EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2025年5月12日、米国と中国は共同声明をリリースし、直近の貿易交渉の結果として、2025年5月14日までに以下の措置を実施することについて発表しました。
共同声明によれば、米国は、2025年4月2日付の大統領令14257に基づく、香港とマカオを含む中国から輸入される貨物に対する相互関税の内容を改訂することに合意しました。この改訂により、90日間は10%の相互関税を維持し、それを超える税率の適用は一時的に停止します(背景については、2025年4月3日付EY Global Tax Alert「US imposes President's Reciprocal Tariff Policy against trading partners and ends duty-free treatment for low-value shipments from China」と2025年4月11日付EY Global Tax Alert「US suspends President Trump's Reciprocal Tariff Policy for 90 days, except for China」および2025年4月16日付 EY Japan税務ニュース「トランプ大統領、世界各国からの輸入品を対象とする相互関税の導入を発表―大部分につき90日間停止」を参照)。
米国は、301条関税、232条関税、およびフェンタニル危機の対応として国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて課された20%の関税を含む、2025年4月2日以前に中国に対して課した全ての関税は維持する意向を示しています。これらの変更により、米国の中国からの輸入品に対する関税は90日間、30%の水準1に引き下げられます。
上記を受けて、中国では、2025年の国務院関税税則委員会の公告第4号に記載されている米国貨物に対する報復関税の料率を調整します。この調整により、90日間は10%の報復関税は維持し、さらに、2025年4月2日以降に米国の関税政策に対する報復として実施した非関税措置を停止または廃止します。
米国税関・国境保護局(CBP)は、Cargo Systems Messaging Service(CSMS)を通じて、中国貨物に適用される関税の一時的な調整に関する情報とガイダンスを近々提供する予定です。さらに、米国と中国は、経済および貿易に関する継続的な協議を行う公式なメカニズムを立ち上げる見込みです。
2025年5月13日発行の連邦官報通知において、米国商務省は、2025年5月1日に開始した調査に対するパブリックコメントの募集を発表しました。この調査は、通商拡大法232条に基づいて、商用航空機およびジェットエンジン、これらの部分品の輸入が米国の国家安全保障に与える影響を調査するために実施されます。なお、すでに232条による課税が行われている自動車・自動車部品、鉄鋼・アルミ製品の他に、銅、木材、半導体、医薬品、重要鉱物に対しても、同様に調査が実施されています。
EY税理士法人
大平 洋一 パートナー
原岡 由美 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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米中の地政学的対立によって世界で保護主義が進む中、関税の上昇や輸出規制の強化が続いており、企業には新たな通商関税管理が求められています。EYでは、パラダイムシフトを迎えて急速に変化する国際貿易環境に合わせた関税・国際貿易アドバイザリーサービス、そして、国際ルールの厳格化に対し、国際的な輸出規制に対処するアドバイザリーサービスを提供します。
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