米国通商代表部(USTR)、中国による米国半導体産業の支配を目的とした行為、政策、慣行に関する301条調査において、措置通告を公表

2025年12月23日、米国通商代表部(USTR)は、中国による米国の半導体産業の支配を目的とした行為、政策、慣行に関する301条調査において、措置通告(Notice of Action)を公表しました。USTRは、中国の行為、政策、慣行が301条に基づく措置の対象となると判断し、中国からの半導体および関連製品に対する関税を18カ月かけて段階的に導入する方針を発表しました。2025年12月23日より、初期関税率は0%で適用され、2027年6月23日に未定の税率へ引き上げられる予定です。


301条調査

2024年12月23日、USTRは1974年通商法第301条に基づき、中国による米国の半導体産業の支配を目的とした行為、政策、慣行に関する調査を開始しました。この調査では、「中国の半導体が、防衛、自動車、医療機器、航空宇宙、電気通信、発電および電力網といった重要産業向けの下流製品に部品として組み込まれる範囲」も対象とされていました。

USTRはパブリックコメントを募集し、2025年3月11日に公開ヒアリングを開催しました。また、USTRによると、中国政府に対して協議を要請したものの、協議は拒否されたとしています。1年間の調査の結果、USTRは、「中国が米国の半導体産業の支配を目指すことは不合理であり、米国の通商に負担または制約をもたらすため、措置対象となる」と判断しました。301条では、「特定の行為、政策、または慣行が、必ずしも米国の国際法上の権利に反するわけではない場合でも、不公平または不公正である場合には不合理である」と規定されています。

USTRはまだ報告書の全文を公表していません。しかし、USTRは措置通告の中で、中国が米国の半導体産業の支配を目指すことが、以下の理由を含む複数の点で不合理であると判断したと述べています。

  • 中国は「米国の半導体産業およびその他の経済主体に対して異例の統制力を行使している。…このことは、中国が目指す支配を追求するために、彼らの商業活動を、公正な競争と市場志向の原則に反する方法で方向付けし、影響を与えることを可能にしている」
  • 中国の慣行は「市場競争を反映しておらず、市場の力による制約を受けていない」
  • 中国の慣行は「他国が中国の半導体に依存する状況を意図的に作り、それを利用することで外国の競合他社や購入者に損害を与えている」

さらに、USTRは、中国が米国の半導体産業の支配を目指すことは、米国の通商に負担や制約を与えると判断しました。その理由として、それが「米国の半導体産業におけるビジネス機会や投資を損ない」、「米国経済の機能に不可欠な分野における中国への依存や脆弱性に起因する経済安全保障上のリスクを生み出す」ことを挙げています。


措置の決定

301条調査の結果に基づき、USTRは「対応措置が適切であり…それには、中国からの半導体に対して直ちに関税措置を講じることを含む」と判断しました。USTRは対象製品に対して初期関税率を0%に設定しました。この税率は、18カ月後の2027年6月23日に引き上げられる予定で、具体的な税率は、「同日の少なくとも30日前に発表される」予定です。措置通告には明記されていないものの、USTRが公表した措置は、2025年11月にトランプ大統領と習近平国家主席が発表した1年間の貿易休戦を損なわないようにする意図があると見られます。

本措置に基づく関税は、強制的な技術移転に関する301条調査に基づき中国からの半導体に対してすでに課されている50%の関税率に追加して課されます。また、追加関税が課されても、中国からの半導体製品は、すでに適用されているダンピング防止税、相殺関税、その他適用される各種の関税、手数料、措置も引き続き適用されます。さらに、「本通告の付属書に記載された製品(連邦規則集19編 146.43で定義される『米国製品ステータス』での輸入資格がある製品を除く)で、本決定により課される追加関税の対象となり、かつ〈2025年12月23日〉以降に米国外国貿易地域(FTZ)に輸入されるものは、連邦規則集19編 146.41で定義される『特恵外国ステータス』としてのみ輸入できる」と規定されています。

本関税措置の対象となる製品の完全なリストは、措置通告の9ページ以降に記載されています。国土安全保障省 税関・国境取締局(CBP)による追加ガイダンスは、今後公表される見込みですが、2026年1月19日時点ではまだ入手できません。



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