EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2025年5月28日、CITは、トランプ政権が課したIEEPAに基づく関税が「異常かつ特別な脅威」の法的要件を満たしていないと判断しました1。カナダ、メキシコ、中国に対するフェンタニルや不法移民を理由とした追加関税が、根本的な緊急事態に対処していないことや、そもそも関税を課す主な権限は議会にあり、大統領にはIEEPAに基づき関税を課す「無制限」の権限は無いことを強調し、相互関税を含むIEEPAを根拠とする多くの関税政策措置に対し、差し止めを命じました。
CITの判断は、V.O.S.社対アメリカ合衆国(2025年4月14日)と、オレゴン州対アメリカ合衆国(2025年4月23日)の2つの事例を統合して判断したものです。CITはそれぞれ2025年5月13日と21日に、口頭弁論を実施していました。
CITによる差し止め命令を受け、トランプ政権は直ちにCAFCへ上訴しました。翌29日、CAFCは控訴が進行中の間、CITの判断の発効を防ぐ即時の行政的停止を認め、特定の追加関税を一時的に再適用しました。つまり、控訴審の審理期間中はIEEPAに基づく追加関税は引き続き維持されることになります2。
なお、EY Global Tax Alertでは、IEEPAに基づく追加関税を、今まで下記の通り取り上げてきました。
本控訴審は現在も継続しているため、今回の訴訟が米国の貿易政策にどれほど長期的な影響を与えるか、現時点では不透明なままです。なお、1962年通商拡大法232条に基づくセクター別関税(鉄鋼/アルミニウム、自動車)や、1974年通商法301条に基づく対中追加関税は、今回の一連の裁判の対象ではありません。現在進行中のセクター別調査は引き続き継続され、2025年にトランプ大統領が就任する以前から施行されている301条関税についても、CAFCによる審理が別途行われている状況です。
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EY税理士法人
大平 洋一 パートナー
原岡 由美 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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