米国、特定の貿易相手国からの輸入貨物に対する追加関税を発表

2025年7月31日、米国のトランプ大統領は、特定の貿易相手国の輸入貨物に追加関税を課すとする大統領令を発表し、2025年8月7日から施行されることを明らかにしました。この新たな関税では、欧州連合(EU)からの輸入貨物に対しては、Column 1(General)において関税率が15%未満の場合は15%を課し、Annex Iの非掲載国に対しては10%の追加関税を課します。

企業は貿易の動向を注意深く監視し、これらの関税がサプライチェーンに与える影響を評価することが求められます。関税課税価格の見直しや関税の繰延べなどの戦略を検討し、コンプライアンスとコストのリスクを管理することが求められます。また、これら貿易における変化に柔軟に対応すべく、輸入実績を把握し、外国貿易地域(the Foreign Trade Zone program)や関税還付といった制度を検討することで、キャッシュフローと関税の影響を管理することが重要です。


背景

この大統領令は「相互関税率のさらなる修正(Further Modifying the Reciprocal Tariff Retes)」と題され、2025年4月2日に施行された大統領令第14257号に基づいています。この新たな大統領令は、特定の貿易相手国からの輸入貨物に対して追加的な関税を課すもので、2025年8月7日以降に米国への輸入貨物に適用されます。

EU:EUからの輸入貨物に対しては、HTSUSコードに基づいて決定されます。Column 1における関税率が15%未満の場合、15%が課されます。

リストに未掲載の国:Annex Iに掲載されていない外国からの輸入貨物に対しては、大統領令第14257号の規定に従い10%が課されます。

特定のHTSUSに対する一時停止:特定の項については、Annex IIに記載された修正の発効日まで一時停止されます。


監視と推奨事項

商務長官と通商代表は、大統領令第14257号で宣言されている緊急事態における状況を監視し、定期的に高官と協議する責務を担っており、貿易相手国の反応を踏まえて、さらなる措置や関税の調整が必要かどうかを大統領に報告します。


積み替えに関する規定

大統領令には、積み替え(Transshipment)に関する規定が含まれています。米国税関・国境警備局(CBP)が、適用される関税を回避するために積み替えられたと判断した場合、その輸入貨物には40%の追加関税が課されます。


企業が検討すべきアクション

影響を受ける企業は、以下のアクションを検討する必要があります。

  • 貿易政策に関する情報をモニターし、最新情報に基づき迅速に対応できるようにする。
  • 輸入実績を把握し、適用されるべき関税率を把握する。
  • サプライチェーンのマッピングや原産国分析を行い、関税の影響を分析する。
  • 関税課税価格を見直し、適用可能な制度を利用してキャッシュフローを改善する。
  • 関税の影響を受ける輸入貨物に対して関税還付を検討する。
  • 米国の継続的な輸入ボンドが十分にあるか確認し、輸入貨物の輸入を円滑にする。


お問い合わせ先

EY税理士法人

大平 洋一 パートナー
原岡 由美 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー

※所属・役職は記事公開当時のものです