米国、非移民ビザ申請者に対するオンライン審査・身元確認の対象拡大

1. 概要

米国国務省(DOS)は、2026年3月30日より、非移民ビザ申請者に対して実施している「オンライン・プレゼンス(SNS等の公開情報)審査」の対象を、従来よりも広範なビザ区分に拡大することを発表しました。

これまでF、M、J、H-1B、H-4ビザ申請者が対象となっていましたが、今回の拡大により、外交官・政府関係者、研修生、米国市民の婚約者、文化交流、宗教活動、人道目的のビザ申請者など、追加の非移民ビザ区分が新たに対象となります。

本措置は、申請者の活動目的がビザ区分に合致しているか、米国の安全や国益を損なう意図がないかを確認するための審査強化を目的としています。


2. 影響

今回の拡大により、対象となる非移民ビザ申請全般において、審査期間の長期化および手続きの不確実性が高まることが見込まれます。

領事面接時の質問増加、追加資料の要請、または行政審査(Administrative Processing)に付されるケースの増加が想定されます。

過去には、2025年12月にH-1BおよびH-4ビザが対象拡大された際、インドの在外公館でビザ面接予約のキャンセルや再調整が発生し、申請処理が大幅に遅延した事例も報告されています。

今回新たに対象となるビザ区分においても、国や公館によって同様の影響が発生する可能性があります。


3. 必要な対応

雇用主は、ビザ発給の遅延を前提とした人員計画やオンボーディング計画を策定することが求められます。

外国籍従業員の就労開始が在外公館でのビザ発給に依存する場合には、開始日の柔軟な設定、条件付きでのリモート勤務、または代替的な移民戦略の検討など、リスク低減策を講じることが重要となります。

また、モビリティ、人事、法務、事業部門間での連携を強化し、想定外の遅延が事業運営に与える影響を最小限に抑える体制整備が求められます。

ビザ申請者個人については、SNS等のオンラインアカウントを「公開」設定に変更する必要があり、DS-160に記載したメールアドレスを定期的に確認し、面接日程変更や追加審査の通知に迅速に対応できるよう備えることが推奨されます。


4. 今後の動向

DOSによるオンライン審査の対象は、今後さらに拡大される可能性があります。
一部の在外公館では、現時点で対象外とされているビザ区分においても、SNSを「公開」設定にしていない申請者に対し、審査の遅延や却下が生じているとの報告もあります。

運用は公館ごとに異なり、事前通知なく変更される可能性があるため、最新動向を継続的にモニタリングすることが重要です。

 

本件に関しては、2026年3月27日付EY Global Immigration Alert「US Department of State announces expanded screening and vetting for visa applicants」(英語のみ)もご参照ください。


お問い合わせ先

EY行政書士法人

木島 祥登 パートナー

※所属・役職は記事公開当時のものです





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