のいずれか早い日(電子提供措置開始日)から、事業報告等に記載され、又は記録された事項等の所定の事項に係る情報について継続して電子提供措置をとらなければならないとされています(会社法第325条の3第1項)。
この点、事業報告等及び有価証券報告書の開示事項については、重複する部分も多く存在する一方、細目については、多くの相違点が存在しています。すなわち、現行法上、図表2のとおり、事業報告等の開示事項であるが、有価証券報告書の開示事項ではないものも存在しています。
<図表2>事業報告等及び有価証券報告書の開示事項
このため、上場会社においては、事業報告等と有価証券報告書という類似する2つの書類を作成することとなり、多大な負担が生じているという指摘があります。
また、2025年3月に発出された金融担当大臣からの要請に端を発し、株主総会前の有価証券報告書の開示(以下「総会前開示」という。)の実務が大きく進展しました。しかしながら、株主総会の3週間以上前の有価証券報告書の開示を実現するための手法の1つである、事業報告等と有価証券報告書の一体開示は、いわゆるEDINET特例(会社法第325条の3第3項)を活用することで、現行法上も可能とされていますが、その実例はなく、様々な実務上の論点も指摘されています。この点、会社法制部会では、総会前開示の最大の障壁は、株主総会の開催スケジュールの問題であり、後述の事業報告等と有価証券報告書の一本化を可能とすることによって開示書類作成の負担を軽減するとともに会計監査の一元化を実現することが、有価証券報告書の総会前開示に向けた株主総会の開催スケジュールの見直しのインセンティブを与えるための最も現実的な対応であるとの指摘もありました。
上述の指摘を踏まえ、中間試案では、事業報告等及び有価証券報告書の開示の合理化に関し、次の2つの規律を設けることが提案されています(中間試案第3の1、2)。
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中間試案については、2026年5月22日までに意見募集がなされており、当該意見募集の結果を踏まえ、今後の審議においてさらなる検討を深めて成案を得ていくことが予定されています。我が国の開示実務に大きな影響を与えることになると考えられることから、今後の動向に留意が必要であると考えられます。
なお、本稿は中間試案及び補足説明の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。
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