英国、多国籍トップアップ税と国内トップアップ税の法律を公表

  • 英国は、OECD第2の柱GloBEルールを英国で施行するための法律を公表しました。この法律は2023年夏に施行される見通しです。
  • この法律は、すでに公表されていた法案に基づいていますが、いくつかの重要な進展が追加されています。

エグゼクティブサマリー

2023年3月23日に公表された英国の2023年財政(No.2)法案には、英国において経済協力開発機構(OECD)のグローバル税源浸食防止(GloBE)の第2の柱ルールを施行するための法律が含まれています。

この法律は、GloBE計算および所得合算ルール(IIR)を含む多国籍トップアップ税(MTUT)と、MTUT計算ルールを組み入れ、適格国内ミニマムトップアップ税を意図した国内トップアップ税(DTUT)を対象としています。MTUTとDTUTはどちらも、2023年12月31日以降に開始する会計期間から大規模な多国籍企業に適用されます。

この法律は、英国が2022年7月20日に公表した法案に基づいており、2023年2月2日に公表されたOECDの運用指針1を反映することを目的とした、いくつかの主要な進展を提供しています。以下にいくつかの重要な進展を要約しました。

詳細

重要な技術的進展
  • この法律は、一定の金額を将来の期間に繰り越すメカニズムを提供します。企業は、(i)モデルルールの第4.1.5条の適用により、ある国・地域で損失が発生した期間にトップアップ税が発生する可能性と、(ii)ある国・地域で負の対象税金が生じる場合に15%を超えるトップアップ税が発生する可能性について懸念を表明していました。新しい規定は、これらの懸念に対処しています。
  • 規定された企業救済シナリオにおける債務免除から生じる特定の免除益がGloBE計算に悪影響を与えないようにするための変更が行われました。
  • この法律では、選択が行われ、特定の条件が満たされた場合、ヘッジ商品の為替差損益をGloBEの計算から除外することができます。
  • ブレンド外国子会社合算税制(米国外軽課税無形資産所得(US GILTI)など)から生じる税金を事業体に割り当てるための一時的なルールが含まれています。この措置は、2025年12月31日以前に開始し、2027年6月30日以前に終了する会計期間に適用されます。
  • GloBEルールが適用される前の2021年11月30日より後に2者の構成事業体間で譲渡された資産に対して、モデルルールの第9.1.3条のルールを適用する移行規定に変更が加えられました。
セーフハーバー

2026年12月31日以前に開始し、2028年6月30日以前に終了する会計期間に暫定的なセーフハーバーを適用する選択が含まれています。これは、2022年12月20日に公表されたOECDの指針に定められた国別報告書(CbCR)に基づく暫定セーフハーバールール2を反映することを目的としています。

申告と報告

グループの構成事業体のうちの1つがMTUTを英国歳入関税庁(HMRC)に報告します。グループの最終的な親事業体が当初の申告事業体となりますが、グループはこれらの責任を果たすために他の構成事業体を指定できます。DTUTは、英国に所在し対象となる事業体に対して課税されます。

GloBE情報申告書はグループによって提出され、MTUTとDTUTの両方が毎年支払われ、報告されます。

必要な対応

英国の法律の公表は、英国における第2の柱GloBEルールの導入に向けた重要な一歩を表しています。この導入は他の国・地域でも進められており、グループは、第2の柱GloBEルールが全体的な税金費用の総額に与える影響の見込みと、第2の柱GloBEルールの義務を順守するために必要とされる作業の両方をより詳細に評価することができるようになりました。

巻末注

  1. 2023年2月28日付EY Japan税務アラート「OECD、第2の柱GloBEルールの運用指針を公表(前編)」、2023年3月6日付EY Japan税務アラート「OECD、第2の柱GloBEルールの運用指針を公表(保険会社編)」、2023年3月8日付EY Japan税務アラート「OECD、第2の柱GloBEルールの運用指針を公表(後編)」をご参照ください。
  2. 2022年12月27日付EY Japan税務アラート「OECD/G20包摂的枠組み、BEPS2.0プロジェクト第2の柱GloBEルールの下でのセーフハーバーと罰則免除に関する文書を公表」をご参照ください。
     

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