EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2024年11月29日、欧州委員会は実施規則2024/2952を採択しました。
実施規則は、指令2013/34/EUで義務付けられている国別報告書(CbCR)の開示を標準化することを目的としています。この規則は、財務データ用の詳細なXBRL(Extensible Business Reporting Language)1仕様、報告書提出の要件、および報告対象データをタクソノミーとして定義され、CbCR開示のための共通テンプレートと電子フォーマットを導入するものです。
実施規則は2024年12月2日にEU官報で公表されました。2025年1月1日以降に始まる会計年度から施行されます。この規則では、報告のアクセス性と正確性を高めることを目的として、XHTML(Extensible Hypertext Markup Language)2およびInline XBRL3の使用が強調されています。
2024年8月1日、欧州委員会は、指令2013/34/EUで規定されているCbCR開示を標準化することを目的とした、4つの付属書を含む実施規則の草案を公表しました。
欧州委員会は、2024年9月6日までにフィードバックを募集するパブリックコンサルテーションを開始しました(2024年8月7日付EY Global Tax Alert「EU seeks input on the ATAD and public CbCR reporting formats」〈英語のみ〉をご参照ください)。このパブリックコンサルテーションに対して、EYの意見を含む33件の意見が提出されました。
2024年10月21日、欧州委員会は、4つの付属書を含む実施規則の草案の改訂版(以下、「改訂実施規則草案」)を公表しました。
欧州委員会は、改訂実施規則草案において変更を加えましたが、8月に公表された草案と比較すると、その変更は比較的軽微なものでした。変更点としては、日本企業を始めとするEU外の最終親会社(UPE)およびその報告を担う子会社はテンプレートの使用を義務付けられないものの、機械可読形式でのCbCRの開示が求められるという点が明記されました。
欧州委員会による承認後、実施規則は2024年12月2日にEU官報で公表されました。
実施規則の規定は、改訂実施規則草案と実質的に異なるものではありません。
EUのCbCR開示制度では、EU加盟国はUPEに対して、UPEの貸借対照表日付の連結売上高が合計7億5,000万ユーロを超えた連続する2つの会計年度のうち、後の会計年度について、CbCRに関する報告書を作成、開示、およびアクセスを可能にすることを義務付けるとする規定があります。指令2013/34/EUにより、欧州委員会は、実施規則において、機械可読である共通テンプレートおよび電子報告フォーマットを定めることが求められました。
実施規則には、新しい報告要件の構造的な詳細を定めた4つの付属書が含まれています。付属書Iでは、CbCR開示のための共通テンプレートが紹介されており、これはCbCRの表示における統一性を確保することを目的としています。付属書IIでは、財務データの電子通信のためのXBRL標準が規定されています。付属書IIIでは、報告書のマークアップと提出に関する要件が定められており、これはデータが機械可読であり、かつ一貫したフォーマットに準拠していることを確保することを目的としています。最後に、付属書IVでは、報告すべきデータの範囲を決定するタクソノミー要素が定義されており、これは開示が必要な情報について明確にすることを目的としています。
アクセスのしやすさと読みやすさを促進するべく、実施規則では報告書を構造化するためにXHTMLの使用を義務付けています。さらに、付属書IIの技術仕様に従って、詳細な財務データを報告書内に埋め込むためにInline XBRLの使用を義務付けています。
新しい報告フォーマットへの適応のための移行期間が必要であることを認識し、実施規則は、2025年1月1日以降に開始する会計年度に対応するCbCR開示に適用されることになっています。
CbCR開示に関する実施規則の下で提案された標準化は、税務関連情報の透明性と比較可能性を向上させることを目的としています。
EU加盟国に拠点を置く報告対象グループが報告にXHTMLとInline XBRLを使用するという要件により、財務データの構造化と開示の方法に変更が必要となります。
対象となる企業は、報告システムが新しい電子フォーマットに準拠するように、2025年1月1日の適用開始日までの移行期間に準備をする必要があります。
実施規則の下では、対象となるグループは2025年1月1日以降に開始する会計年度に関して、所定のフォーマットを使用して報告する必要がありますが、この規則は既存の各国・地域のCbCR開示のスケジュールには影響を与えません。このため、企業は、一部のEU加盟国で適用される早期報告スケジュールを含め、関連するEU加盟国の国内規則に細心の注意を払う必要があります。例えば、ルーマニアで報告が義務付けられている12月決算の企業グループは、今月(2024年12月)末までに最初のCbCRを開示することが求められます。
巻末注
EY税理士法人
関谷 浩一 パートナー
須藤 一郎 パートナー
味田 貴志 パートナー
大堀 秀樹 ディレクター
工藤 保浩 ディレクター
※所属・役職は記事公開当時のものです
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