EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2025年9月4日、米国のドナルド・J・トランプ大統領は、「日米合意の実施に関する大統領令(Implementing the United States-Japan Agreement)」を発令しました。本大統領令は、当初2025年7月22日に枠組みが示されました。大統領令では、本合意が相互主義および共通の国家利益の原則に基づき、米国と日本の間の貿易関係の新たな時代を築くことを目的としたものであると説明されています。さらに、本合意は、米国の対日貿易赤字の削減、米国経済の活性化、そして製造業および防衛産業基盤の強化を目的としています。
大統領令では、本合意には、米国の生産者に公平な競争環境を提供しつつ、国家安全保障のニーズにも対応する包括的な関税枠組みが含まれていると説明されています。また、本合意は、米国の製品およびサービスに対する市場アクセスの拡大に向けた日本のコミットメントも反映しています。
米国は、日本からのほぼ全ての輸入品に対して、15%のベースライン関税を適用します。具体的な関税率は、米国関税率表(HTSUS)における製品の現行の従価税率(または従価税相当率)に基づいて決定します。
本合意には、自動車、航空宇宙製品、ジェネリック医薬品、および米国で生産されていない天然資源に関する別途の規定が含まれています。これらのセクターには、公正な貿易を促進するために調整された関税措置が適用されます。
大統領令では、日本製の自動車および自動車部品に課されている追加の第232条の関税について、各製品のHTSUSにおける税率に基づいて調整されることが示されています。
本合意には、有人の民間航空機および航空機部品に関する規定が含まれており、世界貿易機関(WTO)の民間航空機貿易に関する協定に基づき日本製品に課されていた一部の関税が撤廃されます。この変更により、航空宇宙製品の貿易がさらに促進され、協力関係の強化が期待されます。
日本は、米国農産品に対して大幅な市場アクセスを提供します。具体的には、以下の内容が含まれています。
日本は、米国に5,500億米ドルを投資することを約束しており、これにより雇用が創出され、国内の製造能力が拡大することが期待されています。2025年7月にホワイトハウスが発表したファクトシートでは、この投資は、日本による環大西洋パートナーシップへの強いコミットメントと、米国が外国投資にとって安全な投資先であるとの認識を反映したものであると位置付けられています。
米国商務長官は、他の関係当局者と協議の上、本合意に基づく日本のコミットメントの履行状況を監視します。日本が義務を履行しない場合、米国は国家安全保障上の懸念に対処するため、大統領令を修正する可能性があります。
影響を受ける企業は、以下の対策を検討する必要があります。
EY税理士法人
大平 洋一 パートナー
原岡 由美 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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