英国、ETA制度を2026年2月に本格導入:一部の英国籍・アイルランド籍およびビジネストラベラーに影響

1. 概要

英国では2026年2月25日より、電子渡航認証(Electronic Travel Authorisation:ETA)制度が完全導入され、段階的導入期間が終了します。これにより、対象となる渡航者は有効なETAを保有していない場合、英国行きのフライト等に搭乗できず、英国への入国も認められません。今回の完全導入は、英国籍・アイルランド籍の二重国籍者で英国またはアイルランドのパスポートが失効している者や、帰化後まだ英国パスポートを取得していない新英国市民、短期出張などで急な渡航が発生するビジネストラベラーに特に影響を及ぼす可能性があります。


2. 影響

今回の変更は、主に以下のカテゴリーの個人にとって重要です。

  • 新たに帰化した英国市民
    英国市民権を取得したものの、まだ最初の英国パスポートを受領していない個人は、帰化証明書のみでは搭乗や入国が認められず、有効な英国パスポートが必要となります。
  • 英国籍・アイルランド籍の二重国籍者
    例えばオーストラリアなど第三国との二重国籍者で、英国またはアイルランドのパスポートを更新していない個人は、ETA対象国の旅券で渡航することはできず、有効な英国またはアイルランドパスポート、もしくは該当する場合は権利証明書(Certificate of Entitlement)が必要です。これらの書類を提示できない場合、搭乗拒否や入国審査での遅延等が想定されます。
  • ビジネストラベラー
    特に短い準備期間での渡航や重要なビジネスミッションを伴う出張では、ETAやパスポート取得・更新が間に合わないことにより、出発地で搭乗を拒否される、英国への帰任が遅れる、赴任開始日の延期やアサインメントの中断、追加コストの発生、さらにはコンプライアンス上・レピュテーション上のリスクが生じる可能性があります。


3. 必要な対応

企業側としては、業務上英国へ渡航する可能性のある従業員を把握し、以下のような対応を検討することが推奨されます。

  • 従業員の中から、最近帰化した英国市民を特定し、英国パスポート未取得の場合は早期取得を促す。
  • 英国籍・アイルランド籍の二重国籍者を特定し、英国渡航時には有効な英国またはアイルランドパスポート、あるいは必要に応じて権利証明書を携行する必要があることを周知する。
  • パスポート発給・更新に要する期間やETA申請のリードタイムを、人事・モビリティ計画や出張手続きに組み込む
  • 社内モビリティポリシー、オンボーディング手続き、出張規程等を見直し、ETA要件およびパスポート有効期限管理を明記する。
  • 英国出張が見込まれる従業員に対し、渡航前にパスポート更新や権利証明書の取得が必要となる場合があることを事前に案内し、直前の駆け込み申請による業務影響を回避する。


4. 今後の動向

ETA制度の完全導入により、英国への渡航要件は一段と厳格かつシステム化されることが想定されます。今後、対象国の拡大や申請プロセスの詳細な運用ルールが追加・変更される可能性もあるため、企業は最新情報を継続的にモニタリングし、従業員への周知や社内手続きの更新を適宜行う必要があります。特に、短期ビジネス渡航や急な出張が多い企業は、パスポートおよびETA要件を踏まえた事前準備の徹底が必要です。EYは関連動向を継続的に注視し、企業の渡航・モビリティ戦略およびコンプライアンス対応を支援していきます。


本件に関しては、下記のPDFもご参照ください(英文のみ)。

Global Immigration alert - United Kingdom - UK to fully implement the ETA in February 2026, impacting certain British and Irish nationals and business travelers(英語)をダウンロード


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EY 行政書士法人

木島 祥登 パートナー

※所属・役職は記事公開当時のものです