シンガポール、就労ビザにかかるCOMPASSの要件の変更と給与要件の引き上げを発表


エクゼクティブサマリー

2024年11月1日、シンガポール人材開発省(MOM)は、ポイントに基づくCOMPASS制度における2種の評価基準を改定し、有効期間5年の就労ビザ(EP)を申請する経験豊富な技術専門家の給与要件を引き上げると発表しました。

背景

EP申請を審査するためのCOMPASS制度は、新規申請については2023年9月1日から、更新申請については2024年9月1日以降に有効期限が切れるEPに対して適用となりました。COMPASSでは、申請者は4種の基礎基準(給与、スキル、多様性、現地雇用への貢献)と2種のボーナス基準(人材不足職種リスト〈Shortage Occupation List,またはSOL〉、戦略的経済優先順位)に基づいて評価されます。MOMは、本制度が市場の状況に常に適応したものとなるよう、COMPASSの基準を毎年更新する予定です。これに伴い、更新されたC1給与水準が2024年8月に発表され、2025年1月1日より段階的に適用されます。

主な進展

MOMは最近、以下の基準に関する要件の改正を発表しました。

これらの要件は、EPの新規申請と更新申請の両方に対して、2025年1月1日から適用されます。

  • 基準2(スキル)。「20ポイントが与えられる」一流教育機関(Top-tier institution)のリストが更新され、このリストに含まれる教育機関で学位を取得した申請者は、引き続きスキル基準で20ポイントを獲得できます。また、「学位相当」と認められる専門資格のリストも更新され、このリストに含まれる各種機関で該当する資格を取得した申請者は、引き続き10ポイントを獲得できます。
  • 基準5(SOL)。SOLリストが更新され、半導体セクターの職種が3つ追加されました。このリストに含まれる職種に就いている申請者は、引き続き最大20ポイントのボーナスポイントを獲得できます。

さらに、有効期間5年のEPを申請する個人の固定月給の最低基準額が引き上げられます。36歳以上の候補者については少なくとも1万700シンガポール・ドルまたは約8,000米ドル(以前の1万500シンガポール・ドルまたは約7,800米ドルから増額)、45歳以上の候補者については1万4,270シンガポール・ドルまたは約1万680米ドル(以前の1万3,500シンガポール・ドルまたは約1万100米ドルから増額)となります。この変更は、新規のEP申請については2025年1月1日から、更新申請については2026年1月1日以降に有効期限が切れるEPに対して適用されます。

雇用主への影響

雇用主は、EP申請者を評価し、スポンサーとなる際に、COMPASS制度の最新の更新内容を考慮するとよいでしょう。

一流教育機関、専門資格、SOLのリストが更新されたことにより、申請者はこれまで獲得できなかった分野でポイントを獲得できるようになると予想されます。これらの更新により、雇用主はより広範な国際的な人材にアクセスできるようになり、恩恵を受けることが期待されます。

今後の動向に関して

EYでは本制度に係る今後の動向を引き続き注視していきます。ご不明点などがございましたら、私どもの専門家までお問い合わせください。
 

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