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サステナビリティ基準委員会(以下「SSBJ」という。)は、2026年6月11日、温室効果ガス排出の開示に関する以下のサステナビリティ開示実務対応基準を公表しました。
SSBJは2025年3月に我が国初のサステナビリティ開示基準を公表し、その後の「温室効果ガス排出の開示に対する修正-IFRS S2号の修正」(2025年12月)に対応する改正基準を2026年3月に公表しました。
有価証券報告書におけるSSBJ基準の適用については、金融庁による制度整備が進められており、今後、SSBJ基準に従った情報開示が本格化する状況となっています。
このように初年度適用の対応が進む中、「地球温暖化対策の推進に関する法律」(以下「温対法」という。)における「温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度」(以下「SHK制度」という。)の定める方法により測定し、報告した排出量を、SSBJのサステナビリティ開示テーマ別基準第2号「気候関連開示基準」(以下「『気候基準』」という。)にどのように位置付けるかについて実務上の解釈が分かれるという懸念がSSBJに寄せられていました。企業間の対応の多様化は「気候基準」の趣旨や比較可能性を損なうおそれがあり、SSBJは明確化を図るため、本実務対応基準第1号を公表しています。
本実務対応基準は、気候基準第49項ただし書きに基づき、企業の全部または一部について、温対法におけるSHK制度の定める方法により測定し報告する温室効果ガス排出を用いて、気候基準の定めに従った開示を行う場合に適用することを定めています。
SHK制度の算定期間とサステナビリティ関連財務開示の報告期間が異なる場合には、サステナビリティ関連財務開示の報告期間に合わせるように調整(期間調整)をする場合を含むと定めています(本実務対応基準第2項)。
さらに、本実務対応基準は、温対法におけるSHK制度以外の温室効果ガス排出報告制度について検討したものではなく、これらに「気候基準」第49項ただし書きの取扱いを適用する場合は、個別に判断する必要があることが明確化されています。
なお、GHGプロトコル(2004年)に従って温室効果ガス排出を測定するに当たり、SHK制度の定める方法により測定した温室効果ガス排出を基礎として調整計算を行い、GHGプロトコルに準拠した値を算定するケースは本実務対応基準の適用範囲に含めないと定めています(本実務対応基準第3項)。
本実務対応基準の用語の定義において、「基礎排出量」「調整後排出量」「温対法におけるSHK制度に基づく直接排出」及び「温対法におけるSHK制度に基づく間接排出」を定義し、SHK制度(2024年度改正)に基づき基礎排出量を直接排出と間接排出に区分した上で、GHGプロトコル(2004年)のスコープ1及びマーケット基準によるスコープ2に整合させる考え方が示されています(本実務対応基準第4項、BC10項)。
【図表1】用語の定義
| 用語 | 定義 | 補足 |
| 基礎排出量 | 温対法第26条第3項で規定される「温室効果ガス算定排出量」 | 本実務対応基では、測定・開示の基礎となる数値として用いる |
| 調整後排出量 | 「温室効果ガス算定排出量等の報告等に関する命令」第1条第4号に規定される「調整後温室効果ガス排出量」 | 本実務対応基では、任意の参考情報として基礎排出量と併記可能 |
| 温対法におけるSHK制度に基づく直接排出 | 基礎排出量のうち、「他人から供給された電気および熱の使用に伴うエネルギー起源CO₂」以外の排出 | SHK制度では2024年度改正により、燃料の使用に伴う排出量(直接排出)と電気・熱の使用に伴う排出量(間接排出)を区分して報告することが要求されている |
| 温対法におけるSHK制度に基づく間接排出 | 基礎排出量のうち、「他人から供給された電気および熱の使用に伴うエネルギー起源CO₂」 |
測定・開示に関して、以下の基本的な考え方が定められています。
温対法におけるSHK制度の定める方法により温室効果ガス排出を測定する場合には、「調整後排出量」ではなく、「基礎排出量」を温室効果ガス排出の測定及び開示の基礎として用いる。
任意の参考情報として、「基礎排出量」の開示とあわせて、「調整後排出量」及び調整項目を開示することができる(本実務対応基準BC22項)。
【スコープ1】
温対法におけるSHK制度に基づく直接排出については、スコープ1温室効果ガス排出に含めて開示する。
【スコープ2】
温対法におけるSHK制度に基づく間接排出については、マーケット基準によるスコープ2温室効果ガス排出に含めて開示する。
温対法におけるSHK制度に基づく間接排出に係る活動量に、環境大臣及び経済産業大臣が公表する平均的な排出係数を乗じる方法により算定した温室効果ガス排出について、ロケーション基準によるスコープ2温室効果ガス排出に含めて開示する(本実務対応基準第7項)。
上記のロケーション基準の測定値について、温対法におけるSHK制度ではロケーション基準に相当する報告は要求されていないが、測定に使用する要素はいずれも温対法におけるSHK制度の枠組みに含まれるものであることから、その測定値も当該枠組みに含まれるものと整理されている(本実務対応基準BC24項・BC25項)。
ただし、明示的に報告が要求されている温対法におけるSHK制度に基づく間接排出について、マーケット基準によるスコープ2温室効果ガス排出に含めて開示することなく、ロケーション基準によるスコープ2温室効果ガス排出のみを開示することは認めない(本実務対応基準BC31項)。
なお、温対法におけるSHK制度の定める方法と「GHGプロトコル(2004年)」との間に測定範囲や測定方法の差異が存在する場合であっても、追加の調整(期間調整を除く。)は不要であることが明確化されている(本実務対応基準第7項、BC15項・BC16項)。
本実務対応基準は、スコープ1温室効果ガス排出及びスコープ2温室効果ガス排出のいずれか又は両方に適用することができるとされており、いずれかのみに適用する場合には、どちらに適用しているかを開示しなければならないとされている(本実務対応基準第8項、BC33項~BC35項)。
【図表2】本実務対応基準の適用範囲及び測定・開示の考え方
本実務対応基準は、2027年3月31日以後に終了する年次報告期間に係る気候関連開示から適用することが定められています。
また、本実務対応基準をより早く適用する企業のニーズがあると考えられることから、早期適用も可能であり、その場合は、その旨の開示が必要です(本実務対応基準第11項)。
前報告期間に温対法におけるSHK制度の定める方法により測定し報告する温室効果ガス排出を用いて開示していた場合には、実務上不可能である場合を除き、比較情報の更新を求める経過措置の追加が定められています(本実務対応基準第12項・第13項)。
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