経済拠点としてのドイツを強化するための即時投資税制プログラムに関する法律

はじめに

ドイツ連立政権は、定率償却という形の投資促進策と、法人税の段階的な引き下げについて合意しました。これらの措置は、ドイツ経済の強化のための即時投資税制プログラムに関する法律(即時投資税制プログラム)の一部となっています。

主な改正点は以下のとおりです。

  • 2025年7月1日から2027年12月31日までに実施される有形固定資産への投資について、30%の定率法による減価償却を導入。
  • 2028年度から法人税を5段階に分けて1%ずつ引き下げ、2032年度からは10%とする。
  • 2028年1月1日より、人的会社の留保利益税率を3段階に分けて引き下げ、2032年度からは25%とする。
  • 2026年より、研究助成金を最大で200万ユーロ増額し、1,200万ユーロとする。また、20%の定額間接費加算を導入し、独立事業者の自己活動報酬のみなし時間単価を引き上げる。
  • 電気自動車の社用車課税における優遇税率の適用総定価上限を、7万ユーロから10万ユーロに引き上げる。
  • 電気自動車に対する期間限定の級数法による償却を導入。


1. 定率法

2025年、2026年、2027年にて、30%の定率法が導入されます。定率法は減価償却可能な有形固定資産に対して適用されます。したがって、2025年6月30日以降、2028年1月1日以前に購入または製造された、車両、事業用設備、事務用設備などが対象となりますが、不動産や無形資産は対象外となります。減価償却費は、中古で取得した資産にも適用されます。

また、定率法による減価償却は研究助成金における経費としても考慮できます。特に、定率法による減価償却の初期の数年間は研究助成金の額に有利に働く可能性があります。


2. 2028年からの法人税率の引き下げ

2028年度から5年間にわたり、法人税率が毎年1%ずつ引き下げられることが予定されています。これにより、法人税負担は長期的には5%減少することとなります。連帯賦課税は、同じ課税期間に確定した法人税を課税基準とするため、企業への減税額は全体としてはさらに若干高くなる見込みです。2032年以降は、約5.3%の減税となります。財政的に厳しい状況にある自治体が今後、事業税の税率引き上げによってこの減税分を補うかどうかはまだ不透明です。会計年度が暦年と異なる場合、事業からの利益は会計年度が終了する暦年に得られたものとみなされるため、やや早く減税の恩恵を比例的に受けることができます。例えば、2028年3月31日に終了する会計年度の場合、利益の全額が2028暦年に帰属することになります。


3. 人的会社の2028年以降の留保利益優遇措置の調整

留保利益優遇措置の目的は、人的会社の利益所得に対して、資本会社と同等の税率を適用することです。人的会社による留保利益について、法人税減税に対応した減税を行うため、2028年からは、留保税代替税も同時に減税されます。簡素化の理由から、この減税は5段階ではなく3段階で実施される予定です。

留保課税率は

  • 2028年および2029年は27%
  • 2030年および2031年は26%
  • 2032年からは25%

となります。


4. 研究助成金

4.1 最大算定基準

2025年12月31日以降に発生した助成対象経費の最大算定基準額は1,200万ユーロに引き上げられ、年間で最大300万ユーロの研究助成金を受け取ることができるようになります。中小企業は、最大課税基準額の引き上げと成長機会法によって導入された10%の中小企業ボーナスを組み合わせることで、年間最大420万ユーロの研究助成金を申請できるようになります。


4.2 固定間接費加算

最大算定基準額の引き上げに加え、2025年12月31日以降に開始する研究開発プロジェクトについては、助成対象経費に間接費およびその他の運営費の一律加算を初めて適用することが可能となります。これは、全ての助成対象経費、具体的には

  • 人件費
  • 個人事業主または共同事業主の自己活動報酬
  • 減価償却可能な有形固定資産
  • 委託研究に対する報酬

が該当します。

例えば、納税者が100万ユーロの助成対象人件費を申請した場合、この追加額により、今後は120万ユーロの価値として研究助成金の計算に組み込まれることになります。


4.3 考慮可能な自己活動報酬

さらに、個人事業主や共同事業主の考慮可能な自己活動報酬額についても調整が行われます。個人事業主が自ら研究活動を行った場合の自己活動報酬額として、みなし時間単価を助成対象経費に含めることができますが、このみなし時間単価は、2026年1月1日より70ユーロから100ユーロに引き上げられます。なお、いずれの場合も、報酬の上限は引き続き週40時間までと制限されます。


5. 電気自動車の促進

即時投資税制プログラムの一環として、電気自動車の魅力を高めるための税制措置が実施されます。この税制措置は、前政権が税制発展法で同様の内容を計画していましたが、連立政権崩壊により当時の法案から削除されていました。


5.1 電気自動車に対する社用車課税

CO₂を排出しない社用車(純粋な電気自動車)を私的に使用する場合、車両価格の25%のみがフリンジベネフィットの算定基準として考慮されます。これまで、この優遇制度の適用には電気自動車の総定価が7万ユーロ以下であることが条件となっていましたが、2025年6月30日から2031年1月1日までに購入された電気自動車については、この上限額が10万ユーロに引き上げられます。

また、車両価格がこの上限額を超える車両については、グロス車両価格の50%が算定基準として考慮されます。


5.2 電気自動車に対する級数法による償却

純粋な電気自動車には、級数法による償却オプションが導入されます。この対象は、乗用車に加えて電気商用車、トラック、バスも含まれます。この規定は、2025年6月30日以降に購入または製造された車両で、2028年1月1日以前に購入または製造された車両が対象となります。


6. 繰延税金への影響

税法改正により、繰延税金の計算にも影響が及びます。法人税の段階的な引き下げに伴い、一時的な差異の反転時期を予測して既存の繰延税金を再評価する必要があります。段階的な税率引き下げにより、差異解消の時期に応じて異なる税率を適用する必要があり、繰延税金の計算はかなり複雑になる可能性があります。なぜなら、繰延税金の源泉となる全ての範囲を分析する必要があり、副次的な計算が必要になるためです。


7. 発効

税制上の即時投資プログラムは、2025年7月19日に発効しました。研究助成法に関する改正は、2026年1月1日に発効します。


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※所属・役職は記事公開当時のものです