EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人
企業成長サポートセンター
公認会計士 増田 規子
2025年1月~3月の国内株式市場は、年明け日経平均株価終値39,307円でスタートし、その後一時4万円台となるものの、米国関税政策等の不透明感による影響を受け3月最終日終値は35,617円となりました。そのような市場環境の中で、新規上場企業数は、17社(TOKYO PRO Marketを除く。以下同様)となり過年度同期(2021年~2024年の1~3月)とほぼ同水準で推移しています。市場別に見ると、全体の76.4%にあたる13社が東証グロースに上場し、また名証ネクストで1社、福証Qボードで1社上場し、新興市場合計で全体の88.2%を占めています(表1)。
(注1)東証(1部、2部、マザーズ、JASDAQスタンダード)及び名証セントレックスについては2022年1月から4月3日の実績となっています。
(注2)対象期間に新規上場実績のある市場のみを上記に記載しています。
(注3)東証と同日に他の市場に上場している場合は、東証の実績に含めています。
業種別では、情報・通信業8社、サービス業4社となっており、それぞれ新規上場企業全体の47.1%及び23.5%を占め、他の業種社数との開きが昨年同様に見られます(表2)。
本社所在地別では、全体の70.6%にあたる12社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心です(表3)。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中しています。
赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はグロースに上場した3社ありました。また、初値が公募価格を下回った会社は1社ありました。
直前期の売上高の分布を見ると、10億円未満の企業が3社(17.6%)、10億円以上50億円未満の企業が8社(47.1%)であり、全体の約65%程度を売上高50億円未満の比較的小規模な企業が占めています(図1)。売上高が200億円を超える新規上場企業は、東証プライム1社となっています。
初値時価総額の分布を見ると、50億円未満の企業が4社(23.5%)、50億円以上100億円未満の企業が7社(41.2%)であり、全体の約7割程度を占めています。500億円を超えた企業は1社(5.9%)あり、昨年同期(3社、8.6%)と比較して減少しています(図2)。東証スタンダード市場及び東証グロース市場の平均初値時価総額は115億円と、前年同期の263億円と比較して減少し、時価総額も小規模化の傾向があります。なお、初値時価総額が最も高かったのは、JX金属株式会社の7,826億円でした。
監査法人別では、EY新日本有限責任監査法人2社(11.8%)、有限責任監査法人トーマツ1社(5.9%)、となり大手法人合計で全体の2程度、中小規模等のその他の監査法人の割合が増加しており、新規上場において担う役割が大きくなってきていることがうかがえます(表4)。