EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人
企業成長サポートセンター
マネージャー 公認会計士 吉本 麻衣子
2025年1月から9月の国内株式市場は、年始に日経平均株価終値が39,307円でスタートし、半導体や自動車関連株の影響で下落しました。4月にはトランプ氏の高関税発言が原因で大暴落が起こりましたが、その後は徐々に回復し、9月には一時45,852円の最高値を記録し、最終的には9月末に44,932円で取引を終了しました。そのような市場環境の中で、新規上場企業数は、36社となりました。前年同期(2024年1月~9月)と比較した場合18社減となっています。市場別に見ると、全体の61.1%にあたる22社がグロース市場に上場し、新興市場合計で全体の72.2%を占めています(表1)。
(注1)東証(1部、2部、マザーズ、JASDAQスタンダード)及び名証セントレックスについては2022年1月から4月3日の実績となっています。
(注2)対象期間に新規上場実績のある市場のみを上記に記載しています。
(注3)東証と同日に他の市場に上場している場合は、東証の実績に含めています。
業種別では、サービス業12社(昨年同期17社)、情報・通信業9社(昨年同期18社)、となっており、それぞれ新規上場企業全体の33.3%及び25.0%を占め、他の業種社数との開きが昨年同様に見られます。(表2)。
本社所在地別では、全体の63.9%にあたる23社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心です。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中しています。(表3)。
赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はグロース市場に上場した4社、新規上場企業においては、初値が公募価格を下回った会社は3社ありました。
直前期の売上高の分布を見ると、10億円未満の企業が3社(8.3%)、10億円以上50億円未満の企業が17社(47.2%)であり、全体の約2分の1超を売上高50億円未満の比較的小規模な企業が占めています(図1)。売上高が200億円を超える新規上場企業は、プライム市場に上場した2社とスタンダード市場に上場した3社にとどまっています。
初値時価総額の分布を見ると、50億円未満の企業が7社(19.4%)、50億円以上100億円未満の企業が11社(30.6%)であり、全体の2分の1を占めています。500億円を超えた企業は3社(8.3%)あり、昨年同期(5社、9.2%)と比較して減少しています(図2)。なお、初値時価総額が最も高かったのは、株式会社JX金属㈱の7,826億円でした。グロース市場の平均初値時価総額は147億円と、前年同期の240億円と比較して大幅に減少しました。
図1 2025年(1月~9月)新規上場企業・直前期売上高
図2 2025年(1月~9月)新規上場企業・初値時価総額
監査法人別では、EY新日本有限責任監査法人9社(25.0%)、PwC Japan有限責任監査法人4社(11.1%)等、大手監査法人全体の関与割合が減少する一方、中小規模等のその他の監査法人の割合が増加しており、新規上場において担う役割が大きくなってきていることがうかがえます(表4)。