EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
グローバル・ミニマム課税においては、納税者の選択により、各種の特例を選択することができます。本稿では、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(IIR)において認められている特例のうち、適切な検討が求められるものについて解説します。
構成会社等が法人所得税のない、または欠損金の繰り越しを認めていない国等に所在することにより、損失に係る繰延税金資産が計上されないこと等への対応として、繰延対象租税額の代わりに、国別グループ純損失の金額×15%の繰延税金資産(みなし繰延税金資産)相当額を、その後の国別グループ純所得の金額が生じた対象会計年度の国別調整後対象租税額に含めることができる特例が設けられています(法規38の40①)。
例えば、無税国において、IIR適用1年目に国別グループ純損失100が生じ、IIR適用2年目に国別グループ純所得100が生じた場合、原則として、IIR適用2年目の国別グループ純所得100に対して15%のトップアップ税額(100×15%=15)が生じます。
ここで、IIR適用1年目に本特例の選択をした場合、国別グループ純損失100×15%=15のみなし繰延税金資産を認識することができます。その結果、IIR適用2年目においては、そのみなし繰延税金資産相当額15が国別調整後対象租税額に含められ、IIR適用2年目の国別実効税率は15/100=15%となる、すなわち、トップアップ税額が生じないことになります。
このような状況の場合、IIR適用1年目においては、財務会計上の税引前当期利益がマイナスとなっており、移行期間CbCRセーフハーバー(TCSH)の通常利益要件を満たすことが一般的であると思われますが、あえてTCSHを選択しないで、本則計算の対象とし、本特例の選択をするというプランニングが考えられます。
さらに、本特例には以下のような特徴もあり、総合的な検討を行うことが推奨されます。
ある国等に国別グループ純所得の金額がない対象会計年度において、当該国等の国別調整後対象租税額が、①ゼロ未満、かつ、②国別調整後対象租税額が特定国別調整後対象租税額(国別グループ純損失の金額×15%)よりも低い場合には、当該国別調整後対象租税額と特定国別調整後対象租税額の差額を、トップアップ税額として取り扱うものとされています(法法82の3②三ハ)。これは、永久差異によって生じた欠損金に係る繰延税金資産の過大計上に対応するための仕組みとされています。
しかしながら、次のような事情を勘案し、特例の選択により、繰延税金資産が発生した対象会計年度ではなく、取り崩される対象会計年度において、この永久差異に係る過大計上分に対応することが認められています。
具体的には、本特例を選択した場合、その対象会計年度の永久差異調整に係る国別国際最低課税額はゼロとされ(法法82の3⑬)、翌対象会計年度以降で、国別グループ純所得の金額があり、かつ、国別調整後対象租税額が正の値である対象会計年度において、国別調整後対象租税額から繰越控除されます(法令155の39二)。
国別グループ純所得の金額がないにもかかわらず、トップアップ税額が生じるという事態を回避するため、本特例の選択は積極的に検討されるべきであると考えられます。
※本稿の内容は、2026年4月1日現在の法令等によります。対象会計年度によっては適用される条文が異なる場合がありますが、適用される内容は基本的に同一となります。
EY税理士法人
戸崎 隆太 パートナー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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