中東情勢に関するアップデート:Global Immigration Crisis Management Call 第1回のサマリーおよび第2回開催のご案内

1. 概要

2026年3月3日の日本時間23時~23時30分まで、EY グローバル・イミグレーション危機管理コール(EY Global Immigration Crisis Management Call)が開催されました。

当日のセッションのサマリーは以下のとおりです。

また、3月5日(木)日本時間23時より、同ウェビナーの第2回を開催いたします。

今後も不定期にウェビナーの開催を予定しています。イミグレーションニュースに随時情報を掲載していきますのでご確認ください。


2. 第1回サマリー

1. 地域概況(中東全体)

  • 現在の中東情勢は、中東地域の地政学的再編および国際秩序・ルール変化という大きな潮流の一部として捉えられる。
  • 紛争の根は長期的要因にあるが、今回の特徴は衝突の規模・強度の拡大にある。
  • 軍事目標に加えて、エネルギー関連施設や一部民間インフラにも攻撃が及ぶことによる影響が懸念される。
  • ホルムズ海峡が事実上の閉鎖状態とされ、エネルギー供給・物流のリスクが増大している。
  • 人道面・経済面の影響が拡大しており、石油・ガスに加え肥料市場への影響も指摘される。
  • 短期的には現状継続が見込まれる一方、民間・エネルギーインフラへの影響拡大など、さらなるエスカレーションのリスクが高い。


2. イラン/イスラエル/レバノン(ヒズボラ)

  • イランの核問題は新規の論点ではないが、今回の反応は規模・速度ともに想定以上との見方。
  • イランの対応は、複数のGCC諸国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、オマーン、バーレーン)にも波及。
  • ヒズボラとイスラエルの衝突再燃により、紛争は二国間の枠を超えて拡大。
  • 各アクターの意図が不透明で、先行きの精緻な予測は困難。


3. GCC諸国および周辺国:影響と当局対応

  • 影響が特に大きい国として、カタール、クウェート、バーレーン、イラクが挙げられる。
  • アラブ首長国連邦、サウジアラビア、ヨルダンにも影響あり。
  • 多くの国で当局が「屋内待機/自宅待機」を推奨(主標的は米軍基地とされ、市民は屋内の方が安全との判断に基づく)。
  • 国境管理・航空・ビザ運用は国ごとの違いが大きく、最新情報の継続確認が必要。


4. 国・地域別サマリー

バーレーン

  • 警戒警報や攻撃報告が頻発しており、安全確保が最優先。
  • 軍事基地の閉鎖が続き、事態は流動的。
  • ビザセンターが「稼働」となっている場合でも、実際には閉鎖されている可能性が高い。
  • バーレーン・サウジアラビア間のコーズウェイ(陸路)は現時点では通行可能で、陸路退避の選択肢となる(ただし将来的な封鎖リスクは否定できず、モニタリングが必要)。


カタール

  • 軍事基地が閉鎖中で、影響が大きい国の1つ。
  • ビザセンターは閉鎖の見込み(安全確保を優先するため)。
  • 内務省(MOI)がビザ救済措置(無償延長)を公式発表。
    • 2月28日以降に期限切れ/期限到来の全ビザ:1カ月延長(罰金なし)
    • 2月28日以前に期限切れの全ビザ:罰金支払い後に延長
  • 現時点で、同様の公式延長措置が確認されているのはカタールのみ。


クウェート

  • 影響が大きく、基地閉鎖が継続。
  • ビザセンターは閉鎖またはアクセス困難の見込み。
  • 出国にはExit/Re-entry Permit(ERE)の有効化が必須。
  • オンラインポータルは稼働しているが、遅延・不具合が散発。
  • 緊急時を見据え、EREを未使用のまま期限切れにすると罰金が発生するが、今は、EREを有効化しておくことが現実的。


イラク

  • 最も大きな影響を受けている国の1つ。
  • 基地閉鎖が続き、状況変化が急速。
  • 渡航・出入国・ビザ関連手続きに大幅な制約が発生。


アラブ首長国連邦

  • 地下鉄・商業施設などインフラはおおむね通常稼働。
  • 航空:空域の大部分は閉鎖されていたが、アブダビ・ドバイからごく一部の便が運航再開(通常の約1%程度)。
  • 国外移動:陸路でオマーンまたはサウジアラビアへ移動し、国際線に乗り継ぐルートが主な代替手段。航空券不足で数日待ちの可能性。
  • 入国管理:本土(Mainland)は限定人員で稼働し、申請は受付・処理されている。
  • ビザ期限:公式な一律延長は未発表。ただし出国不能時には個別に柔軟な対応がされる可能性はあり得る(コロナ期の例が参考となる)。
  • リモートワーク:企業でリモートワークを採用する例はあるが、制度面は国ごとに厳格であり、短期的には限定的な柔軟運用が想定される。
  • アブダビでは当局がホテルに対し、宿泊客の外出禁止と滞在延長を指示。宿泊費を当局が負担する意向が示唆されているが、公式文書は未公表。


サウジアラビア

  • 国際線:リヤド、ジェッダは運航中。ダンマームは一時閉鎖後に再開。
  • 影響国のビザセンターは閉鎖され、申請は当面停止。
  • 出国には有効なEREが必須。ポータル稼働は継続するも遅延あり。未使用のまま期限切れの場合は罰金。
  • 代替ルート:観光ビザを用いて入国後、リヤドまたはジェッダから国際線を利用する方法もあり。
  • 実務的には、ERE未取得で出国できない状態よりも、罰金を支払ってでも期限管理するほうが現実的との見方。


オマーン

  • 航空便は運航継続で、域内では比較的安定。
  • アラブ首長国連邦から陸路で移動し、国際線に乗り継ぐ「ハブ」として機能。


5. その他の留意点

  • 現地居住者だけでなく、乗り継ぎ中・出張中の従業員も影響を受けやすい状況にあり、影響を受けている「対象者」の特定が重要。
  • 従業員の安全・ウェルビーイングと事業継続(BCP)は不可分。
  • 退避方針:一部政府(例:米国)は商用便利用での出国を推奨。ただし一律の避難命令ではない。
  • 第三国入国時:帰国可能性が不透明な場合、中東情勢が継続する限り長期間滞在したり、就労したりすることを懸念し、入国審査・ビザ判断が厳格化する可能性がある。
  • 領事登録:従業員は自国大使館・領事館への登録が推奨される(将来的な退避支援に重要)。
  • リモートワーク:企業が第三国からリモートワークを認める例はあるものの、法的整理は未確立で、運用は国・当局の判断に依存。


第2回EY グローバル・イミグレーション危機管理コール
(EY Global Immigration Crisis Management Call)

※本セッションは録画されません。

日時:2026年3月5日(木)23:00(JST)/14:00(GMT)/15:00(CET)
内容:中東地域内外における従業員の移動管理に関する最新情報、対応策および戦略についてご説明します。
言語:英語
費用:無料
リンク:こちら(Teams)よりご参加ください。


お問い合わせ先

EY行政書士法人

木島 祥登 パートナー

※所属・役職は記事公開当時のものです