EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
経済産業省は2025年1月31日付で、外為法に関連する政省令の改正案を発表しました。今回の改正では、産業構造審議会・安全保障貿易管理小委員会の中間報告1(以下、「中間報告」)の内容を受けた改正が含まれています。特に、補完的輸出規制(以下、「キャッチオール規制」)の強化においては、HSコード2により対象貨物を指定した上で、それらの貨物の一般国向けの輸出において用途要件・需要者要件の確認を求めるものとなっており、従来のキャッチオール規制から大きく規制が強化されています。
経済産業省の発表によれば、今回の改正案発表と同時にパブリックコメントの募集が開始されており、キャッチオール規制の改正を含む政省令については2025年3月末頃に閣議決定・公布、以降6カ月後の9月末頃に施行される見通しです。
経産省の2025年1月31日付の発表では、別表に記載のある項目に対する政省令改正案が発表されています。
これらの改正項目の中でも、通常兵器のキャッチオール規制の見直しにおいては、
など、新たに法令上の確認事項が求められることで、多くの企業にとって影響を及ぼす可能性があります。
また、グループA国を経由した懸念対象者への迂回輸出防止を念頭に、グループA国向けでもインフォーム4要件が追加されます。企業でも自らの輸出取引における販売先・最終需要者、用途に関して、迂回輸出の観点から懸念がないか、留意して取引審査を進める必要性が高まります。
<外国為替令等の一部を改正する政令案等(補完的輸出規制等)>
項目 | 概要 |
(1)補完的輸出規制の見直し | |
① 通常兵器キャッチオール規制の見直し |
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② グループA国経由での迂回対策 |
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(2)輸出管理に係る制度・運用の合理化 | |
① チェックリストの見直し |
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② 外国軍隊の防衛装備の持ち帰りに係る手続の合理化 |
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(3)技術管理強化のための官民対話スキームに係る対象技術の追加 |
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<外国為替令及び輸出貿易管理令の一部を改正する政令案等(重要・新興品目等)>
項目 | 概要 |
(1)重要・新興技術関連品目等に係る改正 |
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(2)規制の合理化・適正化に係る改正 | |
① 包括許可制度の見直し(合理化) |
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② 特定の品目に係る輸出管理の見直し(適正化) |
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③ 返品等に伴う輸出管理の見直し(合理化) |
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2024年4月の中間報告では、デュアルユース技術の軍事転用リスクの拡大に対して、既存のリスト規制では対応が難しく、懸念される用途・需要者への輸出を規制する方向への転換が必要であることが言及されていました。今回のキャッチオール規制の強化を含む一連の改正案は、海外に対して貨物輸出・技術提供を行う企業にとっては、既存のリスト規制に対する輸出貨物・技術の管理に加えて、用途・需要者の管理も適切に対応していく必要があることを示唆しています。
今回の政省令改正を契機として、企業においては自社の輸出管理において以下の点について検討することが必要です。
巻末注
EY税理士法人
原岡 由美 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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