最新法令等紹介―不動産登記法の改正、財務省関税・外国為替等審議会「対内直接投資審査制度等のあり方についての答申」

今回ご紹介する最新法令等は、①不動産登記法の改正、②財務省関税・外国為替等審議会による「対内直接投資審査制度等のあり方についての答申」です。


1. 不動産登記法の改正

近年、いわゆる「所有者不明土地問題」が社会問題となる中、その主な原因の一つとして、相続登記や住所等変更登記が行われないまま放置されていることが指摘されてきました。こうした状況を受け、2026年4月1日から、不動産の所有者に対し、住所や氏名(名称)に変更があった場合の変更登記が義務化されます。本制度は、不動産登記法の改正により導入されるもので、所有権の登記名義人である個人・法人のいずれも対象となります。


(1)義務の内容

不動産の所有者は、住所又は氏名・名称に変更があったときは、その変更日から2年以内に、変更登記の申請を行わなければなりません。

また、この義務は施行日以降の変更に限られず、施行日前に既に住所等に変更があったにもかかわらず、変更登記がされていない場合も対象となります。この場合には、2028年3月31日までに変更登記を行う必要があります。


(2)義務違反と過料

正当な理由がないにもかかわらず、期限内に住所等変更登記の申請をしなかった場合には、5万円以下の過料の適用対象となります。

もっとも、登記官が義務違反の事実を把握した場合であっても、直ちに裁判所への過料通知が行われるわけではありません。まずは、相当の期間を定めた履行の催告が行われ、それでもなお正当な理由なく申請又は申出がされない場合に限り、過料通知が行われる仕組みとされています。

なお、住所等変更登記については、あらかじめ所定の申出を行っておくことで、法務局が住所等の変更を確認し、職権で変更登記を行う制度が設けられており、これにより、所有者自身が都度変更登記の申請を行わなくても、義務を履行することが可能とされています。


(3)「正当な理由」とされる例

期限内に変更登記がされていない場合であっても、「正当な理由」があるときは、過料の対象とはなりません。

法務省は、一般に正当な理由に該当し得るものとして、次のような事情を挙げています。

  • 所定の申出等はされているものの、法務局による職権での変更登記が未了の場合
  • 行政区画の変更等により住所表示が変更された場合
  • 登記義務者本人が重病等により登記手続を行うことが困難であった場合
  • DV被害等により避難を余儀なくされている場合
  • 経済的に困窮しており、登記費用を負担することができない場合

これらはあくまで例示であり、最終的には個別具体的な事情に応じて判断されるとされています。


(4)まとめ

会社が不動産を所有している場合、本店所在地や商号の変更があった際に、不動産登記上の表示が適時に更新されているかが、今後は法令遵守の観点からも重要となります。特に、会社が不動産を複数所有している場合は、過去の移転について変更登記が未了のまま残っていないか、施行前の経過措置期間内(2028年3月31日まで)に確認・整理し、保有不動産と登記内容を定期的に点検する体制の整備が求められます。


2. 財務省関税・外国為替等審議会による「対内直接投資審査制度等のあり方についての答申」

2026年1月7日付で公表された、財務省の関税・外国為替等審議会による「対内直接投資審査制度等のあり方についての答申」(以下「本答申」と言います)の内容の一部をご紹介します。

対内直接投資審査制度とは、外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」と言います)に基づき、外国投資家が、国の安全等の観点から指定される事前届出の必要な業種を営む企業に対して、投資等を行う場合に、外国投資家が当局に事前届出を行い、当局の審査を経た後に投資等を実行するものです。

本答申は、外為法に基づく対内直接投資審査制度等の在り方についての改正の方向性を示すものであり、大きく分けて、「Ⅰ.基本的な考え方」と「Ⅱ.具体的措置」に分かれています。なお、本答申における「投資」とは、対内直接投資等(外為法第26条第2項)及び特定取得(同法第26条第3項)を指します。

「Ⅰ.基本的な考え方」では2020年の外為法改正法の施行から5年を経過したことを受けて、これまでの施行状況や安全保障等の環境変化を踏まえた見直しを行うことが必要とされ、①施行状況等を踏まえた審査の効率化・実効性確保、②安全保障等の環境変化への対応、③適切な執行を確保するための審査体制の強化やデジタル技術の活用等を踏まえた見直しの観点が示されています。

「Ⅱ.具体的措置」としては、上記①~③の各点を踏まえた措置が挙げられていますが、そのうち届出事務に直接関わる①施行状況等を踏まえた審査の効率化・実効性確保の点に関して主な内容をご紹介します。

まず、事前届出件数の増加への対応として、具体的には、同一の役員の再任に係る同意であって特段の事情の変更がない場合には事前届出を不要とすること、「情報通信技術関連業種」の業種指定について、サイバーセキュリティ対策等の観点から真に必要性が認められるものに限定すること等が挙げられています。実務上、同一の役員の再任に関する届出や「情報通信技術関連業種」の業種指定についてはその実質・実態にかかわらず形式的に該当することが多いことから、このような整理・見直しがなされた場合には、届出が効率化されることが期待されます。

また、安全保障上の懸念がある対内直接投資等への対応のために、事前届出における届出事項にリスク軽減措置を追加して外国投資家がリスク軽減措置を講じる必要がある場合には、リスク軽減措置の届出を求めることを明確化し、当局が必要と認める場合に投資内容の変更・中止に加え特定のリスク軽減措置を講じることについての命令・勧告ができること、リスク軽減措置不実施の場合に取得した株式等の処分等命令の対象とすること等が挙げられています。従前は運用により対応され、リスク軽減措置は外為法に明文の根拠がないものでしたが、このようなリスク軽減措置の重要性の増大に伴い、具体的な措置を明確に位置付けることは制度の明確性・予見可能性を高めるものと考えられます。

さらに、現行制度上、最終親会社等の事後的な変更は届出や審査の対象となっていないことから、日本企業の議決権等を保有する外国法人等(直接保有者)を、他の外国投資家(間接取得者)が買収すること等(具体的には、間接取得者による、直接保有者の50%以上の議決権を取得する行為、間接取得者の関係者が直接保有者の役員の過半数を占める行為その他これらに類する行為)を通じて、日本企業の議決権等を外国投資家が間接的に取得するような場合について、対内直接投資等の定義に加え、事前届出を求める等の対応が必要であるとされています。こちらの規制については、対内直接投資等の範囲が拡大することとなるものの、類型的に審査の必要性が高い間接取得者(具体的には事前届出免除制度を利用できない外国投資家)とそれ以外の間接取得者のケースで、事前届出義務の範囲が異なる(前者の場合、対象となる日本企業の議決権等の比率の1%以上を直接保有者が保有している場合が届出義務の対象となるのに対し、後者の場合は50%以上を直接保有者が保有している場合が対象となる)ことから、今後は外国投資家の属性も踏まえつつ該当性に留意することが必要になると考えられます。

以上は、本答申の一部の内容をご紹介させていただいたものとなります。本答申はこのほか②安全保障等の環境変化への対応や③執行体制・情報発信の強化等について意見が述べられており、今後は本答申の内容も踏まえて、制度改正に向けた検討が進んでいくものとみられます。

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津曲 貴裕 パートナー

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