マレーシア、投資家パス申請区分を見直しMIDA外国人管理システムを導入

1. 概要

マレーシア政府は、外国人投資家および駐在員に関する制度の近代化を目的として、2つの重要な規制変更を実施しました。外国人サービス部(Expatriate Services Division:ESD)は、2026年3月13日付で投資家パス(Investor Pass)の申請区分を見直し、Xpats Gatewayシステムから「既存投資家(Existing Investor)」区分を廃止しました。さらに、2026年3月16日には、マレーシア投資開発庁(MIDA)が、製造業および一部サービス業を対象とした新たな統合デジタルプラットフォームであるMIDA Expatriate System(MES)を開始しました。これらの変更は、投資関連の人材移動手続きを合理化すると同時に、国家の投資政策および入国管理方針との整合性を強化するものです。


2. 影響

Investor Passに関しては、申請可能な区分が「新規投資家(New Investor)」および「投資予定者(Investor in Pipeline)」の2種類に限定されました。これにより、すでにマレーシアで企業を所有する、または取締役の地位に就いている外国人は、Investor Passを利用することができなくなり、今後は就労パス(Employment Pass)またはプロフェッショナル・ビジット・パス(Professional Visit Pass)の取得が必要となります。廃止された区分で作成されていた申請書の下書きは、2026年3月13日付で自動的に削除されています。

一方、MESの導入により、MIDA管轄下の製造業および特定サービス分野における外国人申請手続きは、Invest Malaysiaプラットフォームを通じて一元管理されることとなりました。移民局の中核システムであるMYImmsとの直接連携により、重複申請の排除、ワンタイムログインおよび書類の一括提出、申請状況の可視化が可能となり、審査の透明性と予見性が向上します。


3. 必要な対応

マレーシアで外国人投資家や駐在員を受け入れている企業および投資家は、Investor Passの利用を前提としていた外国人取締役、株主、経営幹部について、今後の適切な在留資格を再確認する必要があります。また、MESの導入対象となる業種の企業は、新システムに対応した社内申請フローや人事・グローバルモビリティ体制の見直しを行い、書類内容や入力情報の正確性を確保することが求められます。これにより、申請遅延や不許可リスクの低減が期待されます。


4. 今後の動向

マレーシア政府は、外国人管理および投資促進に関する制度について、今後もデジタル化と統治強化を進める方針を示しています。MESの運用状況やInvestor Pass制度変更の実務への影響を踏まえ、追加ガイダンスや制度調整が行われる可能性もあるため、企業および投資家は当局発表や最新情報を継続的に確認することが重要です。

 

本件に関しては、2026年3月31日付EY Global Immigration Alert 「Malaysia revises Investor Pass application category and launches the MIDA Expatriate System」(英語のみ)もご参照ください。


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EY行政書士法人

木島 祥登 パートナー

※所属・役職は記事公開当時のものです