EY CSRD バロメーター 2026

第1弾オムニバス指令によってCSRDが簡素化される中で制度対応の先を見据える企業は、何をどう開示し、どこに差が出ているのか――その全体像をつかむための示唆が、本レポートに凝縮されています。

企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の適用2年目を迎え、欧州企業のサステナビリティ報告は、新たな成熟段階に入りつつあります。欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)に基づく初年度開示を経て、EY CSRDバロメーター2026では、開示の説明の明確化、ダブル・マテリアリティ評価の焦点化、データ品質の向上といった変化が明らかになりました。本資料では、制度対応の現状確認にとどまらず、各社の開示実務がどのように進化しているかを読み解く視点を提供します。

ESRSに基づく報告は、2025事業年度時点で、欧州経済領域(EEA)のうち22加盟国において義務化されました。一部の国では国内法制化の遅れが見られたものの、ESRSに準拠した自主開示も広がっています。また、CSRDでは限定的保証が求められている一方、制度対応にとどまらず、自主的に限定的保証を付す企業も多く見られます。

EY CSRD バロメーター2026では、主としてCSRD WAVE1企業(主にCSRD適用済のEU上場企業)が公表した2025年度のサステナビリティ報告書196件を分析対象としています。報告書のページ数や構成、マテリアリティに係る判断、保証の付し方までを横断的に確認できるため、先行企業の実務傾向を把握したい方にとって、実践的な示唆を得られる内容となっています。

CSRD報告2年目の主なインサイト

  • 報告書はなぜ簡素化しながら、成熟度を高めているのか

企業は報告書の簡素化を進めながらも、開示データの網羅性や整合性を着実に高めています。分量の削減と報告の成熟度向上がどのように両立しているのかは、実務の進化を読み解く上で注目すべきポイントです。

  • ESRS 2 の全般的開示要件は、報告全体のどのような基盤となっているのか

ESRS 2 に基づく全般的開示要件は、報告全体を支える基盤として定着しつつあります。

ガバナンス、戦略、バリューチェーンに関する情報がマネジメントレポートなどの他の報告とどのように統合され、相互参照を活用した構成がどこまで一般化しているのかは、報告の設計思想を理解する上で見逃せない論点です。

  • なぜ気候変動、従業員、事業活動が引き続きマテリアリティの中心なのか

ESRS E1「気候変動」、ESRS S1「自社の従業員」、ESRS G1「事業活動」は、引き続き主要なマテリアリティ項目として位置付けられています。気候移行計画や脱炭素化に関する開示は広く見られる一方で、1.5℃目標との整合性、温室効果ガス(GHG)スコープ3管理、財務資源の配分には依然として企業間で開示の差異が見られます。従業員に関する開示は比較的進展しているものの内容にはばらつきがあり、事業活動に関する開示でも、各社固有の状況を反映しつつ企業文化や腐敗防止に重点が置かれる傾向が続いています。どの論点で差が表れ、どこに今後の高度化余地があるのかは、詳細を確認したいポイントです。

  • 限定的保証は、どこまで“標準”になっているのか

分析対象報告書のほぼすべてに限定的保証が付され、その大半は財務諸表の法定監査人により提供されています。他方で、合理的保証は依然として限定的であり、一部指標にとどまる事例が中心です。限定的保証が実務上どこまで定着しているのか、また合理的保証との間にどのような差があるのかは、今後の保証実務を見通す上で押さえておきたい視点です。

ESRS報告の2年目は、企業が初期的な制度対応を超え、より体系的かつ実務に根差したサステナビリティ報告へ移行しつつあることを示しています。一方で、開示の一貫性向上、事業戦略とのさらなる統合、および経営判断に資する情報としての有用性向上は、引き続き重要な課題です。CSRD要件の見直しが続く中、本レポートでは、各社がどこまで対応を進め、どの領域で差が生じているのかを具体的に確認できます。自社の開示高度化や翌年度対応を考える上でも、有益な比較材料となるはずです。

企業が変化するCSRD要件にどのように対応しているのか、また先行企業がどのような開示上の工夫や課題に直面しているのかについては、ぜひ本レポート全文をご参照ください。


EY CSRDバロメーター2026(日本語訳)

EY CSRD Barometer 2026