EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2026年2月20日、出入国在留管理庁(入管庁)・厚生労働省(厚労省)は、「育成就労制度 運用要領(以下、「本要領」)を発表しました。本要領は、2027年4月1日から育成就労外国人の受入れが開始されることに伴い、育成就労制度の適正な運用を確保し、育成就労外国人の受入れに関わる関係者が、(1)育成就労制度を正しく理解すること、(2)法令の解釈や運用上の留意点を明らかにすること――を目的に定められました。育成就労制度は、育成就労法の理解に加え労働法等の周辺法領域の幅広い理解と正しい運用が求められており、在留資格制度の中でも運用上の難易度が高い制度です。育成就労制度に係る分野別運用方針と併せて、本要領の理解は必要不可欠であり、事実上の「実務マニュアル」といえます。
本要領は、育成就労制度全体を網羅し、育成就労法、関連省令・告示を前提に、どのように制度を実際に運用するかを具体化したものです。技能実習制度からの移行を控える中で、これまで「未確定」とされていた多くの実務論点について、一定の方向性が示されました。本要領は、全10章で構成されており、各章の概略は以下のとおりです。
(1)育成就労制度の趣旨
育成就労制度が創設された背景と目的を示す章です。技能実習制度を抜本的に見直し、日本の人手不足分野において、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成・確保することを制度の基本理念として明確にしています。
(2)育成就労制度の概要
制度全体の枠組みを整理した総論部分です。育成就労計画の認定制、監理支援機関の許可制、外国人育成就労機構の役割、分野別運用方針など、制度運営の全体像が説明されています。
(3)育成就労法の目的・定義等
育成就労法に基づく基本的な法的整理を行う章です。用語の定義、国・地方公共団体・受入企業・監理支援機関・外国人それぞれの責務など、制度を支える基本ルールが明示されています。
(4)育成就労計画の認定等
育成就労制度の中核となる「育成就労計画」について定めた章です。計画の記載事項、添付書類、認定基準、認定取消しの考え方などが詳細に示されており、受入企業・監理支援機関の実務に最も影響が大きい章といえます。
(5)監理支援機関の許可等
監理支援機関として事業を行うための許可要件や、許可後の義務を定めた章です。中立性・独立性の確保、外部監査人の設置、指導監督体制など、従来の監理団体より厳格な運営が求められる点が整理されています。
(6)育成就労外国人の保護
育成就労外国人の人権・就労環境を保護するための規定をまとめた章です。違約金の禁止、旅券・在留カードの保管禁止、相談・申告制度、転籍支援など、外国人保護を重視した制度設計が具体化されています。
(7)補則
他章を補完する事項を整理した章です。入管庁長官及び厚労大臣による指導及び助言、関係機関の連絡調整、分野別協議会及び地域協議会など、制度運用上の細則が定められています。
(8)養成講習
育成就労制度に関与する関係者向けの養成講習について定めた章です。ここでいう関係者とは、監理支援機関の監理支援責任者、外部監査人、育成就労実施者の育成就労責任者、育成就労指導員、生活相談員、単独型育成就労の監査人をいいます。この賞は、関係者が受講すべき講習の位置づけを明確にするとともに、経過措置において育成就労制度の養成講習とみなされる技能実習制度の養成講習について定めています。
(9)違反行為の防止・摘発及び違法行為に対する行政処分
法令違反があった場合の対応を整理した章です。機構による実地検査、育成就労実施者に対する指導監督(報告の徴収、改善命令、認定の取消し)、監理支援機関に対する指導監督(報告徴収、改善命令、事業停止命令、許可の取消し)及び人身取引事案への対応について定められ、コンプライアンス重視の姿勢が示されています。
(10)罰則
育成就労法に違反した場合の罰則について整理した章です。不正行為や外国人保護規定違反に対する刑事罰の内容が示され、制度の実効性を担保するための最終的な規律となっています。
さらに、出入国在留管理庁は、本要領に関する参考様式も発表していますので、併せてご参照ください。
(1)育成就労計画の作成にあたっては緻密さが求められます。
育成就労制度においては、外国人の受入可否の判断基準が技能実習制度とは異なります。どの分野、業務区分、主たる技能を選択して受け入れるかを慎重にアセスメントし決定した上で、育成就労の目標(育成就労1年目及び3年目に、それぞれどの技能試験を受験させるか等)を緻密に定めることが重要です。分野ごとの上乗せ基準(工業製品製造業分野における受入事業所に係る一定の日本標準産業分類該当性等)にも細心の注意を払ってください。特に本人意向転籍制限期間が2年と定められている分野で受け入れる場合は、自社において同期間をどのように設定するかも重要です。それによって技能修得に係る計画も異なります。
(2)監理支援機関への要求水準の引き上げに注意が必要です。
本要領では、監理支援機関について、中立性・独立性、外部監査人の関与、継続的な指導・監査体制が明確に求められています。従来の技能実習制度と同じ運営感覚では対応が難しい点に注意が必要です。
(3)「転籍」が前提となる制度設計
育成就労制度では、一定の要件の下で外国人本人の意向による転籍が認められています。本要領では、転籍時の手続きや関係機関の役割も具体的に整理されており、受入企業側にも制度理解と社内対応体制の整備が求められます。
本要領は今後の申請実務の前提となります。一部の基準や様式については「追って示す」と記載されている事項もあり、追加公表や改訂が予定されています。また分野ごとの別冊要領も今後策定予定です。監理支援機関の許可申請や育成就労計画の認定申請に係る準備が本格化するため、育成就労外国人の受入れを検討している企業は正確な理解を深め、必要な手続きを実行していくことを推奨いたします。
EY行政書士法人
木島 祥登 パートナー
※所属・役職は記事公開当時のものです
メールで受け取る
メールマガジンで最新情報をご覧ください。
EYでは、ビザや労働許可の取得をはじめとした入国管理におけるコンプライアンス対応から、入国管理局との折衝やスポンサーシップの支援、書類認証代行サービスまで、海外赴任など国際的な人材移動に関する包括的なソリューションを提供しています。
続きを読む